アウソとキリコ②
赤髪の子供は青髪の女性に連れられて村の男性と共に何処かへと行ってしまった。
「余所者?」
「うん。ルキオ人じゃないさ」
「外国人?でも華宝人じゃないよ?」
「マテラでもないな。何処だろ?」
「さぁ?」
子供達が何処の国の人だと考察しあっているのを聞きつつ、先程の人達を見送った人混みの中に父がいるのを発見した。
「親父!!」
その中に父親の姿を見つけ、アウソが駆け寄った。
「おお!アウソ!」
「なぁ、さっきの誰?」
「あれ?お前あったことあるだろう?」
「は?いつ?」
「えーと、あれは確か…そうそう七年前」
「7年前は俺1歳だよ!!覚えてねーよ!!」
「あれ?そういやそうだな。わはははは」
しっかりしろよ親父とアウソは思いながらも、笑い続ける親父に「で?」と先を続けさせた。
「ザラキがいるだろ?仙人になった」
「ザラキおじさん?」
「そうそう。その人の師匠の一番弟子さんなんだ。物凄く強いんだぞ。俺よりも遥かに強い」
「ええー、うっそだぁ」
自慢じゃないが、親父はこの村でも三本指に入る実力の持ち主だ。アウソが冗談だろと言えば、親父はとんでもないと返した。
「嘘なんかじゃないさ。まぁ、それはいいとしてだな。その人がルキオに帰ってくる途中であの子を保護したんだそうだ」
「へぇ」
迷子か捨て子か。
ルキオではあまり聞かないが、外国では良くあることらしい。
保護されたにしては目付きも野良犬みたいに凶悪だったから、たぶん捨てられたんだろう。
そんな感じのお話を聞いたことがある。
「しばらく此処にいるみたいだから、ちゃんと仲良くしてやるんだぞ。いいか?」
「んー」
そうか、いるのか。
まぁ、どうせああいうのは普通の子供と仲良く遊ぶだろうから関係なさそうだな。
「アウソ!修行いくぞ!」
「わかった!」
練習棒を担いだ友達が丘を目指して駆けていく。
丘の麓で先生に指導してもらうのだ。
「お?もうそんな時間か、そろそろ戻らないとな」
親父がアウソの頭を一撫でしてから笑う。
「じゃあ、またな。しっかりやれよ」
「わかってるよ」
親父が去っていくのを見送り、アウソも壁に立て掛けて置いた練習棒を掴むと急いで丘の方へと駆けていった。
町に二人ほど新参ものが増えはしたが特に変わりはなかった。
が、四日目にしてアウソの友達の一人がこんなことを言い出した。
「なぁ、あの赤人いるだろ?」
「? あー、あいつか」
「今度力比べやらないか?」
「なんで?」
訊ねると友達はニヤニヤと笑う。
「あの大女って凄く強いってきいたんだけどさ、じゃーその人が連れてる奴なら強いんじゃないかなって思ってよ」
「うんうん」
確かに、それは気になる。
「あと此処の一員になるんなら自分の立ち位置を教えないといけないだろ?」