065 ②
予告もなしに更新を停止してしまい、申し訳ありません。
65話です。よろしくお願いします。
「皆様私がいいと言うまで目を閉じていて下さい…………はい、ちゃんと目を閉じましたね?まずは身体中に流れている魔力を感じてみて下さい。感じる事が出来ましたら最初はゆっくり。慣れてきましたらだんだんと速度をつけて魔力を巡らせて下さい」
生徒達は言われた通りに目を閉じて自分の魔力に集中する。
「……まだ大丈夫なようですね。ここからは何があっても動揺せずに目を閉じていて下さい。気分が悪くなりましたら無理をせずに目を開けて手を挙げて下さい」
サーキスの言葉に一体何がはじまるのか、と生徒に緊張が走る。
「今、皆様一人一人が持てる最速速度で魔力を身体中に循環させて下さい。そしてそのまま私が今から言う言葉を復唱して下さい……いきますよ?……〝我 いかなる時も〟」
『我 いかなる時も』
サーキスに続き、生徒達は復唱していく。2つの事を同時に行うというのは以外と難しいものだ。魔力を最速速度で体内に循環させながら並行して復唱するというのは思った以上に生徒達に体力を消耗させていた。
「ーー〝我 今ここに 神に誓う〟」
『我 今ここに 神に誓う』
「はい、これで全文となります。
あぁまだそのまま魔力を循環させていて下さいね。お気付きの方もいると思いますがこの文章は座学の一番初めの授業で習った、この世界そのものに対して誓いをたてるものです。この文を詠唱しながら身体に魔力を巡らせ慣れさせることでこの世界の力を貸してもらうのです!
と、いうわけで…」
サーキスは態とらしくそこで言葉を切り、生徒達に何やら紙を配り始めた。そこに書かれているのは今さっき復唱した文だ。
「今から3時間、魔力を循環させたまま復唱し続けてもらいます。勿論私もマリン様も魔力探知は出来ますのでズルをしたらそこで退室してもらうことになります。あ、それともし倒れてしまっても此方で既にベッドは用意させてもらっていますのでご心配なく」
笑顔で言われた言葉に、生徒達の表情は凍りつく。
「準備は……もういいですよね?それでは、始め」
こうして、三時間という短い間で生徒20人以上が気絶してベッドに運ばれることとなった。
後に〝魔の三時間〟と呼ばれるようになり後世の勇者達には笑い話として伝えられていくことになるのを当然本人達は露ほどにも思っていないだろう。




