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炎の魔人.5

キリコへ攻撃しようとしていたタゴスがオレの攻撃に気付き、視線を氷に向けた瞬間、例の魔法陣が現れて弾かれた。


間違いなくあの魔法陣は、タゴスの認識した範囲でしか発動しない。


「ネコ!タゴスの視界を潰せ!」


『アイアイサー!!っとお!!』


ネコがタゴスへと跳び、魔法陣を華麗に回避してくるりと回った。


『せやっ!』


ネコの尻尾がぶわりと布状に広がり、タゴスの顔を覆った。


「ユイさん!!」


「頼んだぞ!!」


ユイの出した水を瞬時に氷に変換。そして。


「オラァア!!!」


反転の盾で殴り付け、撃ち飛ばした。

ネコの尻尾が引き剥がされ、こちらに気付いた。だがもう遅い!


氷つぶてがタゴスに直撃。

口から血が吐き出された。


その背後、キリコがこちらに勢いよく走り、がら空きのタゴスの背中に跳び蹴りを叩き込んだ。三度、同じ箇所に強烈な攻撃を喰らったタゴスは地面を転がり、止まった。


「…………」


動く気配はない。


(気絶したか?)


そう思った。その瞬間。


「!!?」


タゴスの周りを防御の魔法陣とは違う魔法陣が大量に溢れだし、何やら音を立てて再構築した後、タゴスの体の中へと戻っていく。


嫌な予感がする。


キリコが慌てて後ろへと飛ぶ。


タゴスから炎が吹き出し、立ち上がった。


操り人形のようだ。

ダメージは回復せずにそのままの状態のようで、口や氷のつぶてが貫通した箇所から血を流しながら、こちらにまっすぐ向かってきた。


「やっ!」


グロレがユイの砕いた氷をタゴスに向かって蹴り飛ばす。

なかなかの速度だが、タゴスはそれを見もせずに、切っ先が欠けた剣を用いて打ち落とす。


「見つけたよ!」

「ライハ!!タゴスの首の魔法陣解除して!!早く!! それでこの空間の支配から解放される!!」


首!?


見ると、タゴスの首元の魔力が増大し、うっすら首輪に似た魔法陣が可視化している。あの魔法陣、隷属の首輪のと何か違うものが付加されているが、解ける!!


「!」


ピンと視線が刺さる。

やはり誰かがタゴスの視界を通じて操っている。


『ライハ!行けー!!』


ネコが尻尾を細かく分離させ、タゴスへと襲い掛かる。

剣と、大量の魔法陣によってネコの攻撃は瞬く間に無効化されたが、視界は狭められた。


『!!』


突然、地面から氷の柱が突きだし、タゴスの体に巻き付いた。小さくなったが、あれはエケネイスだ。

溶岩の津波を防ぎきったエケネイスが地面を潜って突き出してきたのだ。


完全に死角からの攻撃で、タゴスの剣は弾き上げられ、魔法陣も使う隙も与えずにガッチリと拘束された。


今だ。


その隙にタゴス目の前にジャンプし、反転の呪いを集中させた右手でタゴスの首に触れた。


挿絵(By みてみん)


魔法陣の効果が反転される感覚の後、ガキンと鍵が外れる音がして魔法陣が消滅した。


『 かっ… 』


タゴスの体から力が抜けて、受け止めた。

ずっしりと重い体。その変化した部分が黒ずんでいき、ひび割れ、崩れ落ちていく。


露出した肌は赤く火傷を負っている。

火に強いサラマンダーでもこんなダメージを負うほど酷使されるなんて。あいつらは仲間を仲間と思っていないんだ。


もうタゴスは大丈夫だと、思った矢先、タゴスの体の中から先程の大量の魔法陣が溢れだした。

オレの反転の呪いが原因か、ところどころバグが起きているが。そのうちのひとつがオレの目の前に見たこともないのに読める文字が赤く激しく点滅して表示されている。


「…接続失敗…、権利者移行!?」


なんだそれと思う間もなく、大量にあった魔法陣が一斉に消えた。


「なっ!?」


次の瞬間、コノンの方向で大爆発が起きた。



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