26 ②
26話です。
気がついたら身体が吹っ飛んでいた。
なんてデジャヴだろう。
「テメェぶっ殺す‼︎」
「レオナルド」
「……っですが、カルロさん‼︎」
「少し黙れ」
「……申し訳ありません」
ナイフを取り出して俺を殺そうとしていたレオナルドにカルロからのストップがかかる。
レオナルドは俺を鋭く睨みつけ、悔しそうに唇を噛んでいた。
(……ホモか?)
俺は少し場違いな事を考えていた。
吹き飛ばされた身体を起こそうとした時、首を掴まれて壁に叩きつけられる。身体が痛いし、おまけに苦しい。
いつの間にかカルロが俺の側まて来ていた。足音も何も聞こえなかったので俺は目を見開いて驚く。
「もう一度言う、これが最後だ。名前を言え」
そう言って俺の首を絞める力をどんどん強くしていく辺りドSだ。更に言えなくしてどうする。
「ア……ア、オイ……ムラ、カミ」
「……成る程」
手から首を離され俺は激しく咳き込んだ。
蹲るおれを余所に、カルロはソファーに戻ってドサッと音を立てて座る。
俺の呼吸が落ち着きを取り戻し始めると、再びカルロの前に立たされた。
何故を思ったのか、カルロは俺の容姿をジッと見てくる。
(……⁇)
「まぁ、その容姿じゃアオイって名付けたくなるわな」
俺にはカルロの言っている事が何一つ分からなかった。
そんな俺の表情を見てカルロは笑い声をあげる。ひとしきり笑った後でカルロは俺に目を向けた。
「お前、まさか何も知らないのか?」
「……はい」
「これは傑作だ。良いかよく聞け、天空紳"アオイ"っていうのはなぁ、黒髪に水色の瞳なんだよ」
「はい」
「……」
「……?」
「お前、本当に分かってんのか?まさにお前まんまの容姿じゃねぇか」
「……え?」
そんな筈はない。俺は黒髪黒目のはずだ。黒髪はともかく、俺の瞳は水色ではない。
戸惑っている俺を見かねたのか、カルロは「鏡を持ってこい」と側にいた男に頼む。
この世界では、鏡は高級品だ。主に貴族が身だしなみを整えるのに使っている嗜好品である。一庶民に、ましてやスラムで暮らしている人間には到底手に入らない代物と言っていい。何故こんな所にあるのか聞くだけ無駄なので大人しく鏡が届くまで待つ。
使いに頼まれた男が鏡を持って戻り、カルロにそれを渡す。
「自分の顔を見てみろ」
俺はカルロに手渡された鏡を覗き込んだ。
鏡に映ったものが信じられない。
(そんな…俺は確かに黒目だった筈)
俺の瞳は、何故か水色になっていた。




