凶次
シャイニング・レイがマッスルサスペンダーを倒した時、遠く離れた時計台の上に立つ二つの影が成り行きを見守っていた。
「ほう‥この世界にもヒーローが居るらしいな‥」
白いロングコートに黒いブーツ、黒いジーンズと黒いシャツを着た男が隣の人影に話し掛ける。
「凶次‥そんな事よりも、この世界の人間をベースにした怪人は弱すぎると思わんか?」
「まぁ、ネオ=クリムゾン様のエネルギーに適合しなかっただけだろう?あれならまだ下級戦闘員の方がマシだな」
凶次がそう言って、シャイニング・レイを見つめる。
「しかし‥弱いとは言え、改造人間をああも容易く倒すとはな‥フッフッフ‥」
「少しでも歯応えの有りそうな相手を見つけると直ぐに興味を持つのは悪い癖だな、凶次」
「それは貴様も同じだろう?ファントム?」
ファントムと呼ばれた、頭に透明のケースを被り、顔がまるで大火傷をしているかの様に見える、真っ白なフルアーマー姿の怪人は、凶次を見ながら唇の口角をあげ、答えた。
「フッ、そうだな」
「何にせよ、Drカオスに経過の報告だな」
そう言って、凶次とファントムは踵を返した。
ファントムが先にその場から消え、続こうとした凶次は首だけを返して、遠く離れたシャイニング・レイに向け呟いた。
「‥近い内に遊んでもらうぞ、ヒーロー?」
そう言って、凶次もその場から消えた。




