シャイニング・レイ参上
「ちょっ‥!アンタ誰!?何勝手にカウンターの奥に入ろうとしてんの!?」
「すまん!緊急事態だ!屋上を借りる!」
「は?何言ってんのアンタ!?入んなって!け‥警備隊!街の警備隊呼んで!」
何やら武器屋から争う声が聞こえる。
その頃、リリーナは激しく打ち付けられた身体が思うように動かず、顔だけを動かしてマッスルサスペンダーを睨んでいた。
「くっ‥くそっ、身体が‥」
「マッスルゥウゥ‥」
顔に被った汗まみれの黒ブリーフ越しでも解る笑みを浮かべて、マッスルサスペンダーがリリーナに迫る。
「わ‥私が‥私がこんな真性の変態に‥」
リリーナが絶望の表情で呟いた。
「マッスルゥウゥ!」
「待てぃ!そこまでだ怪人マッスルサスペンダー!」
マッスルサスペンダーがとどめを刺そうとサスペンダーを振動させたその時、武器屋の屋上から声が響いた。
「マッ?マッスル?」
「いたいけな婦女子を痛ぶる怪人‥貴様には地獄すら生温い!」
口上を述べていた屋上の人影が指先をビシッとマッスルサスペンダーに向けた。
「困ります!早く降りて下さい!警備隊はまだか!?」
武器屋の店主が叫ぶ。
「トウッ!」
人影が店主を無視して跳躍した。
「マッスル!?」
人影はマッスルサスペンダーとリリーナを遮る様に華麗に着地した。
「怪人マッスルサスペンダー‥今日で貴様の悪行も終わりだ!」
イレブンでは無く、怪人マッスルサスペンダーとして今日より以前に何か悪行をしたか不明だが人影は決めつけた。
「この私が来た限り、好きにはさせん!」
「あれってさっきの兄ちゃんだよな‥?」
ギャラリーが囁く。
「光の闘士!シャイニング・レイ参上!」
「マサギ殿?その格好は‥?」
リリーナがシャイニング・レイを正義と呼んだ。
「私は正義英雄では無い!シャイニング・レイだ!」
「いや、マサギまでしか言ってないんだけど‥大体体格も声もマサギ殿だし、入っていった武器屋の屋上から‥」
「否!断じて否!」
英‥シャイニング・レイは声高に否定した。




