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INTEGRATE!~召喚されたら呪われてた件~  作者: 古嶺こいし
第八章 駆け抜けた先
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変質者.1

再び全身に襲い掛かる衝撃、それがバチンと弾けて景色が切り替わった。地面にしっかり足が着き、振り替えれば。



「……っ! やっぱりか…」



景色は先程の森から一変。木々の姿は何処にもなく、煉瓦作りの廊下が続くのみ。


塔からの扉は完全に消滅していた。


「行くわよ」


「……」


キリコの促され、前を向いた。

絶対に死ぬなよ!












背後で轟音がする。

塔が崩れ落ちたらしい。


あいつらは間に合っただろうか。



ボタボタと額から血が溢れだし、視界を赤く染める。


額は出血が酷い。汗と一緒に拭いながら辛うじて攻撃を回避している。


『くくくく。全く人間というのは馬鹿でか弱くて可哀想な生き物だ。自ら罠に掛かり、生け贄になるとはな。自殺願望でもあったのか?』


この悪魔は良く喋る。


「いいえ!可能性を繋げただけよ!」


「そうそう。本当はイケメンの側で棒を振りたかったけド、デアがいるからヨシとするヨ」


「まってそれどーゆー意味?」


飛び出してくるジャトゥラントはデアが全て木に貼り付けていってるが、それでも怯むことなく襲い掛かってくる。しばらく使うことのなかった魔方陣の施された指輪によって矢を触れた木から作り出すことは出来ているが、元々そこまで魔力はないデアは、早くも息が上がり始めていた。


「あんまり話すな。体力を消耗するぞ」


「へーへー」


悪魔の発せられる衝撃波を、“重力”の魔法によって引き寄せたジャトゥラントや木を身代わりにしながら、隙をついてビギンが攻撃を仕掛ける。


そこまで強くはないのか。

ビギンの攻撃は効いている。だが。


「下がれ!!蔦だ!!」


「ちぇっ」


ビギンが飛び退くと、蔦の蛇が地面へと突き刺さり、すぐさまビギンを追って方向転換をする。素早い動きで蔦の蛇を足場に走り回り回避しているが、何せ数が多い。


「デア!ビギン!離脱するぞ!!」


ヴァ・ベーネ(了解)! はぁっ!!」


二本の矢が悪魔の目を目掛けて飛んでいく。

それを悪魔は翼で弾いた瞬間、三人の姿はデアの魔方陣のアクセサリーの効果によって、まるで幻だったかの様に掻き消えた。


『ははは。精々逃げ回れネズミども。此処にはもやは出口はない森の箱庭だ。ゆっくりと隅に追い詰めて喰らってやる』


















「どうだ?アマツくん。見慣れた廊下?」


「……ごめん。全く見覚えはない。ユイさんは?」


「俺もさっぱりだ」


足を動かしつつ、辺りを見回してみても全然何処なのか分からない。

もしかするとオレの行けなかった神聖魔法の溜まり場になっていた所なのだろうか。そう思ってユイに訊ねてみたのだがユイも知らないと言う。ならば本当に此処は何処なのだ?


「!」


足音が聞こえる。

前方、複数。


敵か?


剣を抜けば、察した皆も各々武器をいつでも振れる様に動き、曲がり角から飛び出してくるだろう敵を粒子の目で確認した。


タイミングが合う。


不意打ちを狙って剣を振り上げた。



「!!!?」

「!?」

『にゃ!?』



髪の色は違えど見慣れた顔だった。


互いが互いに認識し、目を丸くする。


咄嗟に振り下ろす腕を止めようとしたが、ほぼ条件反射となっている動きに理性が遅れている。


だが、それは相手側も同じなようで、同じく武器を振り上げでいた。互いに止めようとしたからか、上手くオレの剣の鍔と相手の切っ先がぶつかり、弾かれた。


手が衝撃で痺れたが、オレは目の前にいる人物に驚きを隠せないでいた。











「…ラビ?」












声が震える。



それは、目の前で胸を悪魔に貫かれ殺された筈の戦友、ラヴィーノだった。

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