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すみませんが、誰か助けてくれませんか?え?そんな余裕はない?ではさようなら  作者: 南瓜
序章 始まりは計画的に、終わりは唐突に
53/84

052 謎生物

更新が遅くなり申し訳ありません。

52話です。

蒼のロミオに対する口調が間違っていたので修正しました。内容に変更はありません(20150806)

謎生物に伸ばした手からポタポタと血が流れ落ちる。

今の状況を説明しよう。

謎生物に触ろうとしたら何やら身体中から針みたいなものが生えて見事に俺の手に突き刺さった。

俺が言葉を発した直後に針は引っ込んだが、流石にもう触ろうという気にはなれなかった。


「……イテェなぁ」


ぶっちゃけ尋常じゃないくらいに痛い。泣き叫びたいくらいだ。

もしかしたらこの世界に来てから一番酷い怪我かもしれない。


手と指に穴が空いてしまったが、俺は生憎治癒魔法は勉強していなかった。

隣の部屋のロミオにでも治してもらいに行くとしよう。


俺は今だに動かない謎生物を放置して隣の部屋へと向かった。





◆◆◆◆◆◆◆





「はい、手当て終了です」



ロミオはそう言って俺にかけていた魔法を解く。

俺の手に翳されていた、ロミオの両手から発されていた淡い緑の光が完全に消えるとそこには穴が空く前の俺の左手があった。


「ありがとな」


「でもアオイさんが怪我をして帰ってくるなんて珍しいですね。今回の討伐の仕事、そんなに手強い相手だったんですか?」


「あぁ、今回は大きいマンドラゴラで蔓に手をグサッ、と刺されてな…」


「うわぁ…でも無事に帰ってこれて良かったですね。最近魔物が活発化してきてるらしいですし」



…本当は針でグサッっとだけどな。


そんな言葉を飲み込んで俺は素早く椅子から立ちあがり、部屋を出ようとする。あまり怪我の話をするとボロを出しかねない。


「あ、そうだ。今日の怪我のことはレオナルドさんには内緒にしておいてくれるか?」


ドアの直前で振り返り、いかにも今思いついたような口振りでロミオに言った。


「それは構わないですけど…どうしてですか?」


「いや、ただ単に騒がれたくないから。レオナルドさんあぁ見えて心配性だからな」


「あはは。本当にあぁ見えて、ですよね。

分かりました、今日のことは秘密にしておきます。レオナルドさん仲間思いなのにいつも無愛想だから誤解されやすいんですよ。アオイさんが理解してくれて良かったです。」


苦笑しながら言うとロミオも笑って返してくれた。


「本当に色々ありがとう。それじゃあ、また明日」


「はい、お休みなさい」


今度こそロミオの部屋を出て自分の部屋に戻る。



ーバタン



「……はぁ」


自分の部屋に入り、俺は小さく溜息をついた。


謎生物を確認しようと机の下を覗き込んだ。が、俺がロミオの部屋に行っている間に移動したのか、もう机の下にはいない。


(どこにいった?)



ーカリカリカリカリ



突然猫が窓を引っ掻くような音が聞こえ、音の発生源を探す。


「あれは…………何だ?」


音がしている方に目を向けると20cmはないと思われる程の小さな白い動物がいた。

俺はそれに歩み寄り、必死にドアを爪で引っ掻いているのをジッと見る。


(…………オコジョだ。オコジョがいる)


あの、見た目は可愛いのに気性が荒いと言われているオコジョがそこにいた。

ただ普通のオコジョと違う点は背中に羽が生えていることだった。まだ生まれたばかりの不完全でとても小さな羽だがちゃんと存在を主張している。



キューキュー



オコジョ擬きは俺の存在に気がついたのか、俺に向かって鳴き声をひたすら上げている。


(……凄く威嚇されているような)


放置して置くのも別に良いが、寝る時まで鳴かれては流石に困る。

煩くて眠れない。


兎に角このオコジョに俺が何の危害も加えない、という事を示さなければまた攻撃されかねない。



(……餌づけだな)



餌づけが一番手っ取り早いし、効果も高いだろう。


(確か昨日保存用に凍らせておいたリモの実がある筈だ)


あの一件から俺の好物はリモの実になった。まだ数はあり余ってるから一個位減っても平気だろう。俺の氷魔法は簡易冷凍庫を作る事も可能だで、形も想像が明確ならば思い通りにできるし、定期的に魔力を込めれば氷が溶けることはない。氷魔法は以外と使い勝手が良いのだ。


部屋の隅にある簡易冷蔵庫かリモの実を取ってこようと俺は移動し始めた。



ースタスタスタ



カリカリカリカリカリカリカリカリ



俺が歩き始めると背後から寮の木の床を動物が動き回る音が聞こえ思わず足を止めて振り返る。


俺のすぐ後ろにオコジョ擬きがいた。




スタスタ


カリカリカリカリ



再び歩き始め、足を止めてまた振り返る。


オコジョ擬きは俺が止まると同じように止まり、俺の足にすり寄ってきた。


どうやら威嚇されていたのではなく、親認定されていたみたいだ。


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