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INTEGRATE!~召喚されたら呪われてた件~  作者: 古嶺こいし
第一章 ホールデンにて
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呪いの装備

 呪いの装備、と言うものがこの世界には存在するらしい。


 たとえば鎧とか剣とかアクセサリーとか。

 身に付けるものに呪いが込められていたり悪魔が住み着いてたりするとその装備は『呪いの装備』というものに変化し、身に付けた人を呪いにかけてしまうとか。


「それが、オレのこのピアスである、と」

「その可能性が一番高いです」


 ウロがようやく立ち直り、呪いの装備についての説明を始めた。なにせオレは呪いの装備初心者であるからだ。

 ウロの説明は続く。


「呪いの装備のなかには“反転の呪い”何てものもありますから」

「それはどんな呪いで?」

「“神聖属性”を魔ノ者らだけが持つ“混沌属性”へ強制変換してしまう恐ろしい呪いです。

 つまり回復魔法が毒になる」

「なるほど、それは困るな」


 今のオレみたいだ。


 あの後、人目が多すぎるという理由で地下室に移動した。

 あの礼拝堂みたいな所だ。

 これから呪いを除去する作業をするとき、万が一悪魔が住み着いてたら大暴れすることもあるため外壁を神聖魔法コーティングされたここで出来るだけ弱らせておくんだと。

 ちなみに今の体調はちょっと頭痛がする程度なので問題なしです。


「さて、まずは呪いの装備がこれなのかを確認しなくてはいけませんね」


 ウロが目の前に立ち、右手を耳元へ持ってくる。


「動かないで」

「?」


 バチンッ!

 突然左耳に静電気が走ったような痛みが走る。

 

「いった!!?」


 ウロはビンゴとでも言いたげな顔で、耳に近付けた手を振っていた。


「やはり障壁が張られてますね。これで間違い無さそうです」

「今何やったんですか?めちゃくちゃ痛かったんですけど…」


 いまだに耳がジンジンとしている。

 耳を押さえたいが動くなと言われているので動けない。


「試しにピアスに魔力を流し込んで無理矢理干渉しようとしました。結果はご覧の有り様ですけど」

「!」


 そう言ってウロは右手を見せる。

 そこには指先を中心に夥しい程のみみず腫が起き、手も全体的に赤く腫れていた。

 心なしか煙も見えるような気がする。


「……痛そう…」


 思わず溢れた言葉にウロがそうですねと返した。


「痛いですね。でも痛いだけで済んだので良かったですよ。これくらいならすぐに治せますから」


 ウロが左手で右手を擦りながら言葉を紡ぎ始めると、それと同時にキラキラとした膜が右手を覆い始めたのが見えた。


「…《御覧、この有り様を、酷いものでしょ。

 せっかく綺麗な身体だったのに、本当に酷いわ。

 でも安心して、天から降る光の粒を数えている間にもとに戻っているからね。

 瞬復(シュンフク)ノ儀、一ノ型》。ほら、こんな風に」


 キラキラとした膜が消え去り、擦っていた左手を退かされた右手にはもう赤く腫れていた箇所なんてひとつも残っていなかった。

 むしろ本当に怪我をしていたのかさえ怪しいほどに。


「魔法スゲー」

「さて、と。じゃあ次はこの呪いの種類を調べます。確実に反転の呪いかどうかを見極めなくてはいけませんから。ウコヨ、サコネ」

「はい」

「ここにいます」


 ひょっこりと、祭壇の後ろから姿を表した二人。

 何故そこから現れるのだ。


「ちょっと試しにライハ様に呪いを掛けてください」

「ちょっと待て」


 とりあえず止めた。


「なんでオレに呪いかけようとするんですか!?」

「反転の呪いなら呪いが逆転して神聖魔法に変わるはずだからです」

「もし違ったらどうすんですか!?」


 その言葉にしばし考え込むウロ。

 顎に指を添え天を見ながら何やらブツブツ言っていたが、こちらを向いて頷き一つ。


「………大丈夫です。多分」

「多分!?」

「いいから、やってしまいなさい!ウコヨ!サコネ!」

「ライハ様、命令ですのでご覚悟してくださいね」

「暴れたらダメですよー」


 ビシリと再び指差され、左右から双子がジリジリと間を詰めてくる。


(ウロさんも多分って不安単語言ってたし、もし呪い掛かっても呪い解くために回復魔法使われてもソレでダメージ喰らうわけだから…、逃げてもいいよね)


 これ以上変な呪い掛けられたらどんなことになるか分からないという不安から、脳内の行動選択肢の矢印が『逃げる』を指す。


「サヨナラ!!!」


 オレは脱兎の如く逃げ出した。

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