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【あらすじ】
普通の女子高生の七嶋アリサが召喚されたのは、剣と魔法の異世界…ではなく、その異世界が分割して出来た『亜世界』だった。
『人間男の亜世界』のアカシニア王子から、分かれてしまった『亜世界』たちを1つずつ結合させて、再び元の1つの異世界に戻してほしいと依頼されたアリサ。しかもその方法が、各『亜世界』に必ず1人いるという『管理者』に、アリサがディープキスをするという……。
最初は反発していたアリサだったが、『モンスター女の亜世界』で、猫のモンスターのティオやサテュロスのタルトたちと出会い、心をかよわせていくうちに、そんな生活にも少しずつなれていった。
しかし、安寧の日々は長く続かない。
実はアリサが友人と思っていたタルトこそが『モンスター女の亜世界』の『管理者』のアシュタリアだった。『亜世界』のルール違反者を裁こうとする彼女の登場により、チートを行っていたティオとその妹のサラニアは死亡させられてしまう。
アシュタリアを責めるアリサだったが、自分と『亜世界』に住む彼女では、物事の見方、価値観がまるで違うのだということを知り、彼女との対話を諦めて立ち向かう決意をする。そして見事に彼女とキスを交わし、『モンスター女の亜世界』と『人間男の亜世界』の結合に成功するのだった。
だが、役目を終えて『人間男の亜世界』に戻ってきたアリサにアカシニア王子が告げた言葉は、彼女を更に絶望の底に突き落とした。
「『亜世界』の結合とは、1つの『亜世界』が別の『亜世界』を吸収すること。アリサのキスは、『人間男の亜世界』が他の『亜世界』を支配するための契約だ」
その言葉通り、アシュタリアをはじめとしたかつての『モンスター女の亜世界』の住人たちは、『人間男の亜世界』ではそれまで持っていた力を完全に失っており、アカシニア王子たちにとって奴隷同然の存在になってしまっていた。
知らなかったとはいえ、自分がその行為に加担してしまっていたことにアリサは酷くショックを受け、自暴自棄になってしまう。強引に『次の亜世界』に転送させられてからも、『管理者』に会う前に自ら命を絶とうと考えていた。
そんな彼女の前に『管理者』だと名乗るエルフの女性が現れて……。
【各『亜世界』とキャラクター紹介】
********** 普通の世界 **********
≪七嶋アリサ≫
この物語の主人公。高校2年生で、女子フットサル部に所属している。要領がよいためスポーツも勉強もそこそこに出来るうえ、性格も明るくて、学校の内外に友達が多い。本当の意味での優等生。(ただ、裏を返せば全体的に広くて浅い付き合いが多いということでもある)
『亜世界』に連れてこられる直前に、同じ学校の女友達から告白を受けており、それを断って彼女を傷付けてしまったことをずっと気にしている。
********** 人間男の亜世界 **********
アリサが最初に召喚された『亜世界』。
アカシニア王子の治める神聖アカシア帝国の隣国には、ならず者たちが集まって出来たアヴァロニア公国、知識・法・商業が発達したアーク・エル共和国等が存在する。
『管理者』を決める方法は「多数決」(間接選挙も含む)。
≪アカシニア・シュル・ロワール≫
神聖アカシア帝国の王子だったが、前皇帝である父親の急逝によって繰り上がりで皇帝になった。その際に、(多数の根回しと裏取引によって)帝国の教皇の座も手に入れている。神聖アカシア帝国では、『管理者』の能力は「神の起こす奇跡」と捉えられているため、神に最も近い存在である教皇になった時点で『亜世界』の『管理者』になったということになる。(アリサはその辺りの経緯は知らないので、ずっと王子と呼んでいる)
野心家で悪知恵の働く性格だが、人間としてはまだまだ幼さが目立つ。
********** モンスター男の亜世界 **********
詳細は不明。『人間男の亜世界』に吸収されてしまったため、既に存在しない。
********** 妖精男の亜世界 **********
詳細は不明。『人間男の亜世界』に吸収されてしまったため、既に存在しない。
********** 人間女の亜世界 **********
詳細は不明。
********** モンスター女の亜世界 **********
レベルという概念により、全ての生物の強さ(=存在価値)が相対化されている『亜世界』。
『人間男の亜世界』の研究者たちにもある程度は認識されていたらしく、アカシニアたちはこの『亜世界』のことを「アシュバルト」という名前で呼んでいた。
『管理者』を決める方法は「トーナメント」(同じレベル同士で戦うと、勝った方のレベルが上がる。最終的に最高レベルまで上げた者が『管理者』になれる)。
『人間男の亜世界』に吸収されてしまったため、既に存在しない。
≪ティオナナ≫
通称ティオ。人間と三毛猫が混ざったような風貌のモンスター。無邪気だが、意外と邪な性格。アリサと行動を共にしていたが、アシュタリアによって殺害される。
≪サラニア≫
人間と白猫が混ざったような風貌のモンスター。ティオナナの妹。当初はティオナナと敵対しているような素振りをしていたが、それは実は、チートでレベルを上げて『管理者』になろうとしていた自分の側にいると、ティオナナに危険が及ぶと考えていたから。ティオナナの死後、自ら命を断つ。
≪アシュタリア≫
『管理者』。幼い人間の子供のような体躯だが、肌は青くて目は黄色と黒。悪魔の一種。
レベルが全てを支配する『亜世界』を公平だと考え、それを乱す者を排除することが自らの使命と考えていた。だが、アリサにキスされたことによって『モンスター女の亜世界』は消滅し、彼女が守ろうとしていたレベルのルールもなくなってしまった(何故、格下であるはずのアリサに負けてしまったのかは不明)。
現在は『管理者』としての権利も剥奪され、アカシニアの策略によって人間よりもはるかに低い能力しか持っていない。
********** 妖精女の亜世界 **********
≪金髪のエルフ≫
自ら『管理者』と名乗った女性のエルフ。長身でスタイルがいい。詳細は不明。




