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すみませんが、誰か助けてくれませんか?え?そんな余裕はない?ではさようなら  作者: 南瓜
序章 始まりは計画的に、終わりは唐突に
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08 約束 〜勇者陣営〜



 「………う…?此処は……?」



 小さな呻き声を上げ、真っ白な空間の中で僕は目を覚ました。周りを見渡せば、他にも沢山の生徒が倒れているのが分かる。どうやら僕は此処にいる生徒の中で一番最初に目を覚ましたようだった。



 「…?!た、大変だ!!みんなを起こさなくちゃ!!」



 叫ぶようにして言い、周りの生徒を起こし始める。

 一人、また一人と目を覚ます者が増え、生徒全員が目を覚ました直後、僕の前に虹色に輝く光の玉が現れた。それは段々と人の形を成していき、一人の女性となる。

 膝まであるであろう緩やかにウェーブがかかった長い金髪を真ん中でわけ、白いウェディングドレスのような服装をした美女は、突然のことに驚く僕達を気にすることもなく口を開いた。



 「…まず、貴方達に謝らせて下さい。この度は申し訳ありませんでした」



 金髪美女は生徒達に頭を下げる。

 いきなり現れた金髪美女の謝罪に僕達は戸惑った。



 「すみません、貴方の名前を教えてくれませんか?僕達は一体どうなったんですか?よく分からないんですけど…」



 一番近くにいたので僕は金髪美女に尋ねる。



 「いきなり不躾で申し訳ありませんでした。私の名は女神フォーリス。貴方達をこの空間に呼んだ神です。元々私は貴方達の世界、『チキュウ』にいる神ではありません。私は『ロナエンデ』という異世界の神です。貴方達にお願いがあってこの空間に呼び出しました」



 真剣な表情で女神フォーリスは話しを進めていく。



 「…お願い、とは?」


 「……どうやら、私の世界の人間が貴方達に召喚魔法を行ったのです。召喚魔法は禁忌の魔法、しかしそれをどうしても行わなければならなくなった理由があります。それは魔王の復活です。魔王が復活したことにより魔族の動きが活発化し、ロナエンデは荒んでいく一方。このままではいずれロナエンデは魔王の手によって支配されてしまうでしょう。それを防ぐために、人間達は貴方達を召喚魔法でよびだしたのです。しかし…どうやら召喚される筈だったのはたった一人だけのようです」


 「なっ!なんだって?!」


 「一人の勇者を召喚する為だけに、どうやら周りの方々も巻き込んでしまったようですね。本当は勇者一人に力を与えるのですが…今この空間には貴方達全員で38名います。その一人一人に固有の力を与えました。厳しい異世界で生きていくには必要なものです。お詫びとして受け取ってください。本当にっ申し訳ありませんっ‼︎私がちゃんと管理出来ていたなら、貴方達は此処に来る必要もありませんでしたっ。本当にっ、本当に申し訳ありませんっ!!」



 そう言って必死に僕達に頭を下げた。僕は未だに顔を上げないフォーリスさんに近付いて、肩に両手をのせる。



 「顔を上げてください、フォーリスさん。貴女は何も悪くない!!」


 「…え?」



 フォーリスさんは恐る恐る顔を上げ、僕を見た。



 「貴女は何も悪くないんです!!悪いのは魔王と魔族だ!!貴女は何も気負わなくていいんです。僕が魔王を倒してみせます‼︎そして必ずロナエンデに平和をもたらしてみせます!!」

 

 「……ふふっ、貴女は優しい人なんですね。約束ですよ?」


 「はいっ、約束です!」



 フォーリスさんや世界の人達が困っている‼︎困っている人を放っておくことは出来ないよ……

 必ず僕が魔族達を倒して世界に平和を齎してみせるんだっ!!



(でも何だろ?やけにフォーリスさんが近い気がする……気のせいだよね!)



「……っ?!」



 フォーリスさんと向かい合って笑いあっていると、突然フォーリスさんがバッと勢いよく後ろを振り向いた。しかし背後には何もない。



 「…?どうしたんですか?フォーリスさん?」


 「……いえ、今誰かいた気がしたんですが…」


 「??フォーリスさんの後ろは最初から誰もいないままでしたけど…?」


 「……?そうですよね、疲れてるのかしら」



 フォーリスさんは再びぼくに向き直る。あれ?さっきよりも近い気が……



 「(気の所為だったのかしら?まぁ良いわ、神が作った空間の中に入り込めるなんてあり得ないことだし……もうそろそろ送り出す時間かしら?宮下 翔君ともっと話していたいのに…彼、どうしても異世界に連れて行かなきゃ駄目なの?)…もう時間です。貴方達を異世界へお送ります。一人一人の固有の力は実際に異世界に行ってから確かめてください」


 「お、おいっ!!」



 フォーリスさんが言い終わると同時に生徒達の身体が光だす。最後に、何か知ったような声が聞こえてきたけど…大丈夫なのかな?

 最後に、フォーリスさんは僕に向けてニッコリと微笑む。



 「では、良い旅を」



 そうして、僕ら生徒38名は異世界へと飛ばされた。



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