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INTEGRATE!~召喚されたら呪われてた件~  作者: 古嶺こいし
第八章 駆け抜けた先
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第三の門番.17

「ライハ!!全方向に一斉電撃!! アウソさんは出来る限り大量に海水を放出!! ネコ!オレにも魔力繋げてくれ!情報を渡す!!」


『うん、わかったよ!』


ニックの指示に従いアウソの海水と共に雷を放出する。

気分はポケ●ン。


『ギャアァアアアアアアーーーッッ!!、!!!』


凄まじい光が海水と共に空間を掻き回す。

塩の結晶と鏡の所為か更に光の乱反射が酷い。だが、光の類いが苦手な影には効果は抜群だったようで、ピエロが悲鳴をあげ、影は掻き消え、あっという間に元の景色へと戻った。


「…え?」


あまりにもあっさりと終わったので、罠かと思い確認したが、本当にいない。

気配すらない。


「え??」


とんでもない肩透かしを食らい呆然としていたら、シラギクがわたわたしながらやって来た。


「ニ、ニックさん、お加減は?あの、それよりもその右目は大丈夫なのですか?」


「そうだ。色おかしくなってんぞ」


と、ちらりとシラギクを見てしまう。

お前も含め。


「俺のこれは問題ない。むしろより色んな物が広範囲で“視え”やすくなった」


ニヤリと再び悪い笑み。


「俺なんかよりもお前らは自分の心配してろ。ライハはともかく」


「オレの扱い雑」


「今絶好調だろ?シラギクは魔力解放までして、大丈夫なわけあるか」


「私は大丈夫ですー」


とかシラギクは言ってるが、やはり負担掛かってたのか。


「無理はしないでください」


「あはは、善処します」


苦笑している。無理はきっとするんだろうな。

何とかして負担とやらを軽くしてやりたいけど。


そんなオレ達の軽口を言い合う様子を見て、皆もホッとした顔をしていた。特にアレックスはずっと顔が強張っていたのが取れていた。


「さて!無駄話はここまでだ! 奴が来るぞ、俺が“視て”この鏡迷宮を案内してやる。急ぐぞ!!」


重い音、高い音、唸る音。その全ての音がごちゃ混ぜになった不協和音が近付いてくる。それに伴って空間全体が激しく震動し、下方の飛び込んできた側の鏡が黒ずんだ。




『   魔力を返せぇえええええええええ!!!!!  』




鏡を突き破って巨大な手が伸びる。

次いで、間接部分が解れ、黒い根が収まりきれずにはみ出たピエロ本体が姿を表した。


「ははは!もう鏡に潜る力もねーのか!ザマーミロ!!」


中指立ててニックが楽しそうに煽る。


「鏡潜るのも魔力いるんだな」


「全ての魔力を彼処に依存してたっぽいからな。お前らが吸い取ってくれたお陰でやり易い。体動かなかったが全部“視え”てたから、内心爆笑してたぞ」


「ははは、そりゃあ良かった」


「ま、もう形振(なりふ)り構ってられないだろーから、お前のことどうやってでも捕まえようとするだろうな」


「まじかー」


ピエロの腕が大きく振りかぶった。


でも、要は逃げ切れれば勝ちってのは変わらない。

魔力をネコに回す。


『いっくぞー!!』


ネコが羽ばたく。

たったひとつ羽ばたいただけであり得ないほど加速し、ピエロの腕が盛大に空振る。


ネコさんや。

君、翼の周りに風の魔法を展開してますね。

いつそんな技術を身に付けたのか。恐ろしい相棒だ。


その風圧に耐えられるように、ニックが結界を展開させていた。


「…というわけで、まだまだお前らに余計な負担を掛けることになるが、正直お前らが頼みの綱だ。キツいだろうが頑張ってくれ」


らしくなくニックが申し訳なさそうに言う。

槍でも降りそうだ。


「ま、お互い様ってことで」


こっちとしては魔力を美味しく大量に戴けたから儲けだった。


『ことでー!』


ぐるんと視界が回って、正面の鏡にシラギクが穿った穴に飛び込んだ。





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