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とある牢獄の一室。そこに彼女はいた。
鉄格子から覗く外の景色をぼうっと眺める。
こんな場所簡単に出られる。だが、彼女はここから出ない。彼女は自らの意思でここから出ないのだ。
「こんな世界、滅んでしまえばいいんだ」
外を眺める彼女の瞳には希望の色は無かった。
「終わってしまえ」
私はぽつりと呟いた。この部屋にいれられて何日たっただろう。
私は幸せだった。優しい両親がいて、小さい頃はよくお母さんに絵本を読んでもらった。同じ絵本だったけど私はその絵本が大好きだった。
それは未来が見える巫女の話。とある巫女見習いの女の子がある時未来の夢を見た。それはこの国が滅びる未来。とある国に滅ぼされる未来。不吉な夢を見た女の子はすぐにそれを巫女に伝えに行った。夢の内容を話すと巫女は驚いて王に伝えに行った。王はその話を聞いて笑い飛ばせなかった。その国にはこの前、宣戦布告をされたからだ。王はすぐに女の子を呼び寄せた。その時の状況をしっかりと聞き出し、対策を立てた。そして国を守りきったのだ。女の子は巫女見習いから巫女となり、国のためにその力を使った。何十年とかかったが、この国を勝利へと導いた。そして巫女はこの国の王子と結婚し、幸せに暮らしたのでした。めでたしめでたし………こんな話だった。
私はこの絵本を読んでと何度もせがんでは、お母さんを困らせてた。
楽しかった。毎日毎日こんな日が続くんだと思ってた。
………あの日までは。