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百合する亜世界召喚 ~Hello, A-World!~  作者: 紙月三角
chapter05. Alisa in A-priori World
44/110

02'

 これは、「1周目の今日」にエア様とか他の妹ちゃんたちから聞いた情報なんだけど……。

 この『亜世界』の妹エルフちゃんたちってみんな、1日24時間のうちの9時間くらいしか起きてないらしい。


 えー!?起きてるの9時間ってことは、1日15時間睡眠!?何それ、ちょっと寝すぎじゃなーい!?そんなの完全にダメ人間じゃーん!……とか思ったんだけど。でもそれは、人間の私が考える常識。エルフの常識だと、15時間睡眠っていうのは全然普通のことなんだそうだ。

 そもそもこの『亜世界』の妹エルフちゃんたちは実は、起きている9時間の間ずっと、自分に割り当てられた「仕事」を全うするために精霊の力を目いっぱいに使っているんだって。だから、仕事を終えたときにはもう完全にくたくたのヘロヘロ状態になっちゃってて、9時間しか起きてなくってもすぐに眠っちゃうんだ。しかもしかも、その次の日も同じだけの「仕事」をこなさなきゃいけなくって、眠ってる間に今日使った分のエネルギーを完全に回復しなきゃいけないわけで……。そうなると、15時間くらいはぐっすり眠っちゃうものらしいんだ。

 パッと見、私と同じように何も出来ない普通の人にしか見えなかった錬金術師(アルケミスト)のけみ子ちゃんでさえ、それは例外じゃあない。私が会ったときは、ただただイタいことを言ってるだけのかわいそうな娘っぽかった彼女も、実は、「いざってときに自分の職能が錆びついてしまって使えない」なんてことが無いように、私が見てないところで一生懸命精霊の力を鍛える訓練をしていたんだって。そんなわけだから、彼女にしたって起きていられるのは9時間が限界だし、他の娘たちと同じように、一度眠ったら次に起きるのは15時間後になっちゃうんだそうだ。

 『管理者』であるエア様だけは、他の妹ちゃんたちを監督するっていう役割があるからか、割と自由に寝起きが出来るらしいんだけど。それ以外の6人の妹ちゃんたちにとっては、この9時間勤務15時間睡眠のサイクルは絶対的なルールみたいなもの。妹ちゃんたちは誰もが、この『亜世界』に生まれてからの1000年間、1日も休むことなくこのサイクルで自分の「仕事」を続けてきた。逆に言うと、そうやって毎日毎日同じリズムで同じ生活を続けてきたおかげで1000年なんていう長い間、この『亜世界』を今の形で保っていられたのかもしれない。そう言う意味じゃ彼女たちのこの生活サイクルは、『亜世界』を運用するためのシステムそのものって言っても大げさじゃあなかった。


 ちなみに。

 1日のうちの大半を眠って過ごす6人の妹ちゃんたちは、その寝起きしている時間についても全員同じってわけじゃなく、逆に、わざとみんなバラけるようにしているんだそうだ。バイトのシフトみたいな感じって言えば伝わりやすいのかもしれないんだけど、妹ちゃんたちはみんなで調整しあって、24時間の中で常に2人か3人は起きている娘がいるように、ちょっとずつ寝る時間をずらしていたんだって。

 例えば私が「1周目」の最初に出会った建築家(アーキテクト)のアキちゃんの場合、朝の9時から夜の6時までっていう、いわゆる普通のサラリーマンの勤務時間みたいな時間が、活動時間。でもこれが農業家(アグリカルチャリスト)のアグリちゃんになると、朝の5時から昼間の2時までっていう早番みたいなシフトになるし、錬金術師(アルケミスト)のけみ子ちゃんの場合は昼の1時から夜の10時まで、分析家(アナリスト)のアナの場合は、夕方5時から次の日の深夜の2時までっていう遅番みたいなシフトが、自分の「仕事」をするために起きている時間になるんだそうだ。

 それで私たちがこれから会いにいこうとしている研究者(アカデミック)のでみ子ちゃんの場合、深夜の1時から朝の10時までが、起きているシフトになるらしくって。今がだいたい朝の7時半くらいだから、今はちょうど起きている時間帯になるってことだ。

 まあ、「1周目」のときは当然そんなこと知らなかったから、私がでみ子ちゃんに挨拶に行こうかと思ったときには既に彼女は寝てしまっていて……結局私とエア様は、次にでみ子ちゃんが起きてくる深夜1時まで待たなきゃいけなかったんだけどね。




 そういう訳で。

 でみ子ちゃんの部屋へと向かっていた私たちは今、恐ろしく大きくて太い『亜世界樹』の幹の前までやってきていた。


「そういえば」

 その幹に手を伸ばそうとしていたエア様が、途中で何か思いついたように私の方を振り返る。

「先ほどからアリサ様は、『でみ子』という単語をよく口にしていらっしゃいますが、それはいったい?あ、ああ……研究者(アカデミック)のことですか?ということは、もしかしてそれが、アリサ様の世界でいうところの『あだ名』、という物ですか?なるほど……」1人で納得して、おかしそうにクスクスと笑う。「でみ子……うふふ。なんだか、とても可愛いらしいですね?」

「え、ええ。まあ……」

 外見は私よりもずっと大人っぽいのに(そして年齢は更に大差があるのに)、まるで小さな子供のように純粋な笑みを浮かべるエア様。「1周目」に私が建築家ちゃんに付けたアキちゃんというあだ名を聞いたときも、やっぱり彼女は今と同じような素直で可愛らしいリアクションを取っていた。

 一瞬、自分だけがそんな風に「1周目」の記憶を持っていて、エア様の知らないことを知っているってことが、申し訳ないことのように思ってしまった。

「でみ子……。でみ子ちゃん……本当に可愛いわ。わたくしも今度使ってみようかしら、なんて……うふふふ」

 けど、私のそんな気持ちはすぐに、エア様の可愛い笑顔に上書きされて消えさったのだった。



 それから気を取り直したエア様は『亜世界樹』に向き直ると、その太い幹にそっと手をかける。そして、独り言のようにボソリとささやいた。

「で、でみ……いえ、研究者の部屋へ」

 次の瞬間、その言葉に反応するように『亜世界樹』の幹が動き始めた。コンクリートのように固かったはずの幹に、まるで水面のような波紋が生まれて、エア様が触った辺りを中心に、だんだんと奥の方へとめり込んでいったんだ。もちろん、エア様が実はものすごい怪力で、力づくで木を押してめり込ませた、なんてはずもなく。その現象が精霊の力によるものだってことは、私はもう知っていた。

 やがてそのめり込みが小さな穴になって、小さな穴がトイレの個室くらいの大きな「うろ」になると、エア様は手のひらで私をその中へと招き入れた。特に戸惑うこともなく、それに従う私。エア様も私の後に続く。

 私たち2人の体がすっかり入ってしまうと、それをきっかけにして、開いたときと同じようにその「うろ」の口が自動的に閉じていった。中には照明や窓なんてなかったので、口が閉じていくにしたがって周囲は暗闇で包まれていく。とうとうその口が完全に閉じきってしまうと、『亜世界樹』の幹の中にぽっかりと開いた真っ暗な空間に、私とエア様の2人は閉じ込められてしまう格好になった。


「大丈夫ですか?」

「え、ええ……」

 姿は見えないけれど、すぐ近くからエア様のきれいな声が聞こえる。合わせて、甘くていい香りのするそよ風が、ふわっと私の顔をなでた。きっと、あと1歩前に踏み込むだけでお互いの体が重なってしまうくらいに、今の私たちは至近距離にいるのだろう。

 ふと、小さい子供のころに家でかくれんぼをしていて、友達と2人で押し入れの中に隠れたときのことを思い出した。あの頃の私は真っ暗な押し入れの中が怖くって、それを誤魔化すためにその友達と手をつないでずっと話しをしていて……結局そのせいで、すぐに鬼に見つかっちゃったんだ。

 今はもう、私もそこまで暗闇や狭い場所が苦手ってわけじゃないけれど……それでもやっぱり完全に何も感じない訳でもない。「昨日」も何度かこれに「乗った」のに、私はまだ、完全にはこの「乗り物」に慣れていないみたいだ。

 グググゥゥゥ……。

 やがて鈍い音を立てながら、私たちの体が、木の幹の中の「うろ」ごと、ゆっくりと上昇していった。


 これは、この『亜世界』のエレベーターだ。

 木の精霊の力で『亜世界樹』の太い幹に大きな「うろ」を作って、その中に入った人を、『亜世界樹』の中のどこにでも連れて行ってくれる「建築物」。アキちゃんが、木の精霊の力を『亜世界樹』の中に閉じ込めて、いつでも誰でも使えるようにした物だ。

 実は、エア様と6人の妹ちゃんたちが毎日眠ったり休んだりしている各個人の部屋は、その全部が『亜世界樹』の幹の内側にある。『亜世界樹』の中に、アキちゃんの職能を使って作った大きな空洞が何個もあって、その中に、アグリちゃんの料理を食べたときのテーブルみたいな感じで、ベッドとかその他の家具とかが作ってあるんだ。

 まさにツリーハウス、あるいは、キツツキの巣って言った方が近いかも。だけど、その部屋が普通のツリーハウスや鳥の巣とちがうところは、それが「完全に『亜世界樹』の中に入り込んじゃってる」ってことだ。木の中に部屋を作っているんじゃなくって、木の内部を部屋の形に変形させている。つまり、その部屋全体が木と一体化しちゃってるわけで、外側からみてもその部屋には入り口がないんだ。だから普通に木をよじ登ったり、風の精霊の力で空を飛んでも、その部屋の中に入ることは出来ない。一応、外の空気や太陽の光を取り入れるための小さな窓はあるけど、それだって人が通り抜けられるほどの大きさはないしね。

 そんで、その部屋に入ることが出来る唯一の方法っていうのが、『亜世界樹』の幹の中を通り抜けることの出来る、この『亜世界樹エレベーター』ってことなんだそうだ。

 実は、「1周目」に私がアキちゃんに作ってもらった部屋も、みんなと同じように『亜世界樹』の中にあったから、私は既に何度かこのエレベーターを使ってはいた。だから、さすがに「このエレベーターそのもの」には慣れてきてるはずなんだけど……。


「もう少しの間だけ、ご辛抱くださいね?すぐに、『研究者』の部屋につきますから……」

 そう言ったあと、エア様のすべすべの手がぎゅっと私の手を掴んだ。そうされて初めて、私は自分がさっきまで微かに震えていたことに気づく。

 きっとエア様は、私がこの暗くて狭いエレベーターのことを怖がっていると思って、そんなことをしてくれているんだろう。手を震わせている私のことを安心させようとして、私のかくれんぼの時みたいに手を握ってくれているんだ。本当に、エア様は優しいなあ……。

 でも、だからこそ。「実は私が今震えているのは、貴女のせいなんですよ」なんてことは、私は口が裂けても言えなかった。

 ってゆうか、単純に恥ずかしすぎるんだよ。こんな密室で……こんな、至近距離で……ナイスバディな美人さんと、2人きりでいるってことが……。

 い、いや、別に意識しなきゃいいってことは、分かってるよ?どうせ真っ暗で何も見えないんだし、待ってれば、そのうち必ず「目的地」につくわけだしさ。エア様が言ったみたいに、少しの間だけ我慢すれば、こんな気持ちなんてすぐに消えてなくなって……。


「このエレベーターは『建築家』が作ったもので、今まで1度も事故などを起こしたことはございません。とても安全な乗り物です。ですが、最初は少し恐ろしいですよね?わたくしも、800年ほど前に初めて乗ったときは、足が震えてしまいましたもの」

 見当違いな励ましをかけてくれるエア様。嬉しいけど、今の私はそういうわけじゃなくって……。

「よろしければ、わたくしの体におつかまり下さい。きっと、その方がお体が安定して、安心できるでしょうから」

 いやいやいや……。

 優しいエア様の申し出に、私は余計に恐怖を感じてしまう。

 だってせっかく私が、暗闇で何も見えないからこのままやり過ごせればいいって思ってたのに……。エア様に、つかまる?そんなの完全に逆効果じゃん。

 こんな暗闇で、こんな狭い空間で、ただでさえ結構体が密着しちゃってるっていうのに。その上、エア様のそのワガママボディに抱きついたりなんかしたら、本当に、どんな間違いが起こるかわからないっていうか。今の状況に緊張して震えちゃってるような私が完全におかしくなって、エア様の変なところを触ったり、変な声を出しちゃったりしそうで……。

「さ、どうぞこちらへ……」

 暗闇の中で、エア様の手が伸びてくるのが分かる。ちょ、だ、だからダメだってばっ!

 慌てて、私はその手を払おうとする。

「私は別に、大丈夫ですからっ……!?」


 ぷにゅっ。


 でも、エア様の手を払い退けようとした私の両手はその瞬間、手ではなく、何かもっと柔らかい物を押していた。しかも結構強く押していたはずなのに、「それ」のあまりの柔らかさに私の力は完全に吸収されてしまって、払い退けるどころか逆に吸い込まれてしまったんだ。まるで、大きなビーズクッションにでも手を突っ込んだみたいに……。

 あ、あれ?暗闇でよくわかんないんだけど、でも、この木の「うろ」の中にこんなに柔らかい物なんてあったっけ?しかもさっき私が「それ」に触ったとき、エア様が小さく「あっ…」なんていう、色っぽい声を出したような……。

「あ、あの……。あれ?え、エア様……?」

「……失礼しました」

 何故か、エア様の方から謝られてしまう。えっと……ど、どういうこと?今って、も、もしかして、私……。

「おかしな声を出してしまって、申し訳ありませんでした……。そ、その……アリサ様がもし、『そういうこと』をお望みなのでしたら……どうぞ、先ほどの続きをして頂いても構いませんので……」

 え?え?え?じゃ、じゃあ……や、やっぱさっきのって、そ、そういうことで……。

「アリサ様でしたら、いくらでもわたくしの胸に触れていただいても……」


 うわああああああぁぁぁ…………。

 全身が真っ赤に染まっていく私。体温が急上昇していって、エレベーター内の気温を2、3度は上げてしまった気がする。体はわなわなと、さっきの比じゃないくらいに震えていって……。

「ち、ち、ち、ち……ちっがぁーうっ!」

 たまらず、狭い密室内で私は叫んでいた。

「ち、違うんですよエア様っ!さっきのは私、わ、わざとじゃなくって……!私、エア様の胸なんか触るつもりはなくってですねっ……」

「え?……ああ、そうですよね」

「そうですそうです!そうなんですよっ!」

 やけに物わかりよく納得してくれるエア様。でも、私にはそれが何よりの救いだ。

「そうです、今のは完全に事故なんです!私が、エア様の胸をわざと触るわけないじゃないですかっ!そんなの、どう考えてもおかしいし……」

「そうですよね………わたくしの胸なんて、さして価値のない、つまらない物ですものね?アリサ様が、そんなものにわざわざ触れて下さるはずが……」

 と思ったら、斜め上の解釈で返してきた。私は慌ててそれも否定する。

「い、いやいやいやっ!それもおかしいしっ!な、何言ってるんですかっ!?エア様の胸はつまらなくなんかないっすよっ!ため息が出ちゃうくらいすっごい立派で、ほぼ無いに等しい私と比べたら、まさに雲泥の差ですよっ!エア様の胸は、私をはじめとした全世界の無乳女子の憧れなんですからっ!」

「そ、そうなのですか……?ではやはり、先ほどのアリサ様は?」

「そうです、そうです!だから私、エア様を初めて見た時から、『うわー、この人すっごい立派なおっぱいしてるなー』、『いいなー、どんな触り心地なんだろーなー』って思ってて、そしたらちょうどこのエレベーターに乗って周りが真っ暗になったから、よっしゃ今がチャーンス………って、それも違ぁーうっ!な、な、何言わせるんすかーっ!」

「まあ……」

 恥ずかしそうに声をあげるエア様。真っ暗なのに、私には彼女の顔がちょっと赤くなったのが分かった。私が勢いでとんでもないことを口走っちゃったせいで、完全に変な誤解されてしまったようだ。私は更に慌てふためきながら、さっきの失言を否定しようとする。

「ち、違うんですよエア様!ちゃんと私の話を聞いてくださいっ!今のはホンの冗談で、私にはそんなつもりなくって……!?」

 そして。

「うわぁっ!?」

「きゃっ」

 余りに慌て過ぎていた私は、真っ暗な中でエア様につかみかかろうとして、うっかりバランスを崩してしまった。そしてそのままエア様の方に倒れかかって、彼女をエレベーター内の壁に押し倒してしまう。……と思ったら、丁度そのときエレベーターが目的地に到着したらしく、エア様を押し倒しそうになった壁が再び開いた。

 そう。この『亜世界樹エレベーター』って、見た目はともかく、動き方は結構私の世界のエレベーターと同じ所が多いんだ。

 入口で、ボタンを押す代わりに声でエレベーターに目的地を教えてあげると、後は扉が自動的に開閉して、乗客を乗せて勝手に動き出す。そんで目的地に到着すると、乗った時と同じように自動的に扉が開いてくれる……って感じで。

 今の私たちの場合、目的地っていうのは乗る前にエア様が言った「でみ子ちゃんの部屋」なわけだから、今開いたその扉の向こう側も、当然すぐにでみ子ちゃんの部屋ってことで……。


「ぶほっ!」「ぁんっ…」

 開いた扉からエレベーターの外に投げ出されて、部屋の中にまで転がりこむ私とエア様。しかも、そのままエア様を下にして床に倒れ込んでしまって、私は彼女の体に覆いかぶさってしまう。しかもしかも、まるで狙いすましたかのように、今度は私の顔がエア様の豊満な胸に埋まりこんでいて……。

「う、うわわぁーっ!ご、ごめんなさーいっ!」

 急いでそんな破廉恥な状態から抜け出そうと、腕立て伏せみたいに腕の力で体を持ち上げようとする。でも、途中で焦って手を滑らせてバランスを崩してしまい、逃げ出そうとしたはずのエア様の胸の2つの山脈に、もう一度顔からダイブしてしまった。そのおかげで、さっきの気持ちいい感触をもう一度満喫出来てラッキー……って、いやいやいやっ!そんなこと思うわけないしっ!更に焦りを強めて、バカみたいにあたふたしながらエア様の上から脱出しかけたとき………。

「驚きましたね」

 床に倒れている私とエア様の上の方から、機械のように感情のこもっていない冷めた声が聞こえた。


「来て早々に、私たちが愛して止まない姉様のことをそこまであからさまに蹂躙するとは……。この『エイリアン』には、倫理観というものが過剰に不足しているのではないでしょうか?不純です。不潔です。不健全です」

 見上げるとそこには、私のことを軽蔑の眼差しで見下ろしている、でみ子ちゃんの姿があった。


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