復活!!魔王のクリスマス!!④
きらびやかなクリスマスツリーがオレの魔力によってゆっくり光の強弱を変えながら点滅している。
昼前に完成したアンデルセン指導のクリスマスケーキと、オレが記憶を便りに周りのパティシエと作成したクリスマスケーキが大通りに運び込まれ、子供たちと女性たちから嬉しい悲鳴が上がった。
サンタクロースに似せた男性達がソリに乗ってチキンやケーキ、そしてクッキーを配り。空からはヒラヒラと雪が優しく舞い降りてきていた。
この季節になると、この地域にも雪は降るのだが、今回は精霊にお願いしてタイミングを合わせてもらった。
空を飛ぶハイバが、カミーユ特性の空飛ぶソリを引いてこの国を飛び回っている。
てか、誰だ。ハイバにトナカイの角くっつけたやつ。
おもしろいなあれ。
「ジングルベールジングルベール鈴が鳴る」
その歌と一緒にシャンシャンと何処からともなく鈴が鳴っている。
あの音を子供たちが追い掛けてクッキーやケーキを貰いにいくのだ。
「クリスマス最高!」
「いえーい!!」
大人たちは麦酒や葡萄酒を煽り、どこもかしこも笑い声に包まれ始めた。
幹部たちも交代で祭りに行かせた。
今はネコと二人で城のベランダからニックの鏡を使って警備に当たっている。
「思えば、この世界に来たのって、クリスマスだったな」
熱いコーヒーを一口。
「そういえばそうだったね」
隣でネコがチキンを食べながら答えた。
「ここまで来るのにいろんな事があったなぁ、といってもまだ四年くらいか?」
怒濤の四年間であった。
初めの一年は戦い越し、二年目と三年目は建国に走り回り、今年ようやく落ち着いてこれだ。
常に全力疾走状態。
といっても優秀な部下たちのおかげでなんとかなってる。
「ネコの人型も見慣れてきたし」
「ん?今人型になる?」
ぐにょんと、記憶にある前勇者、テレンシオの姿になった。
「どっちでも良いよ。やり易い方で」
そう言えばネコに戻った。
「じゃあこっちー」
記憶が戻ってもこっちのが良いらしい。
それでも人型での作業が必要なときは人型のままだが。
格闘術はネコよりも人型の方が都合が良いとか。
「毎年たくさんのお祭りは良いね!賑やかだし、美味しいものたくさんだし!」
「うん。おかげでアンデルセンさんとも仲良くなれた」
あの後も少し会話したんだけど、どうやらあの世界会議で喧嘩してからずっと言い過ぎたこと気にしていたらしい。
謝られてしまった。いいのに。
オレもこれで安心してドルイプチェと交易できるってもんだ。
何て言ったってドルイプチェ産凄く良いものばかりなんだもん。
特に革製品。
バッフォキラー用手綱とか諸々のやつとか本当に助かる。
「あとケーキうまい」
アンデルセンさんが作り上げたのは大量のロールケーキだった。
丸太みたいな見た目なものにチョコレートパウダーが振り掛けられている。
こんなに美味いか!!?
とフォークが止まらなくなってしまったくらい美味かった。
あ、ケーキ輸入しよう。って即決したくらい。
お肉だけだね。駄目なの。なんでなんだろう?
大音量で扉が開けられた。
「メリークリスマス!!あっはははははは!!!クリスマス最高!!」
次の見張りのタゴスが交代時間のためにやって来た。
酔っ払いめ、お酒何本開けたんだこいつ。
「酔い覚ましするか?」
その魔法陣ちょうどよく持っているけど。
タゴスは魔法陣を受け取り、お腹に宛がう。
「少し使うわ。はぁー、楽しいなクリスマス。企画して良かったぜ」
「ほんとにね」
魔法陣を張り付け酔いを覚ましながらタゴスがオレの座っていた席につき、仕事の顔に切り替えた。
「っしゃ!楽しいクリスマスを最後まで成功させるために頑張るぞ! そら、お前も行ってこい。楽しみにしてたんだろ?友達もきてんぞ」
「何かあったら連絡しろよ」
「わかったわかった。行ってこい」
「じゃ、楽しんでくる。ネコ行こう」
「うん!」
メリークリスマス!!