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もしも私にあの絵本の巫女のような力があったら、お父さんとお母さんを救えたのかな?お父さんとお母さんが死なずに済んで、私も手を汚さずにいられたのかな?
……わかってる。彼奴らを殺したって二人は褒めてくれない。これは私の自己満足だ。
でも、それでも私は諦められなかった。彼奴らを殺したって二人は返って来ないのに。
……あの時お母さんは私に生きてと言った。
辛かった。
生きているのは辛かった。二人がいない世界で。彼奴らが、二人を殺した彼奴らが、のうのうと生きているこの世界で生きているのは辛かった!
「………」
外を眺める。
これからどうなるのかな?やっぱり死刑かな?……そうだと嬉しいなぁ。早く終わりたい。この世界から消えて無くなりたい。
「……はぁ」
目を閉じて息を吐く。
コツコツ、と此方に近付く足音が聞こえてくる。
どうか、この世界が滅んでしまいますように。
絵本の巫女が見たように、私は世界が終わる夢を見たい。
「じゃあね、お父さんお母さん」
私は地獄に堕ちるだろうから二人には逢えないと思う。
「愛してくれてありがとう」
外に向かって、私は笑みを浮かべて言った。
「さようなら」
頬に涙がつたい落ちた。
ガチャガチャと鍵を開ける音がする。最後にガチャッと大きな音がなった後、ゆっくりと扉が開いた。




