ボロンゴ少年団結成
その後、アベルをカウンター席に座らせたおやっさんが、クリームソーダを出して飲ませていた。
「ぷはーっ!喉かシュワシュワするけど美味しいっ!」
「はっはっは、気に入ってくれたなら嬉しいよアベル君!」
おやっさんは上機嫌だ。
クリームソーダもこの世界にはまだ存在しないボロンゴオリジナルである。
材料が何処から来ているのかは不明、恐らくヒーローあるあるのご都合主義であろう。
「で、アベル少年‥なんで俺を探してたんだい?」
「あっ‥そうでしたっ!」
クリームソーダの魔力に魅了されていて、本題を忘れていたらしいアベルは、バニラアイスを頬張りながら説明を始めた。
「びづばでずね、ぼぐらぢざんにんでぢーむぼづぐっだんでず!」
「成る程、解らん」
食べながら喋るのでサッパリ理解できない英雄。
流石に伝わらないと思ったのか、口をモグモグ動かしアイスを溶かしてからアベルが言い直した。
「実はですね、僕達三人でチームを作ったんです!」
「チーム‥?なんのチームだい?他の二人って?」
「あわゎ‥えっとこの前、僕が川で溺れてる時に仲の良い友達二人も近くにいて、それで三人でカッコいいチームを作って正義の味方になって、で、おじ‥お兄ちゃんがリーダーになって、それで、えっと‥」
どうにも脈絡を得ない説明を根気よく聞いて、何となく英雄は理解した。
つまり、この前の救出劇をたまたま目撃したアベルの友達二人が、英雄のヒーロー振りに感化され、同じく感化されていたアベルと意気投合して、正義の味方のチームを作ったらしい。
そこで、チームリーダーに英雄がなってほしいと、お願いに来たのだそうだ。
「はっはっは、良いじゃないか英雄君リーダーになってあげなよ?」
「おやっさん、あのねぇ‥はぁ‥おやっさんには負けるよ」
そこで、おやっさんはポンと手を打ち何かを思い付いたかの様に言った。
「序でにチームの名前も決めよう!僕に良い案があるんだが?」
「名前ですか?お願いしますおじさん!」
アベルがおやっさんをおじさん扱いした。
「おじさん‥まぁ良いけど‥では[ボロンゴ少年団]‥なんてのはどうだい?アベル君?」
「おやっさん‥子供達を使って店の宣伝するつもりだろ‥」
英雄が呻いた。
「んー、もう少しカッコいい名前が‥」
「そのかわり、ボロンゴ少年団員は毎日クリームソーダが無料だよ?」
「ボロンゴ少年団カッコいいです!それにしました!」
子供ってやつは‥苦笑いを浮かべながら英雄は微笑ましいやり取りを見つめていた。




