魔王ライハは勉強中である.4
牧場を見せてもらうと、野原よりも雑草が生えかけの校庭みたいだ。
まって、ここまで根こそぎ食べるの?予想外なんですけど。
「道沿いのあの野原は?」
「あそこは昨日から解禁にしたところです。しかしあと何時かで同じになるでしょう」
「うーーーーん…」
これは本当にゆゆしき事態。
確かに雑草が生えるスピードも早いけど、間に合ってない気がする。
さらに説明を聞くと、この牧場は4つのエリアに分けて、時計回りで移動しながら放牧を行っているそうな。
バッフォキラー1頭で、1日に食べる量が大きな干し藁ロール六個分。それが現在20頭。
食糧難になるわけだ。
「このバッフォキラーは何に活用できてますか?」
「そうですね。だいたい肉か、牝は牛乳。あとは畑を耕すための労働力とか」
牛や馬の後ろに付けて土を掘り返す装置を身ぶり手振りで説明された。アレか。
「なるほど。ちなみにですけど、嫌いなものとかありますか?食べさせたらダメなのとか」
「……鉄は食いませんねぇ。石は食べますけど」
「…石は食べるんですか」
やべえなバッフォキラー。
「ちょっとお話しに行って言い?」
肩のネコがそう言う。
「気を付けろな」
「わかったー!」
ネコがバッフォキラーに向かっていく。
「あ、危ないですよ!!?」
「あのくらい大丈夫です。慣れてますから」
もし襲われて怪我しても、それは鈍っている証拠だからね。
「ところでプアソンさん、一つお願いがあるのですがよろしいでしょうか?」
「え?ああはい。魔王様のご命令に従います」
何を命令されるのかと怯えた目をされる。
まだ魔王という称号に良くない印象が残っているからなのはわかるけど。これも何とかしたいな。
「これは強制ではないのですが、よろしければバッフォキラー三頭と従業員を一人か二人ほどお貸しして頂きたいのですが…」
「……………え?」
別のスタッフにバッフォキラーの生態を訊ねていたノアの所にやって来た。
「交渉成立しました。条件付きですが、大丈夫だそうです」
「本当か」
「はい」
予想外な要求に不審な目を向けられたけど。
これはまだ計画中なんですけどと前振りを入れて、他国へのバッフォキラー有効活用の実験の事を話したら目を輝かせて了承してくれた。
勿論レンタル料は払うし、プアソンの条件も飲んだ。
条件っていっても基本的なことだけど。
バッフォキラーも従業員も無理をさせず、怪我なく返すこと。そして力のある男性従業員のみというもの。
勿論ですとも。
約束は守りますと言えば、信じますからねと念を捺された。
信用はコツコツ積み上げねば。
「あの子達もいいよって、でも人見知りの子もいるから相談させてくれって言われた」
「ネコ優秀。じゃあ、オレはネコ連れて通訳行きますけどノアさんどうします?」
「勿論いきますとも。うちに招くわけだからね」
そうして、ネコの通訳のもとバッフォキラー、ネコ、魔族という史上初めての三者会議が行われ、若いオスとメスの二頭が選ばれたのだった。