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魔王ライハは勉強中である.10

話を聞くと、ネジの力を全部細かい動作に回したらしい。

移動は全てバッフォキラーにおまかせ。そうすることによって、移動に使うエネルギーを節約できる、というわけ。


「あっちは?」


盛大に暴れてますけど。


「広場を広げてくれています。いう通りに動いてくれるので大助かりです」


と、作業員からタゴス経由で伝わった。


結構役に立ってて、もっと貸してくれないかとお願いされているという。多分一週間ぐらいで、この建設会社の社長から正式に依頼が来そうだ。


「で、ちょっと俺個人の話なんだが」


「ん?なに?」


「煌和の技術は凄い。確かにノーブルも凄いが、うちには鉱山ないし、木が多いからこっちのがあっていると思う。見ろ、あのカラクリ。ものの一時間で仕立てたんだ」


「すげえ」


「ということで留学交渉をしてもらいたいんだが」


と、タゴスが隣にいるノアに視線を送る。

すると、その会話を全て聞いていたノアは無言でオーケーサイン。

良いのか?そんな軽くて。


「後で必要な書類渡すから、あとは任せろ」


「頼もしい」


多分、先程のお叱りが効いているのだろう。


「そうだ、タゴス。オレも後で個人的な話があるから」


え?とタゴスが「俺なにかやらかしたっけ?」と言いたげな顔で狼狽えた。違う。大丈夫。違う話だから。


その後は何事もなく、バッフォキラー用のカラクリの説明と、あとテンション高くバッフォキラーを他に何に活用できる可能性があるのかを熱く作業員、設計班、技術班達に語られた。


「予想以上の反応だった…」


まさかあんなにもバッフォキラーを持ち上げてくれるなんて思わなかった。


「では、また後で迎えに来ます」


宿泊する宿に着いた。

簡素で良いと言ったのに、豪勢すぎる。

だが、これは前にタゴスに説教されたからなにも言わない。

一国の王であるならば、それに見合った場所でも馴染むようにするべき、と。

でなければ他国に示しがつかないんだそうだ。


バッフォキラーは国から折紙付きの魔獣預かり所へ。

飼育員たちはその近くの宿へと泊まった。

といってもオレの仕事の手伝いの為に連れてきたから、良い宿を用意した。

豪勢ではないが、結構自由に動ける宿だ。


「こちらです」


案内人に用意された部屋につく。


「…………………こんなに部屋いるかな」


あちらに居たときも関わりなく。かといってこちらに来てからはそれこそまったく縁の無かった世界。


部屋部屋部屋部屋部屋。


それぞれの国の人でも、どれか一つは気に入るであろう部屋がたくさんくっついた部屋。

広いし、窓も多い。


「落ち着かないなぁーもお」


取り敢えずフローリングの部屋に、既に運び込まれた荷物をもって移動した。


「タゴスがあれもこれもと服を詰め込んだ意味がわかった…。本当に着替えまくってるわ、オレ」


本当に着るのか疑っててゴメン。

そして同時に理解した。

上の立場、めんどくさい。


恐らくだけど、元々合ってなかったんだと今さら気付いた。

後の祭りだけど。


「ライハ」


着替え終わったタイミングでタゴスがやって来た。


扉を開けて招き入れる。

だが、タゴスは軽く部屋を見渡すだけでコメントなし。


なんだよオレだけ初々しい反応で恥ずかしいだろうが。


と思ったが、考えればこいつは城の警備をしていたんだ。

そうか、城を基準にしたら普通だよな。オレが間違ってた。


「話ってなんだ?」


オレが椅子に腰掛けるタイミングで切り出したタゴス。

近くに椅子があるから座れば良いのに、立ったまま。


「一旦座れ。この部屋の中は無礼講だ」


「わーったよ」


ようやくタゴスが過多の力を抜いて近くの椅子を引き寄せて座る。

ふう、オレも楽になった。


「で?」


話とは?と、促す。


「実はアサギリ王から提案があってな」


めっちゃ真剣にタゴスが聞いている。


「リゼさんを、うちの…。うちのってか、オレの秘書見習いとして置いてくれないかと言われた。オレ的には、秘書の仕事はタゴスのものだし、相談してからって思って。もし嫌なら断ろうかと思っ…て……」


話している途中、タゴスを見ると顔をキラキラさせていた。


「俺に部下くれるの!?しかもリゼさん!?」


「う、うん。てか、え?そんなに嬉しい?」


「何言ってんだお前!!一応言うけど、どんだけ大変だと思っているんだ!?人手は多いに越したことない!!お前も凄い大変だろうから言わなかったがな。仕事をやる奴が増えればお前の負担も減るんだ。

それにリゼさんは、今日一緒に回っててわかった…」


ズズイとタゴスが詰め寄ってくる。


「かなり有能だ。逃がしたら大損だぞ」


目がガチだった。


そうか、そんなに有能なのか。

なら断る理由はない。


タゴスも賛成みたいだし。


ということで話は纏まり、ノアの迎えが来るまでの間、持ち込みの仕事をギリギリまで片付けた。


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