点滴の時間です。
コツコツ コツと
忍び寄る足音 いつものように
柔らかな吐息を吹き付けてくる
「さぁ、お注射ですよ……」
鋭い針 艶かしい躰
見事なまでに実った果実
低反発素材の枕のように
気を逸らされて
ぷすり
「あれ~ぇ? 間違えたかなぁ…… 」
溢れる血潮
なのに 痛みは感じない
よく見てみると
麻薬常習者のような複数の跡
「もっかい、刺してみますね~♪」
次 気のせいでもなく 太い針
ぶすり
明らかに 的を外していた
「んんん~~、じゃあ。 もう一度……」
これ以上は付き合いきれない
手を伸ばして 緊急コールを鳴らすも
千切れたコードが風に揺れ
既に モルモットになっていた
「あら、また間違えちゃった♪」
翌朝 目が覚めて
びっしょりと濡れた下着よりも
患部をみて 悪夢だったのだろうかと
ほっと胸を撫で下ろし ──
空いた隙間から
彼女が 覗いていた
次は メスを手にしていて