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Cross Of Blue Iron  作者: 福山 サミー 大介
竜と巨人編
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森の刺客

「……ユ、ユージーン。」


熊を追い払ってすっかりいい気になっていた僕をシェリルが苦しそうに呼んだ。どうしたんだろう? 僕はシェリルの方に駆け寄った。


「シェリル、どうした? 」


すると横向きになって寝ていたシェリルがちらっと片目だけを開けて僕を見つつこう言った。


「……ネックレスを傷口に当てていてほしいの。……凄く楽だわ。」

「分かった。」


僕はそう頷くと首から下げたネックレスを手に取りシェリルの左肩の傷にそっと押し当てた。彼女は「ふぅ〜! 」と気持ち良さそうに深呼吸すると再び目を閉じた。その表情は穏やかだ。やはりこのネックレスはドラゴンのシェリルにとっては傷を癒す絶大な効果があるのだろう。そのうち太陽が木々の間から顔を出し僕とシェリルをジリジリと照りつけたが僕はネックレスをそのまま数十分程当てがっていた。



「……ユ、ユージーン。」


そう呼ばれて僕はハッと目を覚ました。どうやら僕はシェリルにもたれ掛かったままうとうとしてしまっていたらしい。だが僕の右手は寝ぼけながらもシェリルの傷口にネックレスを押し当て続けていた。良かった! どうやら僕は半分意識がない中でも自分の責務を全うしていたらしい。ほっと胸を撫で下ろしつつ僕はシェリルに返事をした。


「どうしたの? 」

「……気を付けて……毒蛇があなたを狙っているわ。」


シェリルは苦しそうにそう言った。毒蛇だって!? 音も立てずに忍び寄ってガブっとくる毒蛇は今の僕達にとっては熊なんかよりもよっぽど恐ろしい存在なのかもしれない。僕は全くその存在に気が付いていなかったがドラゴンであるシェリルの鋭い聴覚と嗅覚は毒蛇の気配を消した接近をも簡単に探知してしまうのだろう。僕は回転式の拳銃を手にしながらシェリルに聞いた。


「毒蛇だって? そいつはどこにいるんだい? 」

「う、上よ。」

「シェリル、何を言ってるんだ? 蛇が空を飛ぶ訳ないだろう? 」


僕はシェリルが冗談を言っていると思って笑いながらそう言いつつふと空を見上げた。すると大きな蛇が頭上の高い木の枝から僕を舐め回すように見ている! しかもかなり大きい! そう思った瞬間蛇が頭上から僕に飛びかかってきた。


「うわっ! 」


僕は慌ててその場から跳び退いて蛇の攻撃をかわした。その蛇は全身緑がかっていて所々に黒の斑点のある体長が二m程ある蛇だ。こんな奴に噛まれれば堪ったものではない。それに蛇は自分の身体より遥かに大きい獲物を丸呑みにしてしまうと聞いたことがある。僕なんかは簡単にその口の中に収まってしまうのだ。そうはさせるか!


「てめえなんかに喰われてたまるか! 」


自分を捕食しようとする体長二mの蛇を目の前にするとそれはなかなか恐ろしい気分だ。先ほどの熊の時のような余裕は僕にはない。僕は恐怖を吹き飛ばす為に敢えて大きな声でそう叫ぶと手にしていた拳銃をその蛇に向けて引金を引いた。


「ズダーン! 」


駄目だ! 蛇の動きが素早くて僕は一発目を外してしまった! 僕の放った銃弾は蛇のすぐ傍に土煙りを立てただけだったのだ。だがその着弾の振動に驚いたのか蛇の動きが一瞬止まった。今だ! 僕は再度引き金を引いた。


「当たれっ! 」

「ズダーン! 」


僕の放った弾丸は蛇の頭部を吹き飛ばした。見事に命中だ。だが頭部を無くしても蛇の身体は暫くの間草むらの上に横たわりピクピクと動き続けた。見ていて気持ち悪いことこの上ない。僕はその長い胴体を足で蹴って遠ざけた。


「ふぅ、何とかやっつけたよ、シェリル。」

「…………。」


シェリルは何も答えない。出血が止まったとはいえかなり辛いのだろう。シェリルが動けない間は僕が彼女を守ってあげなければならないのだ。だがここに墜落してから半日も経たないうちに既に二回も野生動物に襲われている。弾もあと三発しかない。大丈夫だろうか? 僕がそう心配している時だった。


「ガサガサッ! 」


背後にある草むらから物音がした。また何か来やがったか!? 僕は振り向くと銃口を草むらに向けて怒鳴った。


「今度は何だ!? しつこい奴らだ! 」


だが僕が向けた銃口の先に現れたのは今度は人間だった。まずい! 人間に見つかるのが一番厄介かもしれないのだ! 人間の中でもドラゴンの身体を食べれば不老不死になれると思い込んでいる奴は沢山いる。そんな奴が弱っているシェリルを見つければ喜んで切り刻んでしまうだろう。僕はその人間を殺すことも厭わずという思いで撃鉄を起こした。

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