02 ②
俺の席は良い場所だ。
左から2列目の、後ろから2番目の席。
別に窓際の1番後ろの席が羨ましく思わない訳じゃない。
教室全部が見えなくても良い。
教室の殆どが見えるこの席が、俺は気に入っていた。
だから、事の大部分を俺は見ることが出来た。
◆◆◆◆◆
まず初めに、前と後ろのドアが勝手に動き、凄い音を立てて同時に閉まった。
ーー1秒
「……は?」
ドアの1番近くに座っていた男子が小さく声を上げる。
ーー2秒
「……えっ?いま誰がドア閉めた?」
「マジで?ホラー?」
「……誰かがイタズラ…「バカっ、誰があんな風にドア閉められるの?!」しないか」
クラスの女子が小声で騒ぎ出した。
ーー9秒
「……とりあえずドア開けね?なんか怖ぇし」
男子の誰かが提案した。
ーー13秒
「おい、誰がドア開けんだよ」
「俺パス」
「ちょっと、こういう時の男子でしょ!!」
「男子だってこえーんだよ!」
男子と女子の言い争いになった。
ーー17秒
「みんなで開ければ怖くない!!!!!」
男子の誰かが叫ぶ。
ーー21秒
一瞬静かになり、数人の男子が目配せをしあって扉の前に立つ。
ーー26秒
「いくぞ、
「「「「「「せーのっ」」」」」」」
ーー30秒
男子がドアを開けようとしてもビクともしない。
ーー39秒
「……男子ちょっとどいて」
「使えない男は引っ込んでろ」
「…ホント邪魔」
「鍵使えば良いのに…馬鹿なの?」
教室のドアの鍵は移動教室の際の為に各教室に一つずつ、生徒が持つことになっている。女子は頭を使い内側から開けることを思いついたようだ。
ーー51秒
「あ、あれ?……開かない、なんで?」
女子が必死にガチャガチャと音を鳴らして鍵を回そうとするが、途中でどうしても元に戻ってしまう。
ーーカチ
「誰か開けてくれ!!」
「お願いだから出してよ!」
「外に誰かいないの?!先生は?!マジで使えねぇあの糞ジジィ!!」
「携帯は?誰かこの状況伝えて」
「今やってる!!…だあぁ何で圏外なの?!数分前までは繋がったのに!!」
「慌てるな、どうせ先生来るんだから。」
遂に教室中がパニックになる。
ーー1分13秒
「……ねぇ、宮下君の足元、何あれ?」
窓際にいた女子が宮下の足元に浮き出ている黒い紋様に気付いた。
ーー1分21秒
「……え?うわあぁ!!」
足元の紋様から帯状のものが出て、宮下を紋様の中に引き摺り込もうとする。
ーー1分26秒
「「「「翔っ!!」」」」
周りの取り巻き達が宮下を引っ張ろうと腕を掴み、引き上げようとする。
ーー1分40秒
「……もうっ、ダメ!!無理っっですわっ!!」
「わしの、宮さん!もうちょっと頑張ってよ!!」
「宮脇っ!!あんた何見てんのよ手伝いなさいよ?!」
宮下は右手の肘から下が殆ど引き摺り込まれている状態だ。
どんどん宮下の身体が、沈んで行く。
ーー1分46秒
そして、宮下は残った右手で掴んだ。
和秋の左足首を。
ーー1分49秒
カウントダウンが始まる
ーー10
「〜〜和秋っ!!」
クラスメイトを押し退け、俺は走り出した。
ーー9
「宮脇君がっ」
「おい、俺らも村上手伝うぞ!」
他のクラスメイトも声を上げる。
ーー8
「お前らどけ!!」
俺は取り巻き達を引き剥がし、和秋の左手を掴んだ。
ーー7
「……翔が、………か、かけるがぁ」
取り巻きの1人が泣き出した。
ーー6
「こっちだって泣きてぇよ」
俺はさっきの宮下状態になった和秋の左手を掴みながら弱々しく言う。
ーー5
「ヤバイこのままじゃ村上までっ!!
ーー4
村上ごと引っ張れ!!!!」
ーー3
「……行くなよかずあきいいぃいいぁああ!!」
ーー2
黒い紋様が一瞬で教室中に広がり、青白く光出す
ーー1