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Cross Of Blue Iron  作者: 福山 サミー 大介
竜と巨人編
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戦闘開始!

「では始めさせて頂きます。」


イースティンは裁判長にそう言ってから一礼すると喋り始めた。


「被告人は凋落した貴族の家に生まれましたが幼い頃から勉学に励み当時最難関と言われ現在でも秀才が集まる名門として有名なオーケー貴族院大学に十五歳の時に入学をしております。彼はその為に血の滲むような努力をしたでありましょう。」


イースティンの喋る様子はまるで物語を語り始めたかのようだった。


「彼は幼い頃から負けず嫌いだったようです。おそらく試験の点数で人に負けたくないという思いが彼を勉学に打ち込ませたのでありましょう。」


その芝居掛かった口調で喋り続けるイースティンの目線の先は明らかにジュリアンとシンシアだった。イースティンは裁判の最終結論を出す王族にアピールをしているのだ。その様子はまさに演劇を上演しているようであり、ある意味滑稽にも感じられた。


「彼は大学を卒業後刀剣の製作販売の事業を立ち上げます。彼が売り出した製品は品質が良いとのことで徐々に売れ始め彼の事業は軌道に乗っていきました。おそらくここでも彼は腕の良い職人を集め地道な営業活動を続けることによって同業他社との戦いに勝ち成功したのでしょう。」


僕は父さんの方をチラリと見た。父さんはイースティンを睨みつけている。


「ですがここ数年は彼の事業にも翳りが見え始めました。武器の主流が刀剣から銃に移り変わりつつある今の世の中の流れにはいくら負けず嫌いの彼でも抗うことは出来ません。売上を落とした彼は金に困るようになりマッケンジー氏からの今回の取引の話を大金を手に入れるチャンスと考え前金を受け取ったのでしょう。調べてみると被告には多額の借金があり前金を受け取った日以降に被告から返済をされている銀行や金融業者が四社ありました。その総額は二千万ジオンにまで達し被告が受け取った前金の八割に相当します。裁判長、これら銀行と金融業者の領収書の控えをご覧になって下さい! 」


そう言うとイースティンは領収書の控えらしき書類を何枚か手にして法廷中央までゆっくりと歩いて裁判長に手渡した。裁判長は少し驚いたような声を出した。


「これは凄い金額ですなぁ! ジュリアン様、シンシア様、ご覧下さい。」


イースティンとグルの裁判長は王族の二人にイースティンの主張を信じ込ませようとしている。こんなふざけた三文芝居を黙って見せ続けられていいのか!? 僕は焦ってビルを見たがビルは何も言わず座っているだけだった。するとイースティンは続けた。


「また被告はギャンブルにのめり込んでいました。東洋から伝わった麻雀というギャンブルです。麻雀は麻雀荘と呼ばれる場所で行われる賭博であり彼はクオーリーメンの街にある『マヨコ』という麻雀荘の会員であることが分かりました。『マヨコ』の店長によれば麻雀においては多ければ一日に数百万ジオンものお金が動くこともありこちらも調べてみると被告がよく負けていたと証言をする者も多数おりました。また『マヨコ』では彼が何時来ていたかという詳細な記録も残っています。裁判長、これをご覧下さい。」


そう言うと彼はまた数枚の書類を裁判長に手渡した。裁判長はそれを見るとまた大きな声を上げた。


「う〜ん、どうやら被告は週に最低でも三回程度は麻雀荘に通っていたようですなぁ。確かにこんなものを見せられては被告が少なくともギャンブル好きというのは疑いようのない真実のようです。さぁ、ジュリアン様、シンシア様、ご覧下さい。」


まるで胡麻を擂るかのような裁判長の態度は見ていて不快極まりなかった。だが僕にはどうしようもない。今殴りかかる訳にはいかないのだ。僕は拳を握りしめつつもじっと堪えた。


「これらギャンブルでの浪費と銀行や金融業者に対する膨大な支払いは原告からの前金で賄われたということが明白です。言い換えれば被告人は意図的に前金を借金返済とギャンブルに充てるつもりで受け取っており依頼された剣を作る気など最初からなかったのです。現に無くなったなどと訳の分からないことを言って剣を期日通り納めていないのですから。これはヘフナー王室への侮辱以外の何物でもないでしょう。ヘフナー法典の詐欺罪と王室侮辱罪の適用が順当と主張します。」


そう言うとイースティンは席に戻って座った。涼しい顔して言いたいことを好き放題言いやがって! 聞いていて腹は立ったがこれから裁判がどうなっていくのかを僕は冷静に見極めなければならない。僕は目を閉じると一度大きく深呼吸した。すると裁判長がこう言った。


「では被告側、陳述をどうぞ。」


僕は閉じていた目を開けてちらっとビルの方を見た。もうあとはビルに任せるしかないのだ。

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