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すみませんが、誰か助けてくれませんか?え?そんな余裕はない?ではさようなら  作者: 南瓜
序章 始まりは計画的に、終わりは唐突に
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029 図書館①〜勇者陣営〜

29話です


「はぁ〜、ったく。折角の初の休日なのに図書館とか、真面目かお前はっ‼︎」

「だってしょうがないじゃないか、俺達は街に行けないんだし」


俺ら勇者様の御友人方は街に行くことは許されていない。なんでも安全の為だとか。

実際それは合っていると思う。街に行ったら確実に狙われる。そして王宮側も貴重な能力(アビリティ)持ちを外に出したくはないのだろう。


「そうだけどさ〜、宮脇も不満だと思わね⁈」

「そりゃ不満だよ」

「ほらぁ‼︎」


不満に決まっている。

でもこれは仕方ないことなのは確かなんだ。

そして広瀬、うるさい。


最近俺は堀と広瀬の3人で大体行動している。どちらも蒼と仲が良くて高1からの付き合いなんだそうだ。鷲宮が死んだ一件から一緒に行動するようになっていた。


俺達は今、図書館に向かっている。

もう一度言う、図書"館"だ。

つまり別棟である。

なんでも、王宮の図書館は国の最大規模を誇り、代々王族がその権利を所有しているそうだ。説明の時にメイドが「この図書館は帝国の最古の図書館でもあり魔王誕生以前から現存しーー」と長ったらしく話していたのを思い出した。


俺達は図書館という名の棟の前に着き、扉を開ける。


「うわすっげぇ」


広瀬が感嘆の声を出した。まぁ無理もねぇだろう。

扉を開いて目に飛び込んできたのは壁一面の本、本、本。所狭しと本がぎっしり詰まって目が痛くなってくる。シバシバしてきた。


「……どうやらみんな考える事は同じみたいだね」


堀の声に辺りを見渡すと、図書館を訪れている人の大半はクラスメイトだった。


「ここからどうする?別行動にするか?」


俺は2人の見たいジャンルは別と思って提案したけど、堀が首を横に振る。


「いや、これだけ広いと合流出来なくなる」

「俺も迷子になっちゃいそ〜」


どうやら広瀬も反対だったようだ。


「それじゃ3人で移動するか。2人は何か見たいものはあるのか?」


俺は特に見たいジャンルはないけど…と2人に聞いてみた。


「あ、俺はちょっと歴史書が見たいかな」


広瀬より先に堀が片手を上げて言う。


「広瀬は?」

「いんや、俺も特にないし2人に着いてくよ」


流石帝国が管理している図書館だけあって分かりやすいようにジャンル分けしてあった。しかしジャンル分けしてあるとは言え、量が多すぎる。俺はそこら辺にある歴史書を適当に読み漁るとしよう。

俺達は各々好きな物を手に取って読書スペースに行く。やはりそこにも数人クラスメイトの姿が見られた。


…ん?そう言えばなんで堀は歴史書を見たいと思ったんだ?


「なぁ、堀」

「何?」

「なんで歴史書を見たかったんだ?何か知りたいことがあるのか?だったら探すのに協力するけど」


横から広瀬が俺も俺も、と言ってくる。


「本当か?助かる。だけど声に出しては言いづらいことなんだけど…」

「ちっさい声でちっさい声で」


広瀬が口に人差し指をあてて堀に話すのを促した。

堀は少し考えた後、じゃぁ、と話しを切り出す。


「俺達はさ、座学でこの国の歴史の事もやってるよね?」

「?あぁ」

「何か教えて貰っている歴史に少し違和感を覚えてさ…」

「え?そう?俺は別に何も感じなかったんだけど?」


広瀬が不思議そうに言う。

こいつ馬鹿か?誰が聞いても可笑しいと思うような歴史なのに。


確かに座学で教えて貰っているホルストフ帝国の歴史はおかしいと感じるところがあった。名状しがたい違和感もある。しかし教えてもらってる以上、誰も文句は言えない。


「なんというか…こう、バラバラに切ってこの国に都合の良い所だけ繋ぎ合わせたような感じ。気付いてるか?俺達が教えられてるホルストフ帝国の歴史ってこの国の悪い所を何一つ教えられてないんだ。明らかにおかしいと思わないか?税制度とか貧困の問題とか…絶対に何かしらあるのに教官の口からは一つも出てこない」

「確かに…」


そう言われてみればそうだった。


「しかも他の国とも戦争とかしてる筈だろ?国の間で結ばられた条約の名前は教えくれても何を賠償としたのか、何についての条約なのかは全部曖昧に濁されて教えられてるんだ」

「……委員長、凄い」


いつも煩い広瀬も熱く語っている堀に唖然として話を聞いている。


「それで歴史書、か」

「あたり。ここにくれば何か分かると思ってね」


これは教えられている歴史を大幅に見直す事になりそうだ。


とにかく歴史書読みまくるぞー‼︎、と堀と広瀬はヤル気満々だし、何かもう元の世界に戻りたい。

蒼は見つからないし、なんで俺達は剣とか魔法の稽古やこの世界についての勉強なんかしなくちゃならないんだ。

きっと俺が思っている事はこの世界に来た全員が思っていることだろう。

なんでこんな大変な事をしなくてはならないんだ、と。

この帝国の王族には俺達の部屋とか風呂とか食事とか、用意してくれてありがたいとは思っている。

が、やらされている事は結構キツイ。


……なんで俺はこんなネガティブな事を考えているのだろう。

横に座っている2人を見ると、黙々と本を読み耽っている。テーブルには一体いつ持ってきたのか分からない本の山。

気を紛らわそうと、俺は積み上がっている1番上にある本を手にとった。










一体何時間そうしていたのかは分からない。

昼頃から図書館に来て今は夕方だからザッと4時間程だろう。

4時間休まずに歴史書を読んだ俺達の心は一つ。

王族、ぶっ殺す。

都合の良い所だけ、なんてもんじゃない。あいつらは改竄に改竄を重ねて俺らに教えてやがった。そしてその歴史は目も当てられない位酷い。

他国を武力で脅し、国民を武力で脅し、獣人を武力で脅し……。

あれ?俺達くる国間違った?、とさえ思う程に力に物を言わせていた。

普段は穏やかな堀も、今は般若のようだ。

ごめんこっち向かないで、むっちゃ怖いから。

ほら、広瀬も引いてる引いてる。


教訓:堀を怒らせてはいけない


歴史書のスペースには結構な生徒がいる。あいつらも本当の事を知って怒ってるに違いなさそうだ。現にギラギラした目で歴史書を睨みつけている生徒が何人かいる。


「はぁ、俺ら…色々と酷い国に召喚されちまったみてぇだな」


広瀬がどんよりとした表情で言う。


「今更闘わない、なんて言ったら人質をとられるか殺されそうだね」

「あぁ…」


堀の言葉に俺は賛同した。

この国の上層部の奴らならやりそうだと本気で思った。


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