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メークストレイスのハロウィン祭誕生秘話③

ルキオ城下町の居酒屋。

ヨンナー亭。


「此処よ」


仕事終わりのカリアに連れられてやって来た。


店の中は、まだ日が暮れてないのに賑やかだった。


「あ!いたいた。あそこよ」


カリアの指差す方向に目的の人物かいた。ガタイの良い男と、美女。そして車イスの男性。

一人足りないが、何処かへ行っているのか。


「おーい!ノル!」


カリアが呼び掛けると、こちらに気付いた車イスの男性が嬉しそうに手を振った。


「カリアさん、こんな時間に珍しいですね。お仕事はもう終わったんですか?」

「ちょっと急用でね、早く切り上げてきたんよ」

「へぇ」


そして視線がリゼに集まった。


「ねぇねぇ、その人は獣人(ガラージャ)?それとも、アレ、かしら」


デアが目をキラキラさせながら訊いてきた。


「アレよ。ライハの部下のリゼさん。とある用事であんた達に用があってね」


椅子に腰掛けたカリアに促され、リゼも近くの椅子に腰かけた。


「海底酒でいいか?」


シェルムがカリアに訊ねてきた。


「まだ傷に響くから遠慮しとくよ。そこの水をおくれ。リゼさんはどうする?」

「私も水をお願いします」


水を飲みつつ何故探していたのかを説明すると、ノルベルトとシェルムが目をぱちくりとさせた。


「いや、確かにうちの方ではサウィン。こっちで言う新年祭があるが、何でまたライハが?」

「しかし、メークストレイスでサウィンはどうなんだろうと思う」

「というと?」


そもそもどんな祭りなのか知らないリゼが訊ねた。


「サウィンでは、盛大な焚き火をして、そのー…、悪魔の格好をして家々を練り歩くんだ…」

「焚き火ですか。というか何故悪魔の格好を?」


それにシェルムが答える。


「何だかんだと、悪魔に襲われて壊滅した町が多いからな。めでたい日に子供が拐われて食べられないように、同胞の振り。つまりは悪魔の格好をして人間とわからないようにしたってのが始まりだ」


へー、そうなんだ、とデア。


「…確かにそれではうちでサウィンをするのは意味がないですね」


悪魔のフリ以前に、こっちは半分それなのだ。


「もしかしたらライハが以前いたとかいう場所では何か違うのかもしれない。本人に聞いてみるのが一番では?」

「うーん。こっそり準備して驚かせたかったのですが、致し方ありませんね。情報提供ありがとうございました」


そうだ、元々の発音自体違っていたのだ。

そうなれば本人を見つけ出して聞き出すのみ。


完成したら連絡してくれ、遊びにいくわー、とノルベルトの最後の言葉をエコー混じりで聞きつつ、魔王城直通一方通行の転移指輪の魔法具にて魔王城へと戻った。

二角駿馬(デイルコーン)を馬舎に戻すと、魔王室の近くで清掃をしていた人に質問した。


「魔王様はどちらに?」


魔王の姿がない。

仕事を終えても少し部屋でネコと話して残っている事が多いというのに。


「仕事を終えて、すぐにどこかへとハイバにてネコと共に飛んでいかれましたね」

「ハイバで?」


世界で唯一、風の翼を安定させた駿馬。

最早その存在はペガサスに近しいものだが、そのハイバで一体何処へ行っているのか?


は!そういえばここ最近の魔王様は仕事を終えては姿を消し、休日等も姿が見えない。

もしや、何かしている??


「タゴスさん」

「ハイなんでしょう?」

「指輪を貸していただけませんか?」

「え?ああー、はい」


タゴスからライハとの位置を確認する指輪を受け取った。

忙しい合間でもフラフラするライハを緊急時に連れ戻すときに重宝される魔法具だ。

それなりに距離がある。

これは二角駿馬では時間がかかる。空走種系の馬を借りなければ。


「では、行ってまいります」

「行ってらっしゃい」


ワイバーンを借りて出発。


向かう先はノーブルの国境近く。

何でそんな辺鄙なところにいるのか。


「あそこか」


指輪の示すのはとある村。

そこ目指して降下していった。


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