033 急展開〜勇者陣営〜
33話です
語彙を見つけたので、訂正しました。内容に変化はありません(2015/2/25)
「すみません、これ持っていってもいいですか?」
もうそろそろで食事が食べ終わる頃、俺達の近くで食べていた女子の3人組がメイドにそう言って席をたった。
「いえ、私達にお任せ下さい」
「私達が直接渡しに行きたいんです」
メイドの言葉に3人組は中々引き下がらなかった。
「…かしこまりました。すぐにご用意します」
メイドの方が先に折れ、女子に一人分の食事が乗ったプレートを渡す。
「ありがとうございます」
渡された女子は嬉しそうに答えたが、その笑顔には少し影があったような気がした。
「あれ、どう思う?」
広瀬は食べ終わっているのか、食器を置いてテーブルに肘をつきながら言った。
「あれって?」
なんかあったか?
「うっそ宮脇、お前無関心にも程があんだろ」
「⁇」
広瀬に信じられないようなものを見る目で言われたのは心外だ。
そもそも俺って無関心なのか?自分ではよく分からない。
「多分分かってないのはは宮脇だけだと思うよ。いつも食事する時クラスメイトが1人いないの、気付かなかった?」
……気付かなかった。
食事を始めるのは全員そろってからだけど食べ終わった後は各自退出していい事になっている。別に気にしてはいなかったが、そうか、気付いていなかったのは俺だけだったのか。正直凹む。
「……そう言えば何で居ないんだ?熱とか出してんのか?」
「それが分かるんなら苦労しないんだよ宮脇〜、なんか部屋に籠っているらし〜よ?」
「同室の奴はどうしてんだ?」
俺達は2人部屋が基本だ。
勇者(笑)は特別に1人部屋だとして、蒼がいない今俺達は奇数だ。基本ペアを組むが、俺はあぶれて実質1人部屋状態だ。死んだ鷲宮と同室の生徒会長も当然ながら俺と相部屋になる事を良しとしなかった。
「普通に生活してますぜ。あんまり刺激しない方が良いって思ってそのままにしてるみたい〜」
「それじゃ余計出てこないだろ」
あと広瀬その喋り方止めろ、苛々してくる。
…まぁ部屋に籠りたい気持ちも分からなくはない。俺達は戦いとは無縁な現代日本で生きていた。いきなり異世界に連れてこられて戦ってください、なんて無理な話だ。
ただでさえ同じ生徒だった奴が1人死んでいるっていうのに戦いたいなんて気持ちが起こる筈がない。
「ご馳走様でした」
堀がどうも静かだと思ったら今食事が食べ終わったようだ。大分遅かったぞ、女子かお前は。
「お待たせ、部屋に戻ろう」
堀のその声で、俺達は席を立った。
ーーーーーーーーーーーーーー
「ねぇ、ねぇってば。お願いだから開けて」
俺達が部屋に戻る際、近くから泣きそうな女子の声が聞こえた。そちらの方向に目を向けると何故か人だかりができていた。
俺はその中に紫の姿を見つける。
「紫、なんかあったのか?」
「あ、和秋」
どうやら近づいてきた俺に気付かなかったようだ。俺に肩を叩かれた紫は驚いたように振り向く。
「五十嵐さんが部屋の鍵を閉めたまま閉じこもっちゃったの」
紫は人だかりの中心にある一つの扉を指で指して言った。
(……閉じ篭っている子って、五十嵐さんのことだったのか)
五十嵐さんと俺は同じ保健委員で、その関係もあって女子の中でも割と話す方だった。
「杏㮈ちゃん、鍵開けて」
どうやら同室は和田さんのようだ。
鍵を開けるように、必死に話しかけている。
周りの女子も説得しているようだ。
しかし五十嵐さんの返事は返ってこなかった。
「辛いのは杏㮈だけじゃないんだよ‼︎」
女子の誰かがそう叫んだ時だった。
「うるさいっ‼︎‼︎‼︎‼︎」
部屋の中から飛んできた荒々しい声に辺りが静まり返った。
そこからは五十嵐さんの独壇場だった。
「お前らとあたしは全然違う、お前らにあたしの一体何が分かる⁈…一緒にしないでよっ‼︎何も知らない癖に…、何も、知らない癖にっ‼︎‼︎知ったような口をきくなぁぁあ‼︎‼︎‼︎」
これは誰だ、と俺は思った。
少なくとも俺が知っている五十嵐さんではないことは確かだ。
五十嵐さんはいつものほほんとしていて、一緒にいるとつい和んでしまうような人だ。癒しキャラで皆から可愛がられていた。
そうだった人が、何故。
こんな短期間で人はこれ程変わるのか?
いや、それともこっちが本当の性格だったのだろうか?
分からなくなってきた。
「何で……何で」
和田さんは耐えきれなくなったのか、大粒の涙を零してその場にしゃがみ込んでしまう。
「いい加減にしてよ‼︎こっちは心配してんのに…なに和田ちゃん泣かせてんの⁈」
泣いている和田さんを見て、1人の女子が声を上げる。
「……終わりだ、もう終わりだ」
「あんたが終わらせたんじゃん‼︎」
「この世界はもう終わりだ」
五十嵐さんの言葉に、言い争っていた女子も流石に次の言葉を言い淀んだ。
「……は?何言ってんの?」
「辛い、物凄く辛いよ。
……でもこの辛さは証‼︎
誰にもあげない、
あの人に選ばれたあたしだけの証‼︎」
部屋の中から聞こえる五十嵐さんの不気味な高笑いに、誰もが唖然としていた。
「ちょ、ちょっと…」
「あぁ、思い出して良かったぁ‼︎
なんでこんな大切なことを忘れてたんだろう
早くあの人に会いに行かなくちゃっ‼︎」
俺達のいる廊下側からバタバタと忙しない足音が聞こえてきた。
「皆様早くここから非難して下さい‼︎」
廊下にいる生徒達に走り寄ってきたのは王家直属のエリート騎士団ー通称ヴェロニカ聖騎士団の副団長、ジェラルドだった。後ろには数人の騎士を率いている。
「どうかしたのですか?」
1番近くにいた堀がジェラルドに聞いた。
「この辺りから濃い瘴気が放出されています。長い間晒されているとお身体に障る…早くこの場から脱出して下さい」
ジェラルドは真剣な表情で説明し、騎士を使って生徒を誘導しようとする。
「待って下さい‼︎この部屋の中に杏㮈ちゃんがいるんです、一緒じゃないと嫌っ‼︎」
和田さんは引き止めるようにジェラルドに縋り付いた。
「……この中に人が?おい、扉を開けろ」
「駄目です、鍵が掛かってます」
「んなもんぶっ壊せ‼︎」
騎士はジェラルドの命令通り、剣を抜き、勢いよく振り下ろす。
ーーバキッ
確かに剣と扉のぶつかる音が聞こえたが、扉には傷の1つもついていなかった。
「クソっ、魔法か。おい、誰か解除魔法が出来る奴を呼んでこい!」
その間にも五十嵐さんは話す事を止めてはいない。
「思い出してるかなぁ?
……思い出してるといいなぁ。
まぁ、思い出してなくてもそのうち絶対に思い出すと思うけどね。
きょうはあたしのハッピーバースデー‼︎
きょうはあたしが生まれ変わった日‼︎
火が、風が、闇が
あたしを祝っていてくれるっ‼︎‼︎‼︎」
ーーパリィィイン
五十嵐さんが言い終わるのと同時に、何かが割れるような音が響き静かになる。
和田さんはジェラルドを突き飛ばし、扉を開けた。
今まで何をやっても開かなかった扉は何故か普通に開いた。
俺達が見たのは、もぬけの殻となった部屋と粉々に割れた窓、風に揺れるカーテンだけだった。
お疲れ様です。今回も読んでくださりありがとうございます。
予告通り今回は女子生徒を紹介したいと思います。
七瀬 紫
宮脇君の隣の席の子。黒髪黒目のストレートで髪の長さは胸元位まで。胸は平均で、身長は157㎝位です。いつも華菜と依ちゃんの3人組で行動しています。でも1年次は3人ともクラスはバラバラでした。宮脇君のことが少し気になってるかも…?
能力:治癒
はい、お約束です。
力はまたまだで話になりません。まずはちゃんと発動できるようにしましょう。
塚田 華菜
黒髪黒目で真ん中分けの前下がりショートボブ。目つきは結構鋭いです。身長は160㎝位でスタイル抜群。性格は少し男前。
自分の名前でキラキラネームの様なキラキラ漢字に少しコンプレックスを感じている。"かな"じゃないよ、"はな"だよ。
能力:炎錬成
使い方を間違えると自分も痛い目を見るもっとも危険な能力の一つ。でも本人はまだまだ余裕です。
長谷川 依子
通称 依ちゃん。肩位までの髪をハニーブラウンに染めていてふわふわパーマ。でもカラコンは入れてないよ、黒目だよ。身長は紫と同じくらいで胸は平均より少し大きめ。能力の事をで悩んでいた時期も…ありましたねそんな事、な超絶ポジティブな子。
能力:空間転移
たたし自分が行った場所にしか行けない。一緒にテレポート出来るのは2人が限界。
松坂 結菜
黒髪黒目のオン眉。髪は肩甲骨位まである。制服はキッチリ着るタイプでいつもダルそうな目をしている。大人しそうな見た目とは裏腹に口が悪く、結構殺伐とした性格をしている。自分の邪魔になる奴に容赦はしない。主人公とは1年の時クラスが同じだった。
能力:物質変化
物があればなんでも変形できてしまう、ある意味妄想の達人になりそうな子。
駿河 奏
髪の毛は生まれつき茶色なんです。でも黒目。腰まである髪はサラサラで、お手入れは欠かさない。アレンジもお手の物♪女子力高し。身長は165㎝位で巨乳というより美乳。スタイル抜群。垂れ目で口調も相まってほんわかした感じをさせるが、やる時はやる。主人公のこととなると変なスイッチが入る。好きなタイプは村上蒼君です。
能力:召喚士
お気に入りは初めて呼び出した鴉のサファイア君。まだ同時召喚は出来ない。
川田 千尋
黒髪黒目のベリーショート。だけど似合っている。目パチで色白なのは曾祖母がドイツ人だから。何故か家族の中で一人だけドイツよりの顔立ちをしている。気が弱く、男子相手だと吃ってしまう。だけど愛ちゃんがいるから大丈夫。
能力:空間把握
建物の構造や距離などが一定の距離の範囲で捕捉することができる。今はまだ10メートル範囲でしか捕捉出来ない。
他の女子生徒についてはまだ名前だけですので、本編に深く絡んできたらまた改めて紹介します。
大分勇者陣営を書いたと思うので今度は主人公側を書きます。




