20 スラム街の一角で
更新が遅れてすみません‼︎ちょっとずつ登場人物増やしていきます…
(取り敢えずギルドから逃げてきたのは良いけど…)
ギルドから西の方へと向かい、俺は人気のない暗い路地裏に着地した。どうやら西部の大部分はスラム街に当たるようで、飛んで逃げている時に異常に痩せ細った人や娼婦が客引きをしているところなどが見られた。こういう場所は居るだけで不快になる。が、隠れるのならスラム街の方が都合が良い。逃げるのに必死だったとはいえ、西に向かったのは正解だったようだ。
今思えば俺には行くあても頼るべき人も居ない、そして身分を証明するものもない。一言で言うと詰みだった。
金をギルドで稼ぐつもりで行ったのに、これでは本末転倒だ。逆に賞金首として稼がれてしまう。残りの金でどこまでやれるかも分からない。
(…どこか違う村に行って家庭菜園でもするか?)
ちょっと前に地球で流行った家庭菜園の事を思い出した。オーガニックが良いとかなんとか、以前は全く興味が無かったがこの際自家栽培をするのもいいかもしれない。辺鄙な村にでも行けば都会の情報にも疎いだろうし、何より【設定】を使えば大抵の人が絆されてくれる。ちょっとばかし演技すればいい話なのだ。これも生きていく上で必要な事、自分の為にやっているのだから罪悪感なんて感じなくて良い。これはどうしようもない事。
仕方のない事なのだから。
(…クソッ)
そう自分に言い聞かせるようにして、頭を振った。まずはシャリーヌ村の様な村がどこにあるのかを把握しなければならない。
スラム街には田舎から上京して来て失敗した人が大勢いる事は容易に想像出来る。後は聞き込みに徹するかしかなさそうだ。
まずは人を探そう、と思い歩き出そうとしたが、自分の身体に少し違和感を覚えた。
(……っ)
身体に若干の倦怠感があり、俺は壁に寄りかかって瞳を閉じる。力を使う事でこうなる事は分かっていたし、慣れてもいた。少し使う分には何も支障はないが流石に何時間も使いっぱなしにすると身体が動かなくなるまで疲弊する。以前限界まで使い続けたところ、7時間位で俺の身体は力尽き、挙句の果てに気絶した。起きた後も半日は寝込む羽目になったのは苦い思い出だ。少し休めばまた変わらず動き回れる事が出来るだろうと思い、その場に座り込む。
数秒そうしていると、ふと、何か暖かいものが俺を包み込んだ。その暖かみを感じ、今まで怠かった身体が重しを取ったように軽くなる。いや、実際に軽くなったのだ。俺の身体はその一瞬で完全に回復していた。
こんな事が出来るのは、俺は1人しか知らない。
俺はゆっくりと瞳を開けて、すぐ目の前にいる"彼女"に目を向けた。
「…ありがとう、ユーリア」
俺の言葉に、"彼女"は優しい微笑みを浮かべた。




