アオーソア.2
「え…?」
突然の謝罪にザラキが呆気に取られていると、巨人の少女とは違う声が聞こえた。
「許してやって頂戴。この子、ローデアの台地から初めて降りたの」
と。
聞き覚えのある声だ。何処だと探せば、少女の肩に幾人かの人間と動物が乗っかっていた。
明らかに質の違う強大な魔力を纏う女性、リベルターと、桃の花色の髪を細かく編み込み後ろで纏め上げた女性と、付き添いのように近くに控える男性。
何故だが魔力が弾けすぎて目をそらしたくなるが。
そして幼いキリコを連想させるアシュレィの女の子と大きい犬と小さい犬。
「ザラキさん、久しぶりね。五年ほどかしら?」
「リベルターさんも。元気そうで」
高度を下げる。
ふふっとリベルターと呼ばれた女性は笑う。
「お陰さまで。そうそう、名前がフリーダンに変わったから、そっちで呼んで。さて、私たちも遅刻をしてしまったから謝らなくてはいけませんね」
フリーダン達はまず巨人の女性について話始めた。
人の地でも被害が少なくて済むだろうということで、戦える巨人の中でも小柄なアオーソアが選ばれた。長に言われてロッソ台地を降りて、言われたまま此処へと向かったが、何せ本当に当たってるのか不安で仕方なくて、毎度進路の邪魔をしてくる虫を潰しつつやってたらいつの間にか南下していたらしく、それをフリーダン達に保護され、此処まで来た。と。
「なるほど」
『折角グレイダンが頑張ったらしいが、そうか。道理で来ないわけだ。グレイダンを道案内として置いておけば良かったかな』
いつの間にか近くへとやって来ていた竜王。
『それでは奴は冬眠どころか永眠してしまいます』
『ムウ…』
だが、提案は部下に却下されていた。
「こちらはご覧の通りだ。要の奴等は先に行ってしまってね」
「まぁ、そうなの」
ザラキの言葉に桃の花色の女性が「どうしよう…」と不安げに呟いた。
「良いわ。彼が光印ノ矢の印を持っているのならやりようはあるわ。あ、彼らも到着したみたいね」
フリーダンが顔を上げて言う。
彼ら?
フリーダンの視線を追ってザラキが振り替えると、遠く空の彼方から大きな鳥の群れがやって来ていた。
煌和の人達が飛鳥馬に乗ってやってきた。いや、近付いてくれば飛鳥馬ではなく、紙を折ったモノだと分かる。それが地面に降り立ち、パタパタと紙が開き、それがまた細かく折り畳まれて手に収まる。それを懐へと仕舞い込んだ。
「お待たせいたしました」
鳥を連想させる人達がノアの周りへと集まる。その際、よろしくとノアの近くに寄せて寝かせていたカリアの状態を診始めた。
ノアがその中の一人に頬を膨らませつつ言う。
「もぉー、遅いですよぉ」
「すみませんね」
だが、さらりと流された。
「魔力は?」
「結構辛いっすね」
「そうですか」
ノアから目を離し、近くにいる部下らしき人達へと指示を飛ばした。
「これより結界の書き換えを行います。皆さん、配置についてください」




