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Cross Of Blue Iron  作者: 福山 サミー 大介
竜と巨人編
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ログハウスで二人っきり

「さぁ、シェリル! ご飯にしようか? 」

「クゥ〜ン! 」


ログハウスに到着すると僕とシェリルは倒れこむようにして寝てしまっていた。逃亡生活で披露が溜まっていた僕と怪我をしているシェリルは共に休息が必要だったらしい。二人とも死んだように眠りこけて気が付くと日が若干傾いていた。どうやら朝から夕方にかけて一度も起きることなく横になっていたらしい。起きるとグゥとお腹が鳴ったので僕達は食事をすることにした。


「今日は何か缶詰でも開けようか? 」

「クゥーン! 」


僕とシェリルはログハウスの中にある椅子に並んで座った。ログハウスは高さと幅が三m程で奥行きも七m程の小さなものだ。部屋は一つしかなく流しと食器棚があってあとは小さなテーブルと椅子が四つ、そして部屋の隅には毛布が何枚か置いてあるだけだ。だがこれで僕には十分だった。屋根があるだけでも有難い。ログハウスの外にだがトイレもあるのだ。僕はシゲに感謝しつつリュックから缶詰を二、三個テーブルの上に取り出した。するとシェリルが椅子からテーブルの上に飛び移り一つの缶詰の前にちょこんと座った。まるでその缶詰を開けろと言わんばかりに。


「ふふ、それが食べたいのか? 」

「クゥーン! 」


それは鰊の缶詰だった。僕がその缶詰を開けてやるとシェリルは貪るように食べ始めた。どうやらお腹が空いていたらしい。僕は鮭の缶詰を開けた。食器棚の中に備え付けのスプーンがあったのでそれを僕は借りて鮭を口の中に放り込んだ。美味いっ! 鮭ってこんなに美味しかったんだ!


「……クゥーン。」


僕が鮭を夢中になって口の中に放り込んでいると知らぬ間に僕の目の前にシェリルが座っている。シェリルが食べていた缶詰を見ると中身はすべて食べられてもう空っぽだ。シェリルは僕の顔を可愛い顔をして覗き込んでいる。どうやら鮭を分けて欲しいらしい。


「仕方ないなぁ。はい、どうぞ。」


僕は鮭をちょっと分けてやった。小さい身体なのによく食べるなぁ。僕は感心した。だがシェリルはそれでも足りなかったらしくおねだりしてきたので僕は昨日の乾パンの残りをシェリルにあげた。食料の手持ちは少ないので節約したいところだったが可愛いシェリルにじっと見つめられるとついついあげてしまうのだ。


「いざとなればまたコイチの畑に行って農作物を何かパクるか、ふふ。」


食事を終えるとログハウスの中に石鹸があったので僕とシェリルは近くを流れる川に洗濯に行った。僕の服はもう何日も着ていて一度水で洗っただけだから臭いのだ。汚れた服を脱ぎ川の浅瀬に入ると僕はその服を石鹸で洗い始めた。ついでに自分の身体も服と同じように石鹸を塗りたくって洗った。気持ちいい!


「シェリル、お前も洗ってやろうか? 」


川岸で僕の様子を見ていたシェリルにそう声を掛けるとシェリルは僕のいる浅瀬にまでチャプチャプと水の中を歩いてきた。どうやら水は平気らしい。動物の中には濡れることを嫌うものも多いって聞いたことがあるけれどシェリルは違うんだな、僕はそう思いながらシェリルを石鹸で洗ってやった。


「クゥーン! 」


シェリルはとっても気持ち良さそうだ。僕が優しくシェリルをマッサージするように身体を撫でるとシェリルの目がトロンとしてきた。


「女王様、気持ち良いですか? ふふふ。」


僕はそう冗談を言いながら暫くシェリルの身体を洗いマッサージを続けた。だがその時だった。指に何か小さくて固いものが当たった。何だろうと思って僕はシェリルのフサフサの体毛を掻き分けてみた。すると尻尾の付け根あたりに妙に固い部分があるのだ。まるでその皮膚の下に小さな金属でも埋め込まれているかのように。


「何かな、これは? 」


ちょうど尻尾の付け根のすぐ上あたりが異常に固い。面積としては人差し指の先程度だ。僕はその部分を暫く触ってみたがシェリルは痛がる様子もない。僕が思うほど大した問題ではないのだろうか? シェリルも何とも思っていないようなので取り敢えず僕はそれを放っておくことにした。


「さぁ、そろそろ帰ろうか? 」


僕はそうシェリルに声を掛けると素っ裸のまま洗った服を抱えてログハウスに戻った。衣服を室内のあちこちにぶら下げて乾かす。もう周囲は暗くなってきていた。


「……もう夜か。」


僕はそう一人言を呟いた。夜の暗闇は人を不安にさせる。今の僕にとってはまさにそれが当てはまっていた。シェリルがいるから何となく淋しさは紛れるもののやはり今のところは未来に対する希望は見えてきていない。取り敢えず今はシゲを待つしかないのだ。椅子に座ってぼんやりとしている僕の膝の上にシェリルがちょこんと座っている。僕はシェリルの頭を優しく撫でながら言った。


「お前にも父さんや母さんがいるのだろう? 僕と二人っきりじゃ淋しくない? 」

「クゥ〜ン。」


シェリルは甘えた鳴き声を発するとまるで僕を励ますかのように肩に登ってきて頬をペロペロと舐めだした。


「ふふ、くすぐったいよ。」


まるで僕の言葉を理解しているようなシェリルの行動に僕の淋しさはかなり紛れた。だがそうやってシェリルと戯れているとログハウスのドアが急に鳴った。


「コン、コン。」


ドアをノックする音だ!誰だろう? シゲだといいがひょっとしたら地元の警察官が普段無人のログハウスに人の気配がするのを不審に思って調べに来たのかもしれない! もしくはコイチの一味が僕の居場所を突き止めたという可能性もある。僕は取り敢えず最悪のことを考えてライフル銃を手に取った。

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