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Cross Of Blue Iron  作者: 福山 サミー 大介
竜と巨人編
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娼婦のように

「ユージーン・マイヤー、囚われれるも脱出す、八月一日。」


僕は地下牢の自分のいる部屋の壁にムラサメでそう文章を彫っていた。自分の運命を呪い散々泣きあかした後に僕はようやく気が付いたのだ、現状を嘆くだけでは何も始まらないということに。そして僕は腹を決めた。殺される前にここを抜け出してコイチの一家の悪事を世間に知らしめてやるということを! この文章はその決意の表れだった。


「ここを脱出する為ならなんでもやってやる! 」


僕はムラサメを握りしめた。あの脂ぎった小汚い看守を殺してでもここを出てやる! あいつは何人もこの地下牢に閉じ込められた人を殺しているのだ。僕に殺されても仕方のない奴なのだ!


「お〜い、飯だぞ! 」


するとちょうどその看守がやってきた。僕はムラサメをベッドに置きその上に脱いでいたシャツを被せて更にその上から座った。何とか看守を近くにまでおびき寄せて脅すか殺すかして鍵を奪わなければならない。僕が刀を所持していることがバレたら僕はその時点で殺されるかもしれないのだ。チャンスは一度きりで失敗は許されない!


「よ〜し、大人しくしてるな? そのままベッドの上でじっとしてろよ! 動くんじゃぁねぇぞ! 」


看守はそう言うと鍵で錠前を外して鉄格子の扉を少しだけ開けた。そして半分腐ったようなパンとコップ一杯の水がのったトレーを差し出した。鉄格子の扉を開ける時はやはりかなり用心しているようだ。くそっ、これだけ距離が離れていては何も出来ない! どうすればいいのだ? 僕が鉄格子越しにチラッと看守の方を見ると目があった。脂ぎった顔にいやらしそうな笑みを浮かべている。何だろう? 心底気持ち悪い奴だ!


「何でお前、さっきから上半身裸になってるんだ? 」


突然そう聞かれて僕は何と答えていいのか分からなかった。さっきムラサメが突然現れた時にシャツを脱いでそのままにしていただけなのだがそれを説明する訳にもいかない。僕は怯えたふりをして黙っていた。すると看守は続けた。


「お前、結構いい身体してるじゃねぇか、グヘヘへ! 」


それを聞いて僕はぎょっとした。その言葉には性的な響きが含まれていたからだ。そしてようやく僕は気が付いた、この男は男色家なのだということを! よく見ると看守の目つきがおかしい。どうやら僕の裸を見て性的に興奮しているようだ。僕はまさか自分が中年の男からそんな対象として見られるとは思ってもいなかったので非常に驚いた。だがこんな奴に犯されたりしたら僕は堪ったものではない、僕はまだ女性すら知らないのに!


「おい、下も全部脱いでみろ! 」


お前みたいな奴の言いなりになって何で全裸にならなきゃいけないんだよ! と言い返したかったが僕は俯いて黙っていた。だがこいつは僕が下半身の衣服を全て脱がなければ何をしてくるか分からない。どうしよう!?


「コラ! 早く脱げ! 」


看守がそう声を荒げたので僕は焦った。だが待てよ、上手く立ち回れば奴の欲望を利用して一気にここからの脱出を成功させることが出来るかもしれない! 僕の頭の中で一つのアイデアが閃いた。


「早くせんか! 」


怒鳴る看守の前で僕はズボンをゆっくりと脱ぎ始めた。すると看守は急に態度を変え猫撫で声を出した。


「グへへ、グヘヘへ。いいぞ、早く全部脱いでしまえ、ゆっくりと観賞してやるぞ! 」


だが僕はズボンを脱いでパンツ一丁になったところで脱ぐのをやめた。そしてもじもじしながらこう看守に言った。


「……これ以上は無理です。恥ずかしいです。」


すると看守は焦ったようにこう言った。


「馬鹿野郎! そこで止める奴があるか! 早く脱げ! 」


だが僕は脱がずにこう言った。


「……一人じゃぁ恥ずかしくて無理です。手伝って下さい。」


僕はまるで自分が娼婦にでもなったかのように看守にそう言った。これは賭けだ。看守が欲望に負けて僕に近づいてくるかそれとも任務を忠実に遂行する為に近づいてこないか、それで僕の運命も決まる。その後暫く沈黙が続いた。……駄目か?


「グヘヘへ、お前、俺を誘っているのか、ようし、可愛がってやる! 」


そう言うと看守は鉄格子を大きく開けて地下牢の中に入ってきた。やった! これで看守との距離が縮まる! 近ずいたところをムラサメでバッサリいってやる! 僕は看守の方を見ながら背中の後ろでムラサメの柄を右手で強く握りしめた。


「まずはおしゃぶりからしてもらおうか! グヘヘへ! 」


おそらく看守には僕が何も抵抗出来ない非力な女の子のように映っているのだろう。看守は両手でズボンのベルトを緩めながら歩いてくる。全く隙だらけだ。そして奴の突き出した股間と僕の顔との距離が一mを切った時、僕は突然覚悟の大声を上げた。


「この変態野郎め! 」


僕は夢中でムラサメを振り払った。血しぶきが飛んで悲鳴が響き渡った。

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