ギルドランクSと言う名の世界観[1]
シャイニングレイ命名から二日後、事件も特に起きず、英雄は何時ものカウンター席でショートケーキの苺を頬張りながら、カウンターに何故か置いてあったナンプレをやっていた。
[カランカラン]と、喫茶ボロンゴのドアのベルが鳴った。
「お、いらっしゃい!」
入ってきたのは、高級そうな鎧に身を纏った銀の長い髪をした美しい女性であった。
「‥随分と変わったお店ね、ここ‥」
「そうかい?まぁ他と差別化を図って商売してるって事で」
おやっさんが上手に言葉を返した。
「まぁいいわ、ここ食事も出来るのかしら?」
「あぁ、一応飲食店だからね、見えないかい?お嬢ちゃん?」
「見えないわね‥と言うよりこんな造りの店始めてみたわよ」
珍しいそうに回りをキョロキョロと見渡す女性。
「まぁ、取り敢えず何か頼んでくれるかい?」
そう言っておやっさんは女性にメニューを差し出した。
因みに英雄はナンプレに夢中で女性やおやっさんのやり取りにすら気付いていない。
「へぇ‥色々あるのね‥見たこと無いメニューばかりなんだけど?」
女性がメニューを見ている内に徐々に表情を困惑させていった。
「あぁ、ウチはオリジナルメニューが多いからなぁ‥なんならランチに出す予定だったメニューでも出そうか?」
おやっさんがフォローを入れた。
「‥えぇ、それで良いわ、ギルドに集まる時間も迫ってるから」
「はいよ、少し待ってなさいお嬢ちゃん!」
言って調理を始めるおやっさん。
待ち時間の間暇になった女性は、自分の左に座る英雄がやっていたナンプレを何気無しに見てみた。




