046 俺+α inアリア大森林 ②
46話です。
よろしくお願いします。
内容に矛盾が生じている事に気がついたので訂正しました。「帰って早く風呂に入りたい、と思ったがスラムに風呂が〜」→「帰って早く風呂に入りたい」(2015/03/26)
「レオナルドさん、そっちに一体逃げました」
「了解!」
逃げたオークはレオナルドさんに任せ、もう一体のオークに目を向ける。
(……話が違う。数が多すぎる)
目撃情報では確か20体いるかいないか位だった筈だ。
しかし今まで倒してきた数を思い出す限り、俺一人でも明らかに15体は倒しているだろう。
目の前にいるオークの数はあと3体。
この3体が倒し終わったら今度はアリエッタの花を摘みに行かなければならないと思うとやる気が失せる。
(面倒臭いな)
襲いかかってきた一体を、氷属性を付与した短剣2本で交互に斬りつける。
斬りつけた所からは、僅かではあるが凍っていき身動きが取れなくなった所で止めに頭を貫いた。
(……あと2体)
今度は此方から仕掛ける。
両手の短剣を回転させて苦無のように持ち替え、しゃがむと同時に地面に突き刺して剣に自分の魔力を送る。
俺の魔力が付与された短剣は青白く光り、それを中心として敵のいる位置まで黒い魔法陣が構成された。
魔法行使に必要な分だけの魔力を送り込み、魔法陣を白く光らせて常時発動可能の状態にする。
あとは鍵となる言葉を紡ぐだけだ。
魔法が行使される前に殺そうと、魔物が襲いかかってくる。
「リプス ラトサーク」
ーーパキィイン
俺がその言葉を言ったと同時に決着がついた。
2体いた魔物はまるで時間が止まったかのようにその場から動かなくなる。
しかし良く見てみるとどちらも魔法を発動する前より微かに全身が白みがかっているのが分かる。
スッ、と俺は左手を弱く凪ぎ、敵に向かって微量の風を送った。
ーパァンッ
魔物は粉々に砕け、反動で此方側にも風が送り込まれてくる。
その風には粉々になった魔物に混ざりの粒が飛んできてキラキラと光っていて一見とても綺麗な光景だが、実際は魔物の死骸なのでそれを全身に浴びている俺にとっては吐き気しか感じられない。
(…使う魔法、もっと考えれば良かった)
帰って早く風呂に入りたい。
地面から短剣を抜き、腰にあるホルダーに戻す。
俺は身につけていた膝下まであるマントを外し、バサバサとマントについた氷やら魔物の死骸やらを振り落とした。
マントも帰ったら洗おう。
「相変わらず派手だな」
一連の光景を見ていたレオナルドさんが近づいてくる。
「まぁ、適性が強過ぎるというのも考えモノですよ」
「…確かに、迂闊に人に使えないな」
さっき俺が使った氷魔法は中級クラスの魔法だ。
普通の冒険者が使うとただ魔物が氷漬けになるだけなんだが、俺は氷属性と相性が良すぎるらしく、体内の臓器まで凍らせてしまうらしい。
強いのならば問題ないが、その代わり上級魔法が被害が強すぎて使えないなという、ある意味ではデメリットもある。今俺が使った氷魔法「リプス ラトサーク」は使い勝手が良く、つい癖で発動させてしまう事がままある。俺が使う分には威力もなかなかだし、中級魔法だからそこまで魔力も消費しないで済む。お手頃なのだ。
が、俺が発動させた場合、この通り、塵となってしまうのでーー
「あのな、何回言えば分かる。討伐部位を残しておかなきゃ金にならないだろうが」
「すみません…」
レオナルドさんに怒られる羽目になる。
「まぁ今回はオークも大量にいたことだし2体位構わないが…くれぐれもその癖、早く直せよな」
はぁ、と溜息をつきながら呆れたようにレオナルドさんが言った。
このやり取りは何回目だろう。
毎回注意されているような気がする。
「それにしても、なんでこんなに情報が食い違っているんでしょうか…」
俺は近くに倒れているオークの討伐証明部位である鼻を素早く削ぎ落としながらレオナルドさんに聞いた。
「それならあれだ。ギルドのお知らせに書いてあったじゃねぇか」
「ちょ、知りませんよそんな事!」
そうだったな悪い、と軽い口調で謝られる。
この人は俺が賞金首になっている事を忘れてはいないだろうか?
何かと面倒な名前だという事を予め教えてもらったおかげか、ヴァンダスキン町支部のギルドに登録する時に咄嗟に偽名を書いた。それが功をなし、今の所本名は知られていない。
しかし俺の容姿はバッチリと見られていたのでそれを基に指名手配書が作成され、俺はあの町に出入りする事が出来なくなってしまった。
そんな俺がギルドのお知らせを知る筈もない。
「クエストボードにでかでかと警告用の紙が貼ってあってな、近頃魔物が激増中なんでクエストの討伐数が合わない事があるから自己責任でお願いします、だってさ」
「それ先に言って下さいよ!」
レオナルドさんのキャラが分からなくなってきた。ワイルド系イケメンだと思っていたが、最近はマイペースな面がよく見られる。
これは俺にある程度慣れてきたと受け取っても良いのか?
「こっちは終わったぞ」
「…………はい、俺も今終わりました」
切り取ったオークの鼻を合計すると41個で、目撃情報の倍はあった。




