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INTEGRATE!~召喚されたら呪われてた件~  作者: 古嶺こいし
第八章 駆け抜けた先
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進撃.3

「すみません!遅れました!!」


いの一番に謝罪を口にすれば、シラギクに止められた。


「謝罪はあとで!あと、予想以上に結界の層が厚かったので、当初の計画を変更します!!」


なんだ?まさか此処から行けないのだろうか?


「まず、皆さんに防護結界を張ります。向こうとこちらで何がちがうのか分からないので、向こうへと渡り次第、適切なものへと切り替えます。次に、この結界の層を突き破るため、撤退用の道をひとつ潰します」


「…もしかしてここのトンネルか?」


「そうです!ニックさん正解です!」


嬉しそうな二人。

なんだその笑顔。オレの知ってるニックはそんな顔したことないぞ。


「となると、気軽に撤退できなくなるな。魚梁(やな)に掛かる鮎にならなきゃ良いが…」


「そうなったら思い切り敵の顔面ひっぱたいてやりゃ良いんだよ。ノル」


「そだな」


と、ガルネットとノルベルト。


「ヤナってなに?」


「知らん。魚垣(ながき)みたいなもんか?」


「ナガキも知らんな」


結局分からなくて終わった。


「それってつまり敵の逃げ道も潰すってことやろ?ええやん。追い詰めるだけ追い詰めてボッコボッコにするだけや」


と、隣でレーニォ。

爽やかな顔の筈なのに圧が凄い。


それでは、失礼します。と、シラギクがオレ以外に防護結界を施した。


「オレは?」


「ライハさんは大丈夫です」


とのこと。

体質の変化で無効化でもするのか。


『ネコも大丈夫ですって』


「オレが大丈夫なのにお前がだいじょばなかったらおかしいだろ」


『そっかー。いっしんどーたい?って言うの?』


「一心同体だな。ガチの」


文字通り。


「では、いきますよ!解除次第全力で走ってくださいね!」


シラギクが叫ぶ。

途端にぶつん、と、糸が切れる音がしたと同時に、遥か遠くの方から崩壊の音が凄まじい速度で迫ってきた。


「走って!!」


シラギクが裾を(ひるがえ)し、正面の光の中へと飛び込んだ。

瞬間、激しくシラギクの周りの魔力が弾け、伸び、複数の帯で作られたドリルのような形状となって光の壁を抉り貫いた。


引かれるように足が駆ける。


ニックを問答無用にシェルムが担ぎ上げたのが見えた。デアとニックの二人の人間を抱えても衰えない速度。素直に感心した。


『潰れるよ!』


「うん」


後ろを振り向けば、最後の天井が崩落している最中で。

それもすぐに暗闇へと落ちて消えた。

















「うわっ!!とまっ──」



前方でそんな声が聞こえた。だが、ご存知だろう。全力で走っている人間は急には止まれないのだ。


「きゃあ!!」

「いってえ!!!」


光で目が眩んでいるのに、壁を抜けた瞬間に待ち受けているのが石壁は流石にひどいと思う。


「ライハ、退いてほしいんだぞ」


「ごめーん」


例外無く衝突してしまった。皆の体をクッションにしたためダメージはない。


謝りつつ退く。そして来た道を振り替えれば、光の壁はなく、真っ暗な空間が広がるだけだった。

そこから先の道が空間事切り取られたかのような虚無。

とても不気味で怖い。


「あいたたた。無事かい?シラギクくん」


「とっさに庇って無事だぜ!」


「ナイスだノルベルトくん」


ユイが強かに打ち付けた腕を回して痛めたかどうかを確認したが、結界のお陰で全くダメージが無かったようで、静かに「おお…」と感動していた。


「ニック、火。暗くて見えない」


「うっせえ待ってろ」


ボッと、火の玉が浮き出て明るくなる。


行き止まりのようだ。

見る限り左右正面は石の壁で、一言で言うならば袋小路だ。


「……………出るとこ間違えましたかね?」


焦りを孕んだシラギクの声が聞こえる。


「いや、大丈夫」


それをユイが否定した。

視線が上を向いている。


連れて上を見れば、遥か上に梯子の一部のようなものが確認できた。


「ここの上が、もう城内だ」


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