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炎の魔人.6

衝撃波が襲い掛かり、ざぶざぶと荒波立ったマグマの波間から人型の物体が次々に起き上がっていく。


あん時のゴーレム達か!?


それが体表にマグマを身に纏って、攻撃力が跳ね上がっている。しかもそれが何体も何体も。


「まさか、さっきの権利者移行ってのは、この空間のコントロール権利の移行って事か!」


今こうしている間にもゴーレムらしき物体がぼこぼこと起き上がっていた。すぐ近くにもゴーレムが生まれ、こちらに視線を寄越した瞬間、水の槍のようなものに胴体を貫かれてマグマの中に崩れ落ちた。


耐久性はあまりないらしい。

だが、それでも数が多ければ脅威。しかもアウソやナリータのお陰で固まったとはいえ、砕かれないとも限らないのだ。


タゴスを確認しても、完全に気絶していた。

やはり、コノンの方に権利とやらの移行が原因と見て間違いないだろう。


「ライハー!!」


双子が駆けてくる。


「出口への道を見つけたよ!早く出て!」

「早く早く!!」


しきりに腕を引っ張る。


「いや、でも」


今そんな場合じゃなくないか?

ノノハラも逃げる余裕なんかないくらいの接近戦だし。


「ライハ!!」


ピシャリと名前を呼ばれて肩が跳ねた。


「話は聞いたよ!仲間が外で転移の魔法を押さえているって!」

「しかももう六時間経っているってこともね!」


「六時間!!?」


もうそんなに経っているのか!?

確かにこれは迷っている暇はないが…。


そんなオレを見て、双子が溜め息を吐きながらパチンと指を鳴らした。


「あっ」


ひょいとタゴスが摘まみ上げられる。


「ふんっ。こいつの事なら心配いらない。後はヤンが面倒見てくれる」


『心配するな。ヤン、面倒を見るのだけは得意だ』


「…………誰?」


『ヤンだってば』


思わず嘘だぁと言い掛けた。だって姿がおかしい。

双子の腕の中に収まるほどだったのが、今ではオレの背丈に近いほど大きくなり、しかも爬竜馬に近い形になっている。

いや、姿くらいは悪魔だったら変えられるか。ネコが良い例だ。


タゴスは顔色は良くないが、呼吸も魔力も安定していてる。コノンも心配だが、ノノハラに任せると言った以上、このまま任せた方が良いかもしれない。

ゴーレム達もアウソとナリータが相手をしている。


「分かった。案内して」









この城は、空間も魔力の流れもぐちゃぐちゃに流れており、その為時間の進み方も城の外とは違ってくる。双子が言うには、奥に行けば行くほど流れ方のズレが大きくなっているんだとか。


「フリルの女の子が持ってた調時計で、外の時間よりも此処では二倍ほどの速度で時間が進んでいるってのが分かった。こっから更に奥にいくとなると更に加速するから、本気で急がないとノアって奴、あっという間に死んじゃう」


「止めるためには師匠を何とかしないといけないけど、多分あの状態の師匠は簡単には止めてくれなさそうだから余裕を持っていかないと、辿り着けたけど手遅れでしたー!ってのは洒落にならないからね」



「それはいけない」


調時計は時間が狂った迷宮での必要な道具の一つだ。

唯一、どんなときでも一定の速度で時を刻み続ける指針と、この空間での正しい指針が並んでいる。


嘘ではない。


あとどれ程進めばウロのもとに辿り着けるのかは不明だが。だからこそ、先程よりも焦りが滲み出る。


『ネコもうワケわかんない』


「お帰り」


途中で合流出来たネコが肩に飛び乗ってきた。


『でも急がないとやばいってのは分かった』


「そこが分かれば大丈夫」



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