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すみませんが、誰か助けてくれませんか?え?そんな余裕はない?ではさようなら  作者: 南瓜
序章 始まりは計画的に、終わりは唐突に
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21 昔話①

21話です、よろしくお願いします。


少し昔話をしよう。


いきなりだが、俺の母親はキチガイだ。

元は正常な思考を持っていたらしいが俺はキチガイな母親しか知らない。今は精神病棟に入れられているが、どうやら気が触れたのは生まれ落ちた俺が目を開けてからだそうだ。

俺の容姿は黒髪、黒目。生粋の日本人なら極々普通の容姿である。しかし母は目を開けた俺の瞳を見て、「綺麗な空色の瞳」と言ったらしい。この時点で正気ではない。

本当は俺が生まれる前に既に名前は決まっていたみたいだが、母は頑なに"蒼"という名前を譲らなかった。そして、退院して数ヶ月で精神病棟に入れられた。

昔の俺は母の事もあり、それはそれは手間のかからない子供だったらしい。俺にはその自覚はないが、父が言うには楽出来て良かったそうだ。

我儘を言わず、騒ぐこともなく、無表情でただそこに居るだけの存在で、言い方を変えれば、別に居なくても良い存在だった。

俺には5つ年上の姉がいる。姉は明朗、快活といった性格でとにかくやんちゃ。父も姉には常に目が離せない状態でいつも手を焼いていた。

正に正反対な姉と弟。

勿論、可愛がられるのはいつも姉。

無邪気さのない俺はいつもそんな父と姉を離れて見ているだけだった。今思えば父は俺に言いしれようのない不気味さを感じていたのかもしれない。それでも家族だから、と俺を気にかけてはくれていた。しかしそれは最初の数年だけで、俺の成長に比例してどんどんと家族との距離が開いていった。

でも俺は全然寂しくなんて無かった。だっていつもそばにユーリアが居たから。


ユーリアがいつから俺の傍にいたのかは分からないが、物心ついた時から彼女は俺の傍にいた。

俺の黒髪黒目とは違い、透き通るような長い空色の髪に海のように深い群青色の瞳。淡紫の流れるようなドレスを身に纏い、いつも俺の傍にいてくれた。いや、あれは見守ってくれていた、という表現の方が正しいかもしれない。ユーリアが傍にいて当たり前。俺にとって空気のような存在で、なくてはならないものだと思うのに然程時間はかからなかった。

授業中も、風呂に入る時も、夜寝る時も彼女はいつだって俺の視界に映る場所にいた。

それ故、彼女の存在は謎であった。何故かユーリアは俺の目にしか見えない。触れようとすればすり抜けるし、話す事も出来ない。幽霊と表すのが適切だと思うが、俺には何故か彼女の存在が幻だとしか思えなかった。

俺が悲しい時は辛そうな顔をし、俺が嬉しい時は自分の事のように喜んでくれる。

都合が良いと言えば反論出来ないけれど、それでもユーリアは俺にとって特別な存在だ。彼女の喜ぶ事はしてあげたいし、悲しませようとするものは排除してあげたい。俺はいつもそう思ってた。


しかし、それは彼女も同じだったようだ。

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