表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Cross Of Blue Iron  作者: 福山 サミー 大介
竜と巨人編
46/331

脱出

「ぎゃあぁぁ〜っ! 」


僕が振りかざしたムラサメは看守の左手の甲辺りを深く切り裂いたようだった。鮮血が飛び散り看守が大きな悲鳴を上げながら尻もちをつく。ここで一気に始末してしまわないと看守はおそらく腰にぶら下げた拳銃で反撃してくるだろう。僕は間髪を容れず止めの一撃を加えようと雄叫びを上げながらもう一度斬りかかった。


「うわあぁぁ〜っ! 」

「ひぃ〜っ! 」


地面に座り込んで僕の形相を見上げながらそう悲鳴をあげる看守を可哀想などと思う余裕は僕にはなかった。僕の二度目の攻撃は看守の左肩の肉を裂く。また血が飛び散った。看守は斬りつけられたショックで床に仰向けに倒れこむと右手で左肩の傷を押さえながらこう言った。


「た、頼む、殺さないでくれ! 」


ムラサメを振り下ろして興奮している僕に懇願するように看守がそう言った。看守の顔は恐怖で引きつっていて先ほどまでの色欲にまみれたニヤケ顔はもう何処かへ行ってしまっている。それでも僕は慎重にムラサメを構えながら看守の前に立ちはだかるとこう言った。


「そのままうつ伏せになれ! 両方の掌は僕に見えるようにだぞ! 変な真似をしたらすぐに殺す! 」

「は、はい! 」


僕は興奮の為か声が震えていた。だが看守の声も同じくらい震えている。看守は素直に僕に背を向けて寝そべった。


「よしそのままじっとしてろ! 動いたら殺す! 」


僕はそういうと看守の腰のベルトに紐でくくりつけてあった錠前の鍵に手をかけムラサメでその紐を切り鍵を奪い取った。そして次は腰にぶら下げていたホルスターから拳銃を抜き取り肩に背負っていたライフル銃も奪った。これで看守の武器は全て奪い取った。


「痛え、痛えよ! 」


看守が僕に訴えるようにそう言った。僕に斬りつけられた左掌の甲と左肩が痛むようだ。だが僕はその訴えを一蹴した。


「黙ってろ! 」


僕はそう言って看守のでっぷりとした横っ腹に強烈な蹴りを入れた。看守が横っ腹を押さえて痛がっている間に僕は急いで服を着ると開いた鉄格子から外へ出て錠前の鍵を掛け看守を中に閉じ込めた。


「外に出るにはどう行ったらいいんだ? 嘘をつけば殺す! 」


僕は奪ったライフル銃を看守に向けながらそう聞いた。すると看守は早口でこう答えた。


「こ、この通路をまっすぐ行けば階段がある。そこを上がって扉を開ければ地上だ! だがその前に医者を呼んでくれよ! この地下牢の付近にはたまにしか人は来ねぇ! 出血多量で死んじまう! 」


僕はじっと看守を見た。さっきまで偉そうな態度を取って僕をレイプしようとしていたことを彼はもう忘れているようだ。僕は看守に何も答えず通路を走り出した。背後から看守が何事かを叫ぶのが聞こえたがそれは全て無視した。通路は幅ニm程で薄暗くその脇には沢山の牢が連なっていた。おそらく大勢の人がここに閉じ込められ殺されていったのだろう。中にはとんでもない異臭を放つ牢もあった。おそらく探せば死体の一つや二つは出てきそうだ。通路を五十m程進むと階段があり僕はそこを走って登っていった。するとすぐに扉があった。


「よし、出口だ! 」


僕はノブに手を掛けるとゆっくりと扉を開けた。オレンジの太陽光線が差し込んできてやたらと眩しく感じられる。だがそれも無理のないことだ、ずっと地下に閉じ込められていたのだから。僕は注意深く周囲の様子を窺った。辺りには看守の言う通り誰もおらず建物もない。周囲には鬱蒼とした木々が生い茂っていてまるでジャングルのようだ。ジャングルの中に地下牢に通じる為の扉を設けた白い小さな一辺ニmの立方体であるコンクリート造の塊がぽつんと置いてあるといった感じなのだ。太陽がやや傾いていることからおそらく今は夕方の三時か四時といったところだろう。僕は太陽の位置から大まかな方角を割り出した。コイチの家のだいたいの位置は知っているから自分の家の方角は分かる。だが素直に家に帰っていいものだろうか? 父さんや母さんが家にいるのかどうかも分からない。それにのこのこと家に帰ればまたコイチに捕まってしまうかもしれない。


「……これからどうすればいいんだろう? 」


僕は急に不安に襲われた。今までは取り敢えず地下牢を出ることしか考えていなかったが出たところで僕を助けてくれる人は誰もいないかもしれないのだ。しかもお金は持っていないし当然食べ物もない。急にお腹がグゥと鳴る。心細さに僕はまたしくしくと泣いた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ