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INTEGRATE!~召喚されたら呪われてた件~  作者: 古嶺こいし
第八章 駆け抜けた先
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第三の門番.1

そろそろ帰るので書き留めたものを投下

空気が重い。そりゃそうだ。

既に仲間の半分が居なくなってしまったのだから。


(ノルベルトさん達。大丈夫だろうか)


辛うじて急所を外してはいるものの、三つのうち一つは肺を貫通していた。


(ラビが居るから、なんとかなるとは思うけど…)


伊達にあの戦場を駆け回ってはいない。

ラビの医療技術はメキメキと上達していたから、あのくらいなら治療可能なはずだ。だけど、それは通常の傷だった場合、である。


あの鉄糸で貫かれたものも、蜘蛛の巣状のモノが伸びていたとすれば。


(ノルベルトさんは、助からない…)


「おいこら」


スパンと頭を叩かれた。


「いつまでグジグジ考えてるんだ。シャキッとしやがれ!」


ニックに背中を叩かれた。


「ゲホッ」


肺に響いた。

ネコが叩かれた箇所を撫でてくれた。ありがとう。



分かってはいるんだが。


いや、人の事を考えている場合じゃないんだよな。



「ごめん」


「いや、解れば良い」



こんなとき、ニックのキツい言葉が効く。

前はイラッとしたが、それも前を向かせる為のものだ。


「大丈夫だば?背中」


「まだちっと噎せる」


にしても肺に結構響いたな。


緩いカーブの通路を行く。また右回りだ。

こうも右ばかりいくと同じところをグルグル回っているような錯覚に囚われる。


「あ…」


先をいくキリコが声をあげた。



またしても重厚そうな扉であった。

しかし、模様が違う。


丸の回りを矢印が横に八の字を描くように配置されている。



さっきのように嫌な気配は感じられない。

蜘蛛の類いは居なさそうだ。

だけど、だからといって油断はしてはいけない。


「行くぞ」


一方脚を踏み出す。途端、扉が開いていった。



















真っ暗だった。

その左右を、蛍の光のような物が奥へ奥へと誘導していく。それに従って細い道を行くと、カツンカツンと硬質なガラスを踏むような音が響いた。


「? 行き止まり?」


粒子の目には行き止まりに見えた。

行き着いたのは、袋小路。


少し膨らんだ広場のような空間の真ん中に蛍が辿り着くと、くるりと回転した。


『ようこそ、第三の門番の元へ。ウローダス様の命令のもと、お前らを試すために試練を用意した。あ、ちなみにワタシはスイキョウ。覚えなくても良いや』


声が反響して何処から聞こえるのか分からない。

目の前の光からしているような気もするし、回りの空間からもしているような気もする。


『でももちろん、ただでは通さない。駄賃で二人、三人置いていって貰うよ』


バン!!!


そんな音と共に光は破裂し、辺りは光に包まれる。

眩む視界に一瞬目を瞑ると、次の瞬間には不思議な空間へと変わっていた。


オレがこちらを見ていた。それがたくさん。

よく見てみればオレだけではなく、皆同じようにこちらを見ている。微妙に角度を変えながら、それがずっと遠くまで続いている。


「!!!?」


一瞬頭が混乱し、思い出した。

これは鏡か!!


後ろを振り返っても廊下が消え失せ、そちらも鏡となっていた。

なんだこの部屋!?


『イヒヒヒヒヒヒヒヒヒ!!!』


君の悪い笑い声が聞こえてくる。

反響して場所が特定できない。


「ミ、ミラージュの悪魔…」


後ろで双子が顔を青くして呟いていた。

ミラージュの悪魔?なんだそれ?


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