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古主の帰還 30

 キッスーノが止まり、オレ達はようやくローデアの世界樹に到着した。


「……すげえ、ちゃんと木に見える」


 思わずそんな感想をこぼす。

 他の世界樹はあまりにも大きすぎて、近付くとただの黒い壁にしか見えなかったから。上の幹まで見えるなんて初めてだった。


「 はっはっはっ!何を言ってる?木は木だろう? ああ、君の言っているのはもしかして、下の世界は幹まで見えぬのか。 」

「そうです。だいたいが木の下部分しか見えません」

「 ふむ。確かに此処は下と比べて大分高い。此処に来るまでも緩やかな上り坂になっていたしな。きっと雪で嵩増しされているのだろう。 」

「なるほど」


 それならばこの光景にも納得がいく。

 きっと今オレ達は世界樹の中間よりやや上の位置にいるのか。


「大きいね。アオーゾアのお爺様達よりも大きい」

「 うふふ。一緒にしてはいけませんよー。 」

「そうなの?」

「 そうなのです。 」


 アオーゾアが笑う。

 確かに、比べ物にならないくらいに世界樹は大きくて、というか次元事態が違った。


「……」


 リューセ山脈を作ったラクーの大木もこれと同じくらいはあったんだろうな。


「つーか、これどうやって登るんだ?さすがにクライミングは無理だぞ。飛行も多分無理だ」


 ラビが疑問を口にする。するとウグルイスが得意気な顔で笑った。


「 はっはっ!ライハさんの友人よ。何のために我らが一緒に来たと思っているのだ? 」


 どういう事だ?という顔をするラビにウグルイスが得意気な顔をした。


「 まぁ、我等に任せるが良い。 さぁ、お前達やるぞ! 」

「「「 おおー!!! 」」」


 巨人達がウグルイスの周りに集まってくる。


「ラクー!ネコ!ラビ!集まって身を固めて!!」


 三人がやって来てオレの服や腕を掴んだ。


「 一世一代の大仕事!!!手を抜くなよ!!

 果てへの階段ハルプーンダ・エブロイ!!!! 」


 巨人達から莫大な魔力が沸き上がり、木へと向けた巨人達の手からたくさんの蔓が伸びていく。

 蔓は木の上方へと向けて絡み合い、地面へ支えを作りながらどんどんと伸びていき、遂には世界樹の枝へと届いた。


「 さぁ、ラクーよ。ここでお別れです。どうぞいつまでも健やかであってください。 」

「うん!ありがとう!!みんなも、すこやかであってください!!」


 巨人達の顔が綻ぶ。


「 ライハさん。どうか、無事に送り届けてください。 」

「ええ、勿論です」


 オレはウグルイスの差し出された手に乗る。


「 それでは、お気をつけて。 」


 ぐぐ、とウグルイスの掌から蔦が生える。

 複雑に絡み合った蔦が大きな蜥蜴のような形を取ると、それにウグルイスはオレ達が収まっている鞄を引っ掻けた。

 すると蔓の蜥蜴は、巨人達が作り出した橋を登っていく。


 あんなにも大きかった彼らの姿が小さくなっていき、それとは比例して、世界樹の枝がだんだんと大きくなってきていた。


「もうすぐ上に着くな」

「みんな小さくなっちゃったね」

「だな」


 下を見ていたネコが振りかえる。


『ねぇライハ』

「ん?」

『この蔦ってずっとこのままなの?』

「いや、魔法で生やしたとても性質は植物だしな。半日程度で凍り付いて砕けるよ」

『そうなのか』


 残念そうにしているネコ。

 もしや、これが残っていれば上にちょこちょこ来れると思っているのだろう。

 だが、残念だがそう上手くはいかないのが現実だ。

 蜥蜴が世界樹の枝へと着いて、オレ達を下ろした。


「ありがとう、トカゲさん」


 そうラクーがお礼をいうと、トカゲは満足そうな顔で動かなくなった。

 これもその内凍って砕けるのだろう。


 鞄から降りると、足裏から伝わる木の感触がした。

 だけど、あまりにも大きすぎて枝なんて思えないような場所だった。


「よし、登るぞ」

「ここを登るのか?」

「いや、登るのは幹の方。ほら、良い感じに捻れてるだろ?」


 示した幹は下とは違って螺旋を描くように捻れていて、オレ達位のサイズなら難なく伝って歩けるようになっていた。


「ずーーーっと、歩くの?」

「さすがにそれだと時間が掛かるから、ネコと協力してショートカットする」

「ジャンプ??」

「そう。ジャンプ」


 嬉しそうなラクー。


「落ちないからな?」

「分かってるよー!」


完結まで後二話

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