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各地の異変

 テーブルいっぱいに並べられた食べ物を無我夢中で掻き込んだ。信じられないくらい美味しい。山の幸最高。


「すっげぇ喰うな。さすがは食べ盛りってところか」


「いや、最近ずっと外で生活してたからよ」


「ああ…」


 察した顔でザラキが見てる。

 カリアの言う通り最近街に寄るのは本当に稀で、毎日焼き肉パーティでさすがに飽きてきていたところだった。何の肉かって?魔物(マヌムン)以外に何があるんだい?


 それにしてもアウソはともかくキリコまでがっつくとは思わなかった。まぁそれだけ料理が美味いってことだ。信じられるか?これ全部ザラキさんが作ったんだぜ?


『うっめ!マジうっめ!』


 そして猫も皿ごと食べる勢いだ。

 それにしてもネコがマジとか使うって変な感じだな。オレの口調が移ったのかな。


 お腹いっぱいに食べて満足したところで更なる嬉しいことが。


「え!お風呂あるんですか!?しかも浴槽!?」


「ライハめちゃくちゃ嬉しそうね」


「そんなに風呂好きだったのか」


「あんたらは滝湯派だったね。あれも慣れると気持ちいいものよ」


「いやぁ、俺あれに10秒も使ってられんし」


「アタシは浸かれるけど、あまり熱さ感じないから暇なのよね」


 アウソはそもそもルキオには湯船に浸かる文化が無かったから逆上(のぼ)せやすいらしく、キリコは種族的なもので温かい=気持ちがよいというのが理解しにくいらしい。


「ウォルタリカはお風呂文化ありました?」


「寒いところだからね、アレ無いと死ぬよ」


「そうなんですか」


 ちなみに何故ルキオ人のザラキの家に風呂があるのかというと、昔イリオナという国で入った温泉があまりにも良かった為、自分で作ったらしい。


「そんなに好きなら先入って良いぞ」


「本当ですか!?ありがとうございます!!」










「あいつら寝たか?」


「寝た寝た。珍しくキリコもぐっすりよ」


 カリアが客室の扉を閉める。部屋の中に用意されているベッドで三人が寝ている。

 いつもは眠りの浅いキリコもここに帰ってきた時だけは安心したように眠るのだ。


「お前が帰ってきたからな、秘蔵の酒を出してやる。有り難がって飲め」


「そうするよ」


 席につき、ザラキに進められるままに酒を飲む。そこでようやくカリアは肩の力を抜いた。


「今回の偵察はどうだった?」


「………やはりというか、なんというか。各国で異変が起きていたよ。まず新種の出現に本来群れない筈のルツァの集団移動。魔物(マヌムン)の異常発生。それと、鷲ノ爪が無差別に動き回っている」


「そうか…」


 ザラキがツマミの干し肉を齧る。


「実はこっちも異常が発生しててな。見たことのないモノが山の生き物を食い荒らしている。海も海龍のせいで漁師が何度も船上戦になったと聞いた。それと、これはジュノの門番からの話なんだがな」


「?」


「黒地に赤の斑模様をした飛竜が落ちたって言うんだ。でも本来飛竜には斑なんて模様は存在しねぇ、ましてや落ちるなんてよっぽどの事だ」


 飛竜とカリアが呟いたところでユラユでの飛竜が洞窟に突っ込んできた事を思い出した。あの時の飛竜は周りが暗くて詳細には見えなかったものの、確か斑模様をしていた。しかしその時は赤地に黒の斑だったはずだが。


「その飛竜はどうしたの?」


「それが、どうもまだジュノの中に居るらしい」


「それはおかしい。リュウ族は竜であれ龍であれ巨人族に並ぶ頑強な種族よ。本来ならとっくに飛び去っているはず…、!」


 言い終えてからカリアは口を閉ざした。

 飛び去っていない理由があるはず。それも頑強な種族がどうにもできない理由が。


「………」


「カリア、ジュノの奴等が心配だ。お前もアウソの事があるからすぐに行ってくれとは言えないが、頼む。出来るだけ早めに様子を見てきてくれないか」


「わかった。此処を動けないお前に代わってちゃんと様子を見てきてやるよ」


 ありがとうと笑うザラキの杯にカリアは酒を注いでやると、ザラキは味わうようにして飲んだ。


「契約とは、難儀なものだな」


「自業自得だろうが、馬鹿野郎(フリムン)

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