チョップ(必殺技)
「でも‥」
「いくぞ!怪人マッスルサスペンダーっ!」
シャイニング・レイが持っていない筈のスルースキルを発動してマッスルサスペンダーに向け駆け出した。
「マッスルーっ!」
マッスルサスペンダーが迎え撃つ為に構えた。
「とぅっ!」
シャイニング・レイのヒーローチョップがマッスルサスペンダーの脳天に炸裂した。
目にも止まらぬ超高速で。
「マッス、ガフッ!」
そのまま脳天から地面に激突し、頭をめり込ませた。
「あ‥あれ?」
シャイニング・レイは自分の手と、地面にめり込みピクピクと痙攣した後、動きを止めたマッスルサスペンダーを何度も見返す。
「え?終わり?嘘でしょ?」
緊張感の欠片もない声で、マッスルサスペンダーに問い掛ける。
「いやいやいや、有り得ないから、怪人でしょ?まだ俺全然活躍してないよ?ほら、これからなんか凄いっぽい怪人技とか出すんだよね?俺がピンチになって、なんやかんやで必殺技で最後はドカーンみたいな‥列伝にあったナンチャラ空間みたいなのとか‥」
シャイニング・レイが地の自分を出しながら慌てふためく。
「マッスル‥サスペンダー‥」
「そうだ!頑張れマッスルサスペンダー!負けるな!起き上がるんだ!」
何故か怪人を応援しだしたシャイニング・レイ。
「マッスルーっ!!」
そしてマッスルサスペンダーは爆発した。
「うわぁあぁ!マッスルサスペンダーァアァ!」
シャイニング・レイは、マッスルサスペンダーの爆発に悲痛な叫びをあけだ。
「基礎能力が高すぎて、変身したら普通の打撃が最終兵器みたいな技になるじゃねーか!あの禿!絶対に許さん!許さんぞぉおぉ!!」
シャイニング・レイの中の英雄は、禿神を呪う絶叫をした。
ギャラリーは呆然としていた。
人質の女性も呆然としていた。
リリーナも呆然としていた。
よく晴れた正午の平和な日であった。




