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すみませんが、誰か助けてくれませんか?え?そんな余裕はない?ではさようなら  作者: 南瓜
序章 始まりは計画的に、終わりは唐突に
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038 異能者とは

「ご苦労、お前達は下がれ」


目の前で豪華な机に肘を突きながら淡々と男は俺の後ろにいた厳つい男達に淡々と声をかけた。男達はそれを聞き、何も言わずに部屋を出て行く。

男達が出て行った後には俺とその男の2人だけになる。

腕が自由になっていたが、今更抵抗する気はなかった。敵の本拠地で逃げ出そうとしても失敗に終わる事は目に見えている。

男の見た目は20代前半位だろうか?まだまだ若い。しかしその目付きは鋭く、何もかも見透かされているような気がして正直不快だ。本人はそんな気では無いのだろうが、俺をひたすら睨んでいるように見えてくる。

俺が沈黙に徹していると、相手の方から声がかかった。



「俺は新人類信仰国際組織、日本支部長の有栖川 春人(はると)だ。アジア支部長も兼任している。お前にはこれから俺の言う事を聞いてもらう。拒否権はない」

「……」


ちょ、待ってくれ。

ツッコミ所が多すぎる。

まず新人類…、何だって?もう一回いってくれ。

そんな淡々と話されても困る。

手紙には選択の余地があったのに殆ど強制じゃねーか。話が違う。


「……断ったら?」

「お前の意思は関係ない。二度は言わん」


…………………………何でそんな偉そうなんだ?

年上だとしても上から目線過ぎるだろ。

段々イライラしてきた。

何故俺がこんな目にあわなけりゃならんのだ。


「お前は普段の生活をしてもいい……が、呼び出しには応じてもらう。お前に色々と教えねばならないこともあるしな。

いいか、常に組織の監視下に置かれている事を忘れるな。この組織の事を口外した場合……話した人間を処分する。なに、お前は貴重な人材だからな。殺しはしないが…関係のない人間を巻き込んだ場合はその人間が死ぬだけだ。家族も例外ではないことを覚えておけ」

「……⁈」


最後の言葉に息を呑んだ。

俺が他人に話せばその人は殺される。しかし、家族くらいには言っても良いと思っていたからだ。家庭崩壊していたとしても、一応、家族である。

知っていて欲しかった、というのが本音だった。


碓氷(うすい)


有栖川がそう呼び掛けた途端、何もなかった筈の有栖川の隣に一人の女性が浮かび上がってきた。


「ここに」

「⁈」


どういうイリュージョンだよ…

驚き過ぎて息が一瞬止まった。


「村上の資料には目を通してあるな。お前が案内してやれ」

「分かりました。お初にお目にかかります。有栖川支部長の第一秘書、碓氷(うすい) 真理子でございます。早速ですが、村上様の今後について説明しながらのご案内とさせていただきますので、よろしくお願いしますね。それでは(わたくし)の後について来て下さいませ」


碓氷 真理子と俺に名乗った女性はにこやかに俺に挨拶した。

俺は碓氷さんに促されるようにして部屋を出た。


ーーーーーーーーーーーーー


「それでは今の村上様の状況について説明させていただきます」


煌びやかな長い廊下を歩きながら碓氷さんは俺に説明し始めた。


「私達は政府非公認の国際組織、New human faith international organizationー通称 NFIO(エンフィオ)、新人類信仰国際組織と言います。村上様のような生まれつき、能力を保持している《異能者》と呼ばれる方々を保護する為に設立された組織です。異能者が生まれるようになったのは戦後、第二次世界対戦が終結した1945年の翌年とされています。1946年に生まれた異能者の国際的な人数は約600人程度。それからというものの、毎年異能者が生まれる数は急激に増えてきています。村上様が生まれた年では既に1万人の方の能力の発現が確認されています。現在の異能者の国際人口は約35万人。約2万人に一人の確率ですね。このまま異能者が増え続ければ3千年後には全人類が異能者となっている事を予想しています。此方を見て下さい」


前を歩いてた碓氷さんがある部屋の扉を開ける。

そこは全部が眩しい位の白塗りの部屋で、中には白衣を着た沢山の人達がパソコンを動かしていたり何やら大掛かりな実験をしていたりして、かなり忙しい様子だった。


「ここは第五実験室です。組織では最大規模を誇る実験室となっています。ここでは異能者についての遺伝子や能力実験の解析などを担当しています。簡単に言うと、どうして異能者が生まれるのか、を解明する為の実験室ですね。この部屋はいつも忙しいんですよ」


少し苦笑しながら碓氷さんは扉を閉める。次に行きましょうか、と声をかけられ、また長い廊下を進んでいく。


「組織の名称にもあるように、異能者はまさに新人類…人間よりも一つ上の上位種なんです。私達人類は進化し始めているという兆しでもあるんですよ? 世界は人類に進化を求めているんです。しかし私達異能者はまだ数は少ない……その能力が世間に明るみになれば私達異能者はきっと危険とみなされ隔離されて、最悪殺されてしまうでしょう。権力者達はその能力故に、戦争や商売の道具として利用しようと画策します。そんな異能者達を守る為に作られたのがこの新人類信仰国際組織。異能者の為の異能者の組織です。他にも異能者の組織はありますが、特徴としてこの組織は一切の一般の人間の介入がない、実力だけで勝ち上がってきた唯一の異能者だけで構成された組織なんです。どうぞ中へ」


今度はさっきの第五実験室とは違い、照明が点いていない、かなり暗い部屋だった。一番前にある巨大スクリーンには世界地図が映し出されており、赤い点や青い点などがあちこちに散らばっている。構成員の人達は皆一様にパソコンに食いついており、キーボードを打つ音だけが響いている。


「ここは監理室です。この部屋にいる構成員は全員探知系、遠視系、転移系の能力者で今監視下に置かれている人物が世界のどこにいるか、また日本国内で発現した能力の位置特定をしています。」


ビーッビーッビーッ


そこまで碓氷さんが説明した後、フロア中に警戒音の様な音が鳴る。


「静岡県南部、能力反応あり‼︎」


すぐ側で作業していた女性が設置されているマイクに叫ぶ。


「十一班、出動要請です‼︎」

「了解しました‼︎」


数人の少年少女が一箇所に集まり、一人の少年の肩や腕に手を触れて、そこから消えた。


「⁈⁈ 今のは⁈」


多分十一班の人達だと思うが、それよりも消えた事に驚いた。


「今のは転移です。各地域ごとに担当する班が決まっていて、基本的には4人で一つの班とされています。一人はそこまでにいく転移系、一人は能力を探知して道案内役の探知系、一人は人物の特徴などを把握する遠視系、一人は一般人に見られた場合の対処を洗脳や記憶を操作する操作系です」


記憶を操作。

その言葉に俺は唖然とした。


「記憶を操作って…凄いですね」

「世の中にはまだまだ知らない能力があります。同じ系統でも本人の資質自体で変わるので全く同じ能力というものはありません。次にご案内する訓練場ではその事がよく分かるかと」


そう言われ、俺は管理室を後にした。


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