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すみませんが、誰か助けてくれませんか?え?そんな余裕はない?ではさようなら  作者: 南瓜
序章 始まりは計画的に、終わりは唐突に
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011 本日は晴天なり

 〜帝国→〜王国 に書き直しました‼︎(2015/3/8 16:26)



 「ムラカミさん、お昼の時間ですよ〜!!」


 「はーい今行きまーす!」



 晴れやかな空の下、俺は畑仕事に精を出していた。働かざるもの食うべからずである。

 サラが畑の外から声をかけ、昼食の時間だと伝えにきた。元気よく返事をし、晴天の空のを見上げ、目を細める。



 俺が此処、シャリーヌ村へ来て一週間。


 俺は不思議な程にこの村に馴染んでいた。比較的小さなシャリーヌ村の結束力は強く、ヴィルナ家に居候するという話しはすぐに村中に広まった。俺の事情を知り、時には差し入れまでもってきてくれる村の人達に感謝していた。それと同時に申し訳なさでいっぱいになる。



 (…いつか本当のことを言ってこの村を出なくちゃならない)



 記憶喪失ということは全くの嘘だ。教室で起こったことも黒と白のよく分からない空間にいたことも全て覚えている。自分が異世界人だということを話さないのはこの村の人達がまだ信用出来ないからだ。

 異世界召喚のことはオタクの友人がいたので幾度となくその手の小説は読まされていた。そのおかげもあって、おれはこの状況を把握できているのだが…



 (まさか、一人だけ違うところに飛ばされたパターンだとは…)



 5日前、帝都で勇者召喚の儀式が成功したことがシャリーヌ村に伝わった。どうやら勇者だけでなく、巻き込まれた人達も何か特別な力を宿しているらしく王は大喜びで歓迎したそうだ。


 俺が記憶喪失だということをウォルガ達に話してから色々なことを教えてもらった。

 この世界は『ロナエンデ』という所らしい。

 大陸は大きく4つに分かれており、海との共存を果たすスーキ王国、神聖なる力で国が守られているというワーノイド王国、他の国より面積は小さいが、魔族が住んでいるとされている未知のメラニア大陸、そして圧倒的な軍事力を誇るホルストフ王国がそれぞれの大陸を支配している。

 俺が今いる場所はホルストフ王国のアルファルド領内にある小さな外れの村。

 魔法については、主に土、風、水、火、雷の5大属性。他にも光、闇、氷、無の属性が出ることもあるが、特に無の属性は滅多にいないらしい。魔法についてはまだまだ解明されていないことが多く、人によっては特有の属性があったりするので魔法を解明する為の専門機関もあるそうだ。

 世界情勢は非常に芳しくなく、現在魔族が住んでいるメラニア大陸は元々カイシューリ帝国という国があったらしい。しかし魔王が復活した影響で魔族の襲撃を受け、呆気なくカイシューリ王国は崩壊し魔族に乗っ取られた。それが7年前である。世界中で魔族が暴れ回る中、ホルストフ王国でも甚大な被害が出たのでやむなくは勇者召喚の儀式を行った。どうやら他の国でも勇者召喚の儀式が行われており、魔王を討ち取った国がこの世界の頂点に立つということが噂されている。要するに、勇者は世界を手に入れる為の生贄ということだ。そのことは暗黙の了解であり誰も意を唱える者はいない。

 字については世界共通らしく、異世界人は自動翻訳付きというありがた〜い機能を俺は体感することが出来た。


 友人達が頑張っている中、自分はこんな所で平和に暮らしていていいのかとしばし疑問には思う。しかし事情を聞く限り、死を伴う危険がある中そこに飛び込んでいくのは唯の馬鹿である。俺だってまだ生きていたい。



 (……みんなごめん、と言うつもりはないが死なないでくれ)



 空を見つめて自嘲気味に笑った。世界はいつだって優しくない。



 「ムラカミさんがあまりにも遅いんで迎えに来ましたよ!!」



 思考に耽っているとウォルガが怒った風に歩いてくる。

 


 「…ごめんね、いや〜良い天気だと思ってね」


 「…もう、早く行きますよ」



 笑いながら返すと、ウォルガは何故か悲しそうに笑った。

 そうしてウォルガは俺の手を引き、家に向かって歩き出した。



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