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すみませんが、誰か助けてくれませんか?え?そんな余裕はない?ではさようなら  作者: 南瓜
幕間 訪れるかもしれない未来のお話
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057 未来のお話、

クラス名簿の作成が終わったので漢字を訂正しました。梨沙→梨彩

かの有名なLIN○はちょっとまずいなと思ったのでLINKに訂正。

「 …………もういい! 梨彩の好きにすれば良いじゃん!!」


「 はぁ……何時も勝手に怒ってなんなの? 1人で喚いてれば? 私もう学校行くから 」


「 〜〜〜っ!! 行けば?! 別に私の許可なんて必要ないでしょ?!」


「 あっそ 」



ガチャ

ーバタン



そう言って梨彩は1人で学校に行ってしまった。


喧嘩をするのはいつもの事。

私が一方的に突っかかって子供みたいに叫ぶ。

梨彩はそれをいつも呆れたようにして軽くあしらい、相手にもしない。





そう、いつもの事だ。

飽きる程いつもしているこのやり取りを、この先一生後悔するとは誰が思っただろうか。





◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



「 梨花、なんか学校の前にめちゃくちゃパトカー止まってるんだけど」


授業中にこっそりそう話しかけてきたのは隣の席の友達。


「 ? パトカー? 救急車じゃなくて?」


「 うん。 ……あ、なんかいっぱい警察の人が降りてきた」



ープルルルルルルル


急に教室に設置してある電話が鳴り、先生が受話器を取る。


「 ……はい……はい、分かりました。すぐそちらに向かいます」



受話器を置き私達生徒の方に向き直った先生は少し緊張したような顔をしていた。


「 学校側で少し問題が起こった為、今日の授業はここまで。この後は教員からの放送があるまで教室で静かに自習すること!良いか、絶対に指示があるまで教室を出てはいけないぞ!良いな!!」


先生は教室からは出てはいけないとやたらに念を押し、急ぎ足で出て行ってしまった。


先生が居なくなると途端に生徒達は騒ぎ始める。




「 これ絶対に外のパトカーと関係してるよね?!」

「 え、なになに?警察来てんの?」

「 ほらお前のお迎えが来てんぞww」

「 不審者でも入ったのかなー?」

「 何起こってんの?自習になったのは良いけどさぁ…」



騒ぐ生徒達を横目に私はスマホを弄る。他のクラスの友達にもLINEを送ってみると皆一様に同じような状態らしい。


「 んん〜」


隣の席の子が唸り声を上げる。


「 どしたの?」


「 返事が返ってこないー!遅いよー!!」


「 ?ただ単に気付いてないんじゃない?」


メールをしてもすぐに返事が返って来ないのはよくある事だ。


「 でも1時間近く前に送ったLINKだし……。次の時間英語の小テストあるじゃん?その問題いつも教えてもらってるから気づかない筈ないんだけどな〜 」


週一でやっている英語の小テスト。確かに、いつも教えてもらっているというなら小テストをやった時点で知らせるのを忘れたりはしない。


「 それって何組?聞いてあげようか?」


私のクラスがこの騒ぎならきっと他のクラスも同じだろう。


「 3組! 英語終わってるの3組しかないんだ〜 」



( ……3組か、ヤバイ。3組でメアド知ってるの梨沙しかいない )


でも私も小テストの問題知りたい。


「 …………分かった。ちょっと聞いてみる 」


梨彩はいつも私との喧嘩を気にしていない。ただ私が我儘なだけで梨彩は至って普通の態度を取る。


喧嘩はいつものこと、

だから仲直りもいつものこと。


「 あ、もしかしてお姉様に聞くの?」


「 …………うん、そう 」


「 なんか間があるってことは、またお姉様と喧嘩したんでしょ?」


「 分かる?」


「 分かる分かる!ほんと青木twinsは仲が良いのか悪いのか分かんないよね〜 」


「 仲は悪い、と思う… 」


「 見た目は一緒でも中身は正反対だもんね、喧嘩するのは分かるけどその後何でもない風に接するのが凄いというか…流石双子というか… 」


「 そうでもないと思うけどー」


言葉を続けようとしたその時、緊急用のチャイムがスピーカーから流れた。


『 全校生徒の皆さんにお伝えします。

15時30分より緊急の全校集会を行います。教員の指示に従い速やかに体育館へ集合して下さい。繰り返します。

15時30分よりーー 』



「 やっぱりなんかあったんだよー!」


「 そうみたいだね。あ、先生 」



担任の先生が教室に入って来て生徒達を誘導し始めたので私達も席を立つ。

スマホを手に取り通知を確認するが一件も入っていない。


( ……LINKの返事来ないな )


友達と喋りながら体育館に移動する。既に全校生徒の多くの生徒が詰め掛けており、生徒で体育館の入り口が塞がるほどに混んでいた。


生徒に押されるような形で体育館の中へと入り、クラス全員が整列し終わると座るよう促され腰を下ろした。


体育館の全体を見渡せば殆どのクラスが点呼をとって先生に報告している。

突然の緊急集会に落ち着きを隠せないでいる生徒達をぼーっとして見ていると少しだけで違和感をおぼえた。


( ………あれ?うちの学校って生徒これだけしかいなかったっけ?)


いつもはぎゅうぎゅうに詰めて全校集会をやるのに今は胡座をかける余裕さえある。


( ……梨彩は?)


何故か嫌な予感がした。

双子の勘、とでも言うのだろうか?

兎に角今は梨彩の様子が気になって仕方がなかった。


頭を忙しなく動かしながら自分のの片割れの姿を探す。


( 梨彩、どこ? )


いない。

梨彩がいない。


( どこ?梨彩どこ? )


私は5組で梨彩は3組。

組が一つ離れているとはいえ、何時もなら座っていても姿は確認できた。

しかし今は何処にもいない。

見つからない。


「 大丈夫?具合悪いの? 」


後ろに座っている子が心配そうに話しかけてくる。


「 あ……、いや、大丈夫 」


「 そう?それならいいんだけど……」


( 何やってるんだ私。別に梨彩が見つからないからって焦ることないじゃん。)


周りに迷惑をかけてどうする。


そう自分を落ち着かせようとしたその時、校長先生が壇上に上がるのが見え気を取り直して俯いていた顔を上げる。


「 えー急な全校集会を開き、生徒諸君、及び授業中だった先生方にも申し訳なく思っております。生徒の皆さんに集まっていただいたのは…、非常に悲しいお知らせがあってのことです。」


自分の心臓の音が煩い。

鼓動なが段々早くなっていくのが鮮明に感じられて気持ち悪い。


「 …………本日の13時頃……2年3組の生徒35名、及び同学年の他クラスの生徒3名、一緒に行動していたと思われる3年1名が行方不明になりました。」


校長先生のその一言に、一気に体育館が騒がしくなる。


「 ……静かに!今は大事な話をしています! 」


それでも生徒達のざわめきは収まらず、仕方なく校長先生は続きを話し始める。


「 生徒が行方不明になったと判明したのは今日の14時頃。4限目の数学担当の末広先生が教室に到着した時には既に1人もいなかったそうです。原因は未だ不明。この異常事態に警察による大規模な捜査が行われます。よって今日の授業はこれにて中止。明日は臨時休校、部活も禁止としますが原因が発覚しない以上生徒が狙われる可能性が大きいので外出は控えるように。1年生、3年生は教室に戻ってホームルームを行った後、直ちに下校。2年生はこの後警察の方々による事情聴取が行われますのでこの場に残るように。以上です 」



思った以上に短かった話が終わり、校長先生は壇上から下りていく。


そうして1年と3年が体育館を退場した後、2年全員の事情聴取が始まった。



◆◆◆◆◆◆◆◆◆



「 あ〜疲れた。息が詰まっちゃいそう 」



そう言って友達が私に歩い寄ってくる。

2年3組に私の双子の姉がいるのをクラスの人は知っている為皆な私を遠目に見ているだけだったのに…案外良い友達を持ったのかもしれない。



「 3時間目の事を聞かれたけど普通に授業受けてたし…そもそも隣の隣のクラスなんて授業と授業の空き時間に行かないよ 」


教科書を借りるのだって普通隣のクラスだし、とぼやく。


確かにそうだ。

隣のクラスなら兎も角、隣の隣の事なんて分からない。


「 梨花はお姉さんのことでなんか言われた?」


周りが気遣って誰も突っ込まなかった事を聞いてくる。

逆に私はそれが嬉しかった。


「〝 ご協力感謝します。君のお姉さんは必ず見つけてみせるから、安心して 〟…だってさ 」


( ……安心なんて出来ない )


気休めの慰みの言葉をかけられ、私の中で何か色々なものが冷めた気がする。


「 梨花……辛い?」


どこかの漫画に出てくるような台詞を私に言った。


「 全然。私と梨彩が仲悪いの知ってるでしょ?寧ろいなくなって精々したわ」


あははは、と声を立てて笑う。

その子は何故か痛々しいものを見るような目で私を見てきた。


( ……そんな目で見るな )


さっきまで良い友達と思っていた私が馬鹿だった。

私は同情して欲しいわけじゃない。


私は周りを見渡す。

私達の学年で双子は一組(ひとくみ)しかいない。

それも一卵性の双子である為ある程度有名なのは自分でも認識している。

逆にそれが仇となった。


皆が皆、私を憐れみの目で見てくる。


( そんな目で、見るな )


私は、私達は可哀想じゃない。

私と梨彩は双子。

なんだかんだいつも一緒だったんだから。


だから、

だから、


( 帰ってこない、なんて……決めつけないでよ )


涙が溢れてくるのが分かる。

どんなに止めようと思っても止まってくれない。


「 梨花待って!」


友達の制止も聞かずに体育館の外へとび出し、泣きながら2年3組へと走った。


2年3組の前には黄色いテープが張り巡らされており警察の服を着た人が何やら現場検証を行っている。


私はテープを潜り抜けて2年3組の教室に入ろうとした。


「 君!何をしている?!」


しかしそれは叶わず、数人の警官に身体を取り押さえられる。


「 落ち着いて!」


「 うるさい!離せ、離せよ!!」


私は泣きながら暴れた。

教室の中にある梨彩の鞄を誰にも触らせたくなかった。

だって梨彩は私の双子なのだ。

梨彩の鞄は私の鞄。

正常な思考をしていない事は私も理解しているつもりだ。


それでも譲れないものがある。


これは双子の意地。


青木梨彩の妹、

青木梨花の意地。

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