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あれから十年経った。私は十七歳になった。
あの後私は服を着替えて、彼奴らの後を追った。空腹は道の途中になっていた、木の実などを食べて凌いだ。
五日ほど歩き続けて、たどり着いた。そこは王都だった。
いろいろと手間取ったけどなんとか中に入り、彼奴らのことを探した。探してわかった。彼奴らは王国の騎士だった。
殺すのは難しくなった。それに私は七歳の少女だ。彼奴らに腕っぷしで勝てる筈がない。
だから私は身体を鍛えた。彼奴らを殺せるように。空腹で死なないように食べ物を盗んだりした。盗んだことは一度もバレなかった。元々そういう才能があったのかもしれない。
八歳になって暗殺ギルドに入った。
初めて人を殺す時、酷く手が震えた。
「っ_____!」
殺した後は吐き気がしてバレないようにギルドのトイレで吐いた。
その後は何回か殺って馴れてきたのかもう吐かなくなった。
暗殺ギルドで働く生活を九年続けて、今日を迎えた。
今日、彼奴らを殺しに行く。彼奴らを殺すために今日までずっと殺しの技術を磨いてきた。
やっと彼奴らを殺せるんだ。
ターゲットは三人。一人は騎士団長。もう一人は副団長。あと一人はただの団員。
団長と副団長は一人部屋だ。後ろから一瞬で殺せば、バレずに殺せるだろう。
問題はもう一人だ。あの男は普通の団員、普通の団員は四人部屋だ。一人になる時が訪れるかどうか。
……こいつを最初に殺して、副団長、団長、と殺していけばいいか。
これは時間が勝負だ。死体が見つかったら終わり。
絶対に、成功させる。
……もう夜も更けた。行こうか。
「チッ……んだよ、人に片付け押し付けやがって」
両腕に剣を抱えて廊下を歩く。
「負けた奴が片付けろ。じゃねーよ。ぼこぼこにして放置しやがって、おかげでこんな時間になっちまったし」
ブツブツと呟きながら歩き、倉庫の扉を開ける。
「あー、まあこの時間まで起こされなかったってことはいないことに気付いていないのか、それとも彼奴が何か言ったのか」
倉庫の奥の方にある剣立てに剣を置く。
「……後でいろいろ言われそうだなぁ」
はぁ、とため息をつく。振り向こうとすると、その前に肩に手がおかれた。
「?なに、っ」
次の瞬間には首を切られていた。
「っ……」
後ろに倒れる。呆然と上を見上げた。
「………」
そこに立っていたのは見知らぬ女だった。
「___」
そこで意識が途切れた。
「ふぅ、一人目。次は副団長か」
目の前に倒れている男の死体を見ながら呟く。運が良かった。まさかすぐに一人になるとは。本当にありがとう、こいつに片付けを押し付けた人。
っとそうだ。副団長に行く前にこいつを隠して置かないと。殺ってる間、いや殺る前にバレたら面倒だし。
「さて……」
良い隠し場所を探す。んー、彼処でいいか。
男の死体を剣立ての裏に置き、倉庫の中にあった大きい布を被せる。これで夜の間は目立たないから見付かる可能性は低いはずだ。血は………まあ大丈夫か。
夜が明ける前に終わらせないと。