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魔王ライハは勉強中である.7

あ、来るな、と思った瞬間には目の前に閃光が迫っていた。

タゴスがそれに気付いて防御をしようとしたが、それを強制的にキャンセル。


すぐ目の前で光の玉が四方八方に広がり、それが伸びて勢いよく跳ね返っていった。飛んできたままの起動を巻き戻っていくように光は飛んでいき、遥か向こうの建物へと吸い込まれて爆発した。


「……えーと、アレが例のやつらかい?」


「そっすね。例のやつらです」


勇者信仰の過激派ですね。

魔王の道を選んだオレを勇者として認めない。

勇者の概念を汚した悪魔の化身を殺害するというのを目標に掲げた組織である。


あの建物から狙撃してきたのかと呑気に眺めていると、タゴスがカンカンに激怒しながらやって来た。

原因は分かってる。


「お前のその自分が前線に出ようとする癖いい加減に治せ!!あと俺の魔法を妨害するんじゃない!!」


「いやー、なんか久しぶりで。それに向こうはオレに対しての挑戦だし、受けて立たないと失礼かなーって」


言っていることは正論なんだよ。

確かに勇者であるオレが魔王になりますとか言えば激怒するよなって。石と共に投げ付けられた言葉を聞いてようやく理解したくらい考え付かなかった。

向こうにとって、勇者は正義の象徴で、魔王は悪の象徴。

本来ならば一緒にはならない。なってはならないものをオレは容易く両立してしまったもんだから、まぁ、なんだ。

つまりは結局オレのせいなので、オレが受けてたつのは当然。

って思っているんだけどタゴスにとってはそんなこと関係ないらしい。


「いつまでもトップの自覚が無いのは困るんだが?」


「自覚はあるけど、譲れないものはあるじゃん?」


とりあえずあのくらいでは傷もつかないし。


「てか、ノアさん!!仮にも客人を守る動作くらいしてください!!」


タゴスのお叱りにニヘラと笑みを浮かべるノア。


「俺の助けなんか要らないかなって…、思って?」


思って?の部分で顔をこちらに向けてきた。

いや、こっちに振るの止めてくれません?


「いい加減に戦時感覚から抜けてください。周りの胃腸が持ちません」


「まじ?そんな感じになってんの?善処するわー」


戦時だと、お前やれ、おーけー!みたいな感じだったから。

でもタゴスの胃がやられるのは良くない。

悪魔でも胃がやられれば長引く。


「でも一応俺の命狙ったって訳で、捕まえてくる」


さっきの攻撃に雷も交えて転移のマーキングを済ましていたので、そのまま転移すれば、焦げた室内に気を失っている人達が数人転がっていた。

当たる時に薄い結界をはってやったから、怪我も少ない。

その中に目を引くものがあった。


「お?遠距離魔砲銃か。これ最新型かな?初めて見る」


盾車についてた魔砲銃の持ち運びできる最新型があった。

ライフルもありはするが、あれは飛距離があれば威力が落ちる上に当てるのが大変。それに比べて、これはミサイルの様に標準さえ合わせれば当たるという優れものだった。


「こんな高価なもの使ってまでやるかね」


苦笑しかでない。


ポケットからコンパクトミラーを取り出して、合言葉と化した詠唱を紡ぐ。


「見よ。合わせたる双鏡は、閉じられたる異界の扉。その世に住まう惑わせの魔物よ、永遠の夢へと誘え《ネバーワルド・クラウン》」


「あ? だれ…なんだお前か」


スイキョウに成り代わったニックが応答した。

姿は見えないが、あいつは現在のオレの姿を確認できているのだろう。


「この詠唱変えない?」


「変えれるものならな。俺も変えようとはしているんだが、設定を変えるのは難しいんだよ。っと、雑談するために呼んだんじゃないんだろ?目的はそこの転がってる奴らか?」


「そそ。懲りずに暗殺しにしたからさ、取り敢えず閉じ込めててくれない?」


「諦めの悪さだけは一級品だな。よし、わかった。解放の時まで素晴らしく鮮やかな悪夢を見せてやるよ」


「ありがとう。頼んだ」


気絶した人達を鏡が吸い込んでいく。

武器だけ回収し、撤退した。


「殺したのか?」


ノアさん。開口一番でそれはちょっとと思う。

ほら、タゴスの不信メーターが上がってきてるじゃん。


「生け捕りしてます。後で適当に裁いてから、世界のどっかに転送して追放するので」


「生ぬるいなぁー」


「これでも魔族の評価を上げるのに必死なんですよ」


マイナスからゼロに戻すのも一苦労。


「次の攻撃は頼みますからね、こいつ王様の自覚希薄すぎるんでお願いしますよ!!」


「あーうんうん。分かったよ。タゴス君は過保護だなぁー…うわ、怖い怖い、顔が怖い。次はちゃんとしますって」


出かけていたタゴスの角が引っ込む。


「今回はノア様が悪いかと…」


リゼにも言われて少しだけ反省したようだ。

見た目では分からないが、シュンとしていた。

珍しいものが見れた。













再び車に乗って移動している間に街並みを眺めながら雑談したりしていた。

どことなくホッとするのは、この国の雰囲気が日本の田舎っぽいのと、昔の日本の建物に似ているものがあるから、ってのもあるだろう。


「……さすがに侍はいないみたいだけど…」


その代わり職人が工具を腰に下げて闊歩してる。

すごいなこの職人率。


「そろそろ着くぞ」


前方に現れた大きな城を確認し、タゴスに持たされた礼装に転送魔法の応用で着替える。


その使い方を初めて見たのか、ノアが「なにそれ今度やろう」って言ってた。

ノアの服は基本同じ感じのものが多いが、いつ使うつもりだろうか。朝とかだろうか。


車が止まり、扉が開かれる。

煌和の正装を来た使者が深く頭を垂れた。


「お待ちしておりました。メークストレイス国王様」




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