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古主の帰還 28


 神具名、“大小鼓(ダイショウツヅミ)”。

 これを片手に持ち、もう片手でサイズを変えたい物に触りながら魔力を込めると大きさを変えられると言う優れものだ。

 変えられる対象は無機物だけだけど、初代勇者時代はこれで武器を一瞬のうちに大きくして、敵を翻弄したという逸話があるらしい。

 巨人達用にサイズを調整して、飾りをプレゼントをすると、みんな好きなものを手にとって身に付けてくれた。


「この為だったのか」

「そうそう。結構喜んでくれるんだよ」


 ラクーが、「わたしもお揃い!!」と見せに行き、ほんとですねぇーと皆に褒められていた。微笑ましい光景だった。


「 ライハさん。いつもの場所、用意出来ましたので。 」

「ありがとうございます」

「いつもの場所?」

『ここにお泊まりする時に使う場所だよ。なかなかの居心地』

「へぇー。そんなところがあるんだな」


 勿論それもオレの持ち込みだ。

 二回目訪問のおり、さすがに机の上で木箱とフェイスタオルベッドお泊まりは恥ずかしすぎた為だ。

 それに、家をこんな小さい成りで彷徨いていたら踏み潰される。


 机の角の方に鞄から取り出したシート型魔法陣を設置する。

 これで直接寝室から安全に此処へとやってこれる。


 とりあえず、一旦荷物を置きに移動することにした。

 ラクーを呼んで魔法陣を起動。すぐに寝室へと移動した。


「わー!大きいベッド! あ!窓から皆が見える!」


 ラクーが窓から外を見る。

 ここは巨人のドールハウス。揺れが少ない棚の上の方に設置されており、外に出れば巨人達と声に魔力を乗せなくても話せる場所だ。


「明日辺りに向かうから、今日は此処で過ごすよ。一応扉から外に出れるから。トイレとか洗面台も使える。灯りも点く。火は点かないよ。さすがに危ないからね」


 一通り説明を終えると皆各々過ごし始めた。


 さすがに疲れたのかラビはベッドに横になるとすぐに寝てしまった。

 ネコはラクーと行動を共にして、危なくないように守って貰っている。


「さて、オレも少しだけ休もう」


 ソファーに横になり、目を瞑った。







 お昼になったらしい。ラクーに起こされて机に向かうと、目の前には巨人ご飯がズラリと並んでいた。

 それを自分たち用のお皿に切り分けて食べる。

 ちなみに机も椅子も持ち込みだ。


 ご飯を食べながらラビが疑問を口にした。


「巨人達は、どっから食糧調達しているんだ?肉はネグストロンガが混ざっているのはわかるが」

「気になるの?」

「気になる」

「ラクーも気になる!」


 気持ちは分かる。オレも当初は疑問だったから。


「どうやってるのか見る??」

「見れるのか?」

「頼めば見せて貰えるよ。ちょっと待ってて」


 アオーゾアに説明をすると、笑いながら許可を出してくれた。


「 ラクー様は食糧庫が気になるのですか?良ければ案内して差し上げますよ! 」


 父と母の許可が降りたということで、食事後、アオーゾアが用意したポシェットのようなものに乗り込んだ。


 家の奥へと向かう。


「外ではないのですか??」


 ラビの質問にアオーゾアが答える。


「 外でも捕まえたりしますけど、主な調達場所は地下なのです。 」


 家の奥にある鉄製の扉の前にきた。そこには見事な装飾が成されていて、思わず魅入ってしまうほどだ。


 そこでオレはラビに質問してみることにした。


「そういえば、ラビ。巨人の使える属性ってなんだかわかるか?」

「? いや、というか魔法が使えることも知らなかった。

 なんだ?火か?氷か?」


 そう思うのも無理はない。

 だけど、外れだ。


「巨人の持っている属性は、樹木だ」

「樹木!?こんな環境でか??」

「まぁ、理由は見た方が早いな」


 アオーゾアが靴を履き替え、鍵を外して扉を開く。

 そこは下へと続く階段があった。それをアオーゾアは降りていく。


 結構な距離を降りていく。

 すると、先の方が明るくなっていった。

 辺りは青い光に包まれ、まるで昼間海の中のようだった。

 まるでアトスラルのような、そんな感じの青だ。


 それにしても巨人の体躯での地下とはどのくらいの深度なのか。

 想像するのも頭後おかしくなりそう。


『! ねぇ、ここ凄い魔力を感じる!』

「ああ、ここはある意味で魔宝石の中にいるようなものだからね」


 四方八方全てが、魔力を含み、圧縮された氷だ。魔力を糧にしている生き物にとっては、此処にいるだけで勝手に魔力も体力も回復し、なんなら軽い傷ならすぐに癒える。

 いわば“楽園”だ。


「 もうすぐ着きますよー 」


 階段が終わり扉を開ければ、そこには素晴らしい光景が広がっていた。


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