表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
竜医日記-Dragon Doctor's Diary-  作者: えりなけうす
-第一章 おはようございます。-
2/34

第一話

静かな教室。30人くらいは軽く入る大きさ。その中には10人くらいがまばらに座っていた。私は左端の席に着いていて、窓から入ってくる風が、肩まで伸ばした三つ編みを撫でていた。


黒板にはなにか文字みたいなものが書かれている。書いている人と、書かれている文字は、もやがかかっているようにピントが合わない。だからみたいなものと言うしかない。もしかしたら図が書かれているのかもしれない。教壇に立つ人が指示棒で何かを指しているけれど、やっぱり何を指しているのかは、わからない。


私はノートを取っていた。自分で書いている文字は読めなかった。長々と書いているみたいだけれど、書いている本人は理解しているのだろうか。


それを見ているとなんだか懐かしい気持ちになった。どれくらい昔のことなのか、どんなことを学んでいるのか、わからないままだけれど、なんとなく、ふと、懐かしいなって。そんな気持ちがあった。

いつどんな時だったか、思い出すのに目を瞑ってみたけれど、ただ暗くなるだけで何かが浮かんでくることはなかった。



しばらくしてから目を開いて見えたものは、木目がはっきり見える天井。所々ツタが這っていて、古いように感じるかもしれないけれど、これはこれでひとつのインテリアだと思えば悪くもない。

と思い込むようにしてる。

どこかに住み直せばいいじゃないか。と紹介されることもあるくらいボロいみたいだけれど、ここを離れる気にはなれないので、断ってきた。

その度に申し訳ない気持ちになってるんだけど……。


外にあるポストに新聞紙が届けられた音がした。カタンと。

いつも決まった時間に届くから、目覚まし代わりに出来るくらい。でもだいたい届く前に目が覚めて、意識がはっきりしているから、元々目覚ましなんていらないのかもしれない。まぁひとつのルーティンとして、その音を取り入れている感じ。聞こえたら動き始める。天井を見ながら

「おはようございます」

と、ひとりで呟いてから、ゆっくりと。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ