第三の門番.13
話をぶった切ったから、本日中にもう一ページ更新したい
アレックスの先制攻撃でピエロの視覚を奪い、シラギクとユイが特攻を仕掛ける。その隙にオレとネコが気配を消してニックへと近付いていった。
アレックスは今までの鬱憤を晴らすかのように影人形を次々に撃ち抜いていき、アウソは双子の周りで影人形を蹴散らせながら辺りを観察。キリコはそろりそろりとピエロの隙を窺いながら移動をしている。
ちなみに双子はというと。
「くっそぉー!もう自棄よ自棄!! やってやろーじゃない!!」
「無駄に感知の精度上げやがって!!同じ魔法で逃げ隠れは許さないってか!? ちくしょー!!」
姿を隠す魔法が効かなかったらしく、必死に光の玉を飛ばして影を弱体化させてはニックの杖で殴っていた。アレックスに押し付けられたのか。
『お…!』
ぐおんと根が蠢く。
「…いけるか?」
根を踏んでみる。だが、ピエロにも根にも変化は見られなかった。根自体には意思はなく、全てピエロが見て認識し、操作しているって訳だ。
「よし。やるぞ、ネコ」
『うんっ』
ネコを肩に乗せると、纏威を発動し跳び上がる。
あっという間にニックが拘束されているところまで跳躍をすると、瞬時に魔力を練り上げて解放した。
雷が迸り、次々に根を切断していく。
『そいやぁ!!』
ネコも電撃を纏わせた尻尾で根を撫で斬っていく。根は切断面から黒いドロリとした液体を吹き出しながら力を無くして落ちていく。
黒い魔力が見える。アレを流し込まれていたのか。
オレは平気だが、いくら魔力耐性が高いニックだろうが辛いだろう。
『ずるいぞうー!!』
下の方でピエロの絶叫が聞こえた。
今気付いたらしい。
だからだろうか、今まで何の抵抗もなく切られていた根が抵抗するように攻撃的になった。オレ達を凪ぎ払おうといくつもの根が襲い掛かるが、ビクンと根が突然痙攣し動きを止めた。
『うごぁあーー!!!?』
先程とはまた違うピエロの絶叫。
なんとピエロの両目にキリコの針が見事突き刺さっていた。また、目。
ピエロは揉んどりうって悶えている所を三人から攻撃を受けている。
ニックの右目の根と腕の根を斎主で切断すると、支えを失ったニックが倒れ込んできたので受け止めた。
根は動かない。ピエロは根を動かすどころじゃないようだ。
しかし、余裕綽々だったピエロが焦り逃げ惑っているのは面白い光景だ。って、そんな場合じゃない。
右目にはまだ根が埋まっている。血などはやはり確認できないが顔色は良くない。
急がないと。
「うまくいってくれよ…」
暴食の主を取り外し、よりいっそう“自分の呪い”に集中した。どんな種類の悪い魔法なのかは知らないが、どうか良い方向に反転してくれ。
根を掴み、一気に引き抜いた。
ブチブチとした音と感触が手から伝わってくる。
声にならない叫びがニックの口から飛び出し、腕にニックの爪が食い込んだ。
痛みに耐えつつ粒子の目で確認する。取り残しはない。
「ネコ撤収だ!!」
『りょーかい!!』
翼を広げたネコに掴まり、その場から飛び降りた。
後ろから獲物を逃がすまいと切断された根が伸びてきていたが、僅かに靴先を掠めただけに終わった。