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ずっと片足突っ込んでいた

 ザラキが紙にペンを走らせ人の形を描く。


「いいか、これは俺の仲間が教えてくれたことだが、召還勇者とはまず──」







 ザラキの言うことは、こうだ。


 召還勇者というのは本来この世界に存在しない存在を世界の膜を貫通させて無理矢理連れてくる人たちの事なのだそうだ。それにも何かしらの条件があるのだが詳しいことは分かってない。


 重要なことは、本来無いはずのものを無理矢理膜を貫通させる、事。


 実は移動魔法もそうなのだが、モノがとある場所から別の場所に移動する際、魔力のトンネルの様な所を通るのだが、その時通るモノは魔力の粒に変わり形は曖昧なものになる。その曖昧な時に召還勇者達は神という存在から祝福としていくつかの能力付加の魔法が掛けられる。


 そして膜を通り指定した所に到着すると、魔力が記憶した形に戻る事が出来る。


 しかし、オレの場合。

 アチラにいたときから呪いの装備が耳に引っ付いていた為、能力付加の魔法が光の粒に変換中なのにことごとく反転。反転の時にも魔力を使うので形を作る魔力が減る。その結果オレという存在が通常よりも消えやすい存在になった。



「お前、アレだろ。もしかして精霊とか魔力の色が見えたりしてねーか?」


「実はずっと見えてます」


「魔力に色があるの」


「それ、普通は死ぬほど修行しないと出来ないことだからな。何にもしないで見えているってことはいつもあの世に片足突っ込んでいる状態」


「やべぇ、オレ無自覚なだけでずっと死にかけてた」


「ライハ笑い事じゃないよ」



 そして、隣にいる猫がオレの消滅の危機を早めている元凶なんだそうだ。



「これ、お前がネコって呼んでるこれな。見た目 (マヤー)に似ているがとんでもない。これは形を失った魔力の塊だ。形を失った魔力の塊は形を求めるもの。形を作るために必要なのはやはり魔力だ。そこで宿主として選んだお前の魔力を利用して今この世に存在している。そうだろ?」


 ザラキがネコを見る。

 ネコはしばらくザラキを見上げ、そして小さく溜め息をついた。


『せいかいだ。ってもネコもなんでこうなってんのか分かんないんだけどな』


 ネコがオレを見詰める。


『あいつに伝えてくれないか?これからネコのしっぽを二人にわたすから にぎっててくれないかって。それで話ができる』










 ネコの言葉を伝え、二人が了承する。するとネコの尻尾がみるみる内に長く伸び、それが二つに分かれて二人の手元へ。


 ザラキとキリコはその尻尾を掴んだ。


『はじめまして、って、そっちの青いのとはずっと会っているんだけど。あらためてあいさつをする。はじめまして、ネコです。今はライハの魔力でなんとか生きてます』


「はじめまして、ザラキという」


「カリアよ。なんだかネコと話しているなんて変な感じだけど」


「本当に聞こえているんだ」


 まさか尻尾を掴んだだけで聞こえるとは。


「これはネコが魔力の塊だから出来ることだ。尻尾を通して俺達の魔力に直接声を送っている」


「なるほど」


 魔力ってそんなこともできるんだな。


「さて、では改めて三人と一匹でなんでこういう事になっているのかを話し合おうか」

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