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Cross Of Blue Iron  作者: 福山 サミー 大介
竜と巨人編
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発見!

「くそっ! ないぞ! 」


銃とカメラを失敬した後僕は刀探しを再開した。だが三十分ほど探しても刀は出てこない。ミールの屋敷の塀の外には警備員がいたが敷地内にももし同じように警備員がいたらこのままだとまずいことになる。錠前が外されているのがバレて発見されれば僕はもう逃げられないのだ。この物置には出入口は一カ所しかないのだから。


「……まずい。」


ついつい焦って目の前にある木箱を片っ端からひっくり返したくなるが大きな音を出せばそれだけ発見される可能性が高くなるのだ。僕は地道に一つずつ木箱を開けて中身を確認していくしかなかった。


「クゥーン。」


僕が積み上げられた木箱を一つずつ地面に下ろして蓋を開けては中身を確認して閉める、という作業を繰り返しているとシェリルが小さく鳴いてから僕のズボンの裾を咥えて引っ張った。僕はシェリルに言った。


「シェリル、今は忙しいんだよ。邪魔しないでおくれよ。」


僕はシェリルを見もせずに手を動かしながらそう言い聞かせたがシェリルはしつこく僕のズボンの裾を咥えて引っ張ってくる。


「シェリル、遊ぶのはまた今度ね。」


僕はまたそうシェリルに言ったがシェリルは僕の裾を咥えて離さない。普段のシェリルは聞き分けがいいのにどうしたんだろう? 僕はふと気になって足元のシェリルを見た。


「クゥーン! 」


「やっと見てくれたのね! 」と言わんばかりにシェリルは今までより少しだけ大きめの鳴き声を上げると僕の足元を離れ木箱の積み上げられた山を軽々と登った。そして木箱の山の上から僕を見下ろすとまた「クゥーン! 」と鳴いた。


「……シェリル、ひょっとして見つけたのか!? 」


僕はピンときた。シェリルはおそらく「ついて来て! 」と言っているのだ。普段から僕の言葉や考えを理解しているかのように振る舞うシェリルには何か不思議な能力がある。僕はシェリルを信じて彼女の後を追うことにした。


「よいしょっと! 」


僕は積み上げられた木箱の山をよじ登った。木の箱が積み重ねられているだけなので下手に登ると山が崩れてしまう。僕は慎重に崩れなさそうな大きめの箱を選んで足と手を掛けてゆっくりと登っていった。


「クゥーン! 」


シェリルが上からまるで「頑張れ! 」とでも言うように小さく鳴いた。積み重ねられた木箱の高さは二m程だ。だがそれが崩れないように登るのは結構大変だ。足や手をかけやすく登りやすそうなルートを選び奮闘すること数分、ようやく僕は山の上に到達した。だがそれを見届けたシェリルは「目的地はもう少し奥だから!」とでも言いたいかのように急に僕にお尻を向けると木箱の山の上を更に奥の方へ数m進んだ。


「シェリル、何処に行くんだい? 」

「クゥーン! クゥーン! 」


数m進んだところでシェリルは歩みを止めるとそこで僕の方を振り返りまた少し大きめの声で鳴いた。シェリルは厚さが約十cmで幅四十cm、長さ一m程の箱の上に座っている。その箱は大きさとしては刀が十分に入るものだった。


「ひょっとして……それなのか? シェリル。」


僕はシェリルの足元にあったその箱の蓋を開けてみた。


「す、凄いぞ、シェリル! 」


その箱の中には僕が以前に家で見たのと同じ贅沢な宝飾で彩られた美しい刀が入っていた。これだ! まさしく僕とシゲが探していたものはこれなのだ!その箱の下にも同じ箱が二つあったので僕はそれらも中身を確認してみたがやはり同じ刀が入っていた。やった、取り敢えず見つけたぞ! 僕は背中のリュックの中からシゲに貰った服や食料の中に紛れてあったロープを取り出しその刀の入った三つの箱を縛り付けて背中に背負えるようにした。


「これで良しと。何とか持ち運びは出来そうだ。」


僕はリュックを背中から下ろすと箱を背中に背負いリュックは胸の前に掛けた。木の箱は無茶苦茶重いが頑張って運ばねばならない。何とか暗いうちに人目のつかないカ・ツカレー山に入って隠してしまわなければならないのだ。こんな目立つものを背負って昼間移動すれば間違いなくコイチの手の者に見つかってしまうであろう。


「行くぞ! シェリル! 」

「クゥーン! 」


僕は今度は木箱の積み上げられた山を下り始めた。重い荷物を背負って木箱の山の斜面を下るのもこれまた難しい作業だ。足場を選びながらゆっくりと下りていく。だがその時僕の心の中の何処かに「早くしないと見つかってしまうかもしれない! 」という焦りがあったのだろう。床に足がつく寸前という時に小さな木箱に手を掛けてしまいそれを地面に落下させてしまったのだ。


「バーン! 」


まずいっ! 木箱を落として大きな音を立ててしまった。誰か来るかもしれない。僕は床に下り立つと慌てて出入口まで駆け寄ってそのまま逃げようと扉を少し開けた。するとすぐ近くで人の声がするではないか!


「何の音だ? あっ! 扉が開いている! 」


しまった! 誰かに見つかってしまった!

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